2011.11.01
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粘り強さを身につけるには?

第31回目のテーマは「我が子が粘り強さを身につけるには、どうすればいい?」です。

なでしこジャパンの粘り強さはどこから?

9月に女子サッカーのなでしこジャパンが3大会連続4度目の五輪出場を決めました。その前にも7月のワールドカップで初優勝を果たした彼女たち。決勝戦では「このピッチに立てることが嬉しい!」と言わんばかりに、サッカーを心から楽しんでプレーする姿が印象的でした。外国人選手に及ばない体型であっても、巧みなテクニックでカバーし、粘り強く戦い抜いての勝利。明確な目標に向かって、たゆまぬ努力を続けた賜物だと思います。

この粘り強さ、ぜひ子どもにも持ってほしいと願う親御さんや先生方は多いのではないでしょうか。一般に、本当に自分の好きなことが見つかっていないと、なかなか粘り強くなれない傾向があります。勉強でも仕事でも、自分が取り組んでいるものが好きではない、あるいは不満を感じている場合、少し失敗しただけでも「もういやだ」と放り投げたり、「どうしてこんなことをしなくてはいけないの?」とためらったりすることが多いようです。逆に、好きなことに取り組み、今の立場に満足している人は、「最善をつくそう」、「この仕事を楽しもう、工夫しよう」とやる気にあふれ、努力を続けることができるでしょう。

与えられた場所での頑張りが粘り強さになる

私が教える学生にはいつも「あきらめなければ、今は(達成への)プロセスの途中」と言っています。あきらめずに走り続ければ、いつか目標にたどりつけるという意味です。
 それは、私自身についても言えます。児童ポルノ法の改正運動を始めてから8年が経ちました。いつ国会で成立するかはわかりませんが、この運動はずっと続けます。なぜなら、これは子どもたちを守るために非常に大切なことだという信念があるからです。どんなに時間がかかっても目標を達成するまで、あきらめません。

また、こんなこともありました。私が初めて持った連載コラムは、ある求人誌の小さなコーナーで、読者数も決して多くはなかったかもしれませんが、初めての連載が嬉しくて本当に一生懸命書きました。すると、目を留めて下さる方がいて、このコラムを機に他の書籍や雑誌での執筆の機会もいただけるようになりました。

身近な人の例もあります。私の夫はもともと出版編集者志望だったのですが、就活の際、友人に誘われて受けた大手芸能プロダクションに受かり、迷った末に今の仕事を選んだそうです。その結果、電波媒体だけでなく、紙媒体にも強いマネージャーとして、私の多面的な活動を支えるという手腕を発揮してくれました。

このように、たとえ志望通りの場ではなかったとしても、まずは与えられた場で頑張って、成果を上げる。小さな夢をかなえ、そして大きな夢へとつなげてゆく。これも、決してあきらめない、粘り強い生き方の一つだと思います。

粘り強さの成果事例を多く伝える

目標を決め、それに向かってあきらめずに頑張っていると、違う形で達成することがあります。私の場合、若い頃、あるコーラのCMが大好きで、「私もいつかこのCMに出てみたいな」と思っていました。すると、別のコーラ・メーカーから声がかかり、そのコーラのCMに出演できたのです。ある女優さんが登場する素敵な駅張りのポスターを見て、「私もこういうポスターに出てみたいな」と思い続けていると、業種は違うものの、同じような駅張りのポスターに出演できました。「こうなりたい」という目標を持ち続けることで、無意識のうちにその仕事に向かうような行動や努力をし、実現につなげていたのかもしれません。

子どものうちは、自分が何をやりたいか、まだわからないことも多いでしょう。そんな時は、親が小さな目標を設定し、一緒に取り組んであげてはいかがでしょう。やってみて、初めて自分が何に向いているか、見えてくることもあります。たとえ「これは違うな」と思ったとしても、目標に向かって取り組んだ実績は確実に残ります。新たな気づきのきっかけにもなります。いずれにしろ無駄にはならないはずです。

子どもたちには、なでしこジャパンの例をはじめ、決してあきらめない心で粘り強く続けた人が、目標を達成できた話をたくさんしてあげてください。たとえ置かれた状況が最初の希望とは違ったとしても、願い続けて努力することで得られるものがたくさんあることも。

昨今は大人でもすぐにあきらめて投げ出してしまうことが多いのですが、粘り強く努力した結果、何かを成し遂げられた時の達成感は格別です。できるだけ多くの人がその達成感を味わえることを願っています。

アグネス・チャン

1955年イギリス領香港生まれ。72年来日、「ひなげしの花」で歌手デビュー。上智大学国際学部を経て、78年カナダ・トロント大学(社会児童心理学科)を卒業。92年米国・スタンフォード大学教育学部博士課程修了、教育学博士号(Ph.D.)取得。目白大学客員教授を務め、子育て、教育に関する講演も多数。「教育の基本は家庭にある」という信念のもと、教育改革、親子の意識改革について積極的に言及している。エッセイスト、98年より日本ユニセフ協会大使、2016年よりユニセフ・アジア親善大使としても活躍。『みんな地球に生きるひと』(岩波ジュニア新書)、『アグネスのはじめての子育て』(佼成出版社)など著書多数。2009年4月1日、すべての人に開かれたインターネット動画番組「アグネス大学」開校。2015.6.3シングル『プロポーズ』release!!(Youtubeで公開中)

AGNES CHAN OFFICIAL SITE ~アグネス・チャン オフィシャルサイト

構成:菅原然子/イラスト:あべゆきえ

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