2011.10.04
  • twitter
  • facebook
  • google+
  • はてなブックマーク
  • 印刷

行儀のよい子に育てるには?

第30回目のテーマは「我が子を行儀のよい子に育てるためには、どうすべきか?」です。

叱るのは逆効果、「できた時に褒める」が効果的

我が子が行儀のよい子に育ってほしいという願いは、大抵の親御さんが持つものでしょう。食事中、挨拶時、電車や店など公共の場で、その時々に居合わせた人々が気持ちよく過ごせるような態度をとれることが、「行儀がよい」ことだと私は考えます。では、どうすれば行儀のよい子に育つでしょうか。

基本的に、三つの方法があると思います。一つは「ご褒美と罰」、二つ目は「真似してもらう」、そして三つ目は「理解して納得してもらう」です。このうち、三つ目の「理解して納得してもらう」方法が最も理想的ですが、言葉がおぼつかない年齢の子には難しいので、一つ目の「ご褒美と罰」の変形版、「できた時に褒める」を実行してみてください。

我が家の三男は上の二人と違って、食事中の行儀が悪いほうでした。食物を口の中につめこむだけつめこんでずっと噛み続けるのです。こういう時、「やめなさい!」と叱るのは逆効果。大人の気を引こうと、ますます行儀悪くしようとします。

そこで、上品に食べられた時――少量ずつ口に運びよく噛んで食べられた時や、箸を持つ手と逆の手を器に添えられた時などに、たくさん褒めました。また、ごっこ遊びのように「イギリス貴族になって食べてみよう」と誘うと、その気になって背筋をぴんと伸ばし、優雅な物腰で食べる仕草をしてくれました。家庭での食事では、どうしても三男だけを見ているわけにもいかないので、たまに三男と二人だけでファミリーレストランなどへ行き、「今日はきれいに食べようね」と食事マナーを直す時間を設けたこともあります。 いずれの場合も、「できた時に褒める」がポイント。続けていると、だんだんよい習慣が身についていくでしょう。

公共の場のマナーを学ばせるには、親の工夫が必要

電車の中で大騒ぎをする子どもを時々目にします。我が家では、たとえボックス席でも向かい合わせに座ったり、子どもたちだけで座らせたりせず、前後各席に分かれ、且つ親が子どもに付き添って座っていました。そして子どもが飽きないよう、時々パパとママが入れ替わるなどの工夫をして、静かに過ごさせるようにしました。話をする時は、親が小さな声で話せば自然と子どもも真似するようになります。

自動車の場合も同じです。電車と違い家族しかいないとはいえ、むやみに騒がせないようにしました。子どもたちが飽きてくると、「下一ケタが8のナンバープレートのクルマを最初に見つけた人が勝ちね!」などとゲームをつくって楽しみました。

電車でも自動車でも、車中は行儀を学ばせるにはよい場所です。周りの人を見て自分を振り返る、つまり周囲に気を配る習慣を身につけさせる場になるでしょう。ただし、公共の場では子どもを飽きさせないよう、親が工夫する必要があると思います。

行儀は、社会で生きていくために不可欠

日本人の挨拶は少々形式的になりがち。長男は3歳まで、形だけの挨拶になかなか納得がいかず、「挨拶したくなければしなくてもいいでしょ」と言っていました。彼は「心のこもっていない挨拶は意味がない」と思っていたようです。

そこで私は、「相手が自分に興味を持ってくれるような、コミュニケーションのきっかけとなるような挨拶ができればお互いに楽しいし、気持ちがよいのでは?」と機会あるごとに話していました。そのおかげで、長男は挨拶の意義をだんだん理解するようになり、今ではとびきりの笑顔で挨拶をする大人になりました。しかも、相手をリラックスさせて会話を進めるのが上手く、挨拶が彼のコミュニケーションツールの一つになっているようです。

このように、社会とのつながりを持つ時、行儀というのはとても重要です。「一人で暮らしていくから、行儀が悪くてもいいのだ」と言う人もいるかもしれませんが、人間は一人では生きていけません。どこかで必ず人と関わり、行儀が必要となるのです。

私は息子たちに行儀を教える際、いつも「TPOをわきまえること」を掲げてきました。人間のキャラクターは「点ではなく線」ですから、裏表のない、いつも同じ自分でいることは大切です。しかし、学校では学生として勉強する、家庭では家族の一員として家事を手伝う、遊びの場では友だちとして楽しむ、というように、その場、その時にふさわしいふるまい=TPOをわきまえることは、社会で生きていくためには必要不可欠なものと言えるでしょう。そしてそれが、自然と行儀のよさにもつながっていくのではないでしょうか。

アグネス・チャン

1955年イギリス領香港生まれ。72年来日、「ひなげしの花」で歌手デビュー。上智大学国際学部を経て、78年カナダ・トロント大学(社会児童心理学科)を卒業。92年米国・スタンフォード大学教育学部博士課程修了、教育学博士号(Ph.D.)取得。目白大学客員教授を務め、子育て、教育に関する講演も多数。「教育の基本は家庭にある」という信念のもと、教育改革、親子の意識改革について積極的に言及している。エッセイスト、98年より日本ユニセフ協会大使、2016年よりユニセフ・アジア親善大使としても活躍。『みんな地球に生きるひと』(岩波ジュニア新書)、『アグネスのはじめての子育て』(佼成出版社)など著書多数。2009年4月1日、すべての人に開かれたインターネット動画番組「アグネス大学」開校。2015.6.3シングル『プロポーズ』release!!(Youtubeで公開中)

AGNES CHAN OFFICIAL SITE ~アグネス・チャン オフィシャルサイト

構成:菅原然子/イラスト:あべゆきえ

※当記事のすべてのコンテンツ(文・画像等)の無断使用を禁じます。

ご意見・ご要望・お悩み、お待ちしています!

「アグネスの教育アドバイス」では、取り上げて欲しいテーマ、教育や子育てのお悩み等を随時募集しております。下記リンクよりご投稿ください。
※いただいたご要望やお悩みは、企画やテーマ選びの参考にさせていただきます。
※学びの場.comから個別に回答をお返しすることはありません。

pagetop