親の声かけがないと進まない夏休みの宿題
8月、夏休み! 子どもたちはさぞかし満喫していることでしょう。ただ一つ気がかりなのは、親子共に悩むことが多い「宿題」です。
ある調査によると、小学生が「夏休みの宿題をやった時期」は、「少しずつ計画的にやった」子どもは約4割、「気が向いた時にやった」子どもは約2割、「最後にまとめてやった」子どもは1割。また、「親が口出ししなくても自分で宿題をやっていた」子どもは39.8%、「親が『宿題をしなさい』と声をかけた」が70.0%でした(Benesse教育研究開発センター「小学生の夏休み調査」2009年9月より。対象:全国の小学生をもつ母親4,644名)。
やはり自主的に宿題をやれる子どもは少ないようです。今月は、どうすれば子どもが夏休みの宿題を計画的に進められるようになるのか、考えてみましょう。
親の一工夫、あの手この手
そもそも私は「夏休みの宿題は不要」と考えています(笑)。人間は何もしない時に、それまでに吸収した情報を頭の中で整理し、自分のものにして成長するからです。長い夏休みはその絶好の機会。とはいえ、日本は欧米と違って4月から新学年が始まるため、夏休みはまだ学年の途中。そこでだれてしまっては大変ということで宿題が出されるのでしょう。
では、夏休みの宿題をためずに進めるにはどうしたらよいのでしょうか。小学校低学年までは、まだ親の助けが必要な子も多いでしょう。たとえばよく出される絵日記の宿題。これがはかどらない子には、子ども一人にやらせるのではなく、親子で交換日記のようにしてみてはいかがでしょうか。「毎日書く」ことがプレッシャーになる子には、1週間を区切りにして「それ以上はためない」という、すこしゆるめの設定にしてあげるのもよいかもしれません。
我が家の息子たちも幼い頃、絵日記の宿題は苦手でした。そこで私は、「必ず『ああ』『おや』『まあ』などの感嘆詞から書き始めてみる」や、「(工作の)飛び出す絵にしてみる」など、少しでも楽しめるような提案をし、一緒に作業しました。
また当時、「私は塗り絵がとても好き」ということになっていました。息子が絵日記の絵に色をつけないでいると「ママが好きに塗っちゃうよ!」と言っていたからです。すると息子は「ズボンをピンクに塗られたらたまらない!」と、慌てて自分で塗るのです(笑)。こうした親の一工夫で、子どもが自然と宿題に向かうようにもなります。
日本の学校でよく出される「自由研究」は、その子の特長がよく表れるよい宿題だと思います。コンピュータゲームが好きな子ならば、制作者にインタビューを申し込んでみるとか、本が好きな子ならば書店で一日店員を体験させてみるなど、その子が好きなことを発展させられるように、親も手助けしてあげられたらよいと思います。
夏休みの宿題が苦でなくなるよう、普段からできること


アグネス・チャン
1955年イギリス領香港生まれ。72年来日、「ひなげしの花」で歌手デビュー。上智大学国際学部を経て、78年カナダ・トロント大学(社会児童心理学科)を卒業。92年米国・スタンフォード大学教育学部博士課程修了、教育学博士号(Ph.D.)取得。目白大学客員教授を務め、子育て、教育に関する講演も多数。「教育の基本は家庭にある」という信念のもと、教育改革、親子の意識改革について積極的に言及している。エッセイスト、98年より日本ユニセフ協会大使、2016年よりユニセフ・アジア親善大使としても活躍。『みんな地球に生きるひと』(岩波ジュニア新書)、『アグネスのはじめての子育て』(佼成出版社)など著書多数。2009年4月1日、すべての人に開かれたインターネット動画番組「アグネス大学」開校。2015.6.3シングル『プロポーズ』release!!(Youtubeで公開中)
構成:菅原然子/イラスト:あべゆきえ
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