2010.04.06
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上手なほめ方・叱り方とは?

第12回目のテーマは「上手なほめ方・叱り方」。子どもをほめ、叱るには感情にまかせてはダメ。ぜひ覚えてほしいコツがあります。

子どもへのほめ方・叱り方に悩む親

 最近「我が子を上手にほめられない、叱り方がわからない」という声を聞きます。ある統計では、小学生の保護者の中で、子育て生活において「ほめ方・叱り方」に悩みを持つ人の割合が55.3%と高くなっています(ベネッセ「子育て生活基本調査」2007年より)。

 叱り方の悩みには、「つい感情的になってしまう」、あるいは「叱ることで子どもの心を傷つけたらどうしよう」といったものがあります。これは、親 自身が子ども時代にあまり叱られた経験がないため具体的な方法がわからないという、最近の親世代特有の傾向に関係していると思います。

 ほめ方では、「子どもの良いところが見つからず欠点のほうに目が向いてしまう」ということに悩む人がいます。これもやはり、子どもよりも自分自身や自己実現のほうが大事という、最近の親の意識が表れているのかもしれません。

ほめ言葉は植物にとっての“水”のようなもの

 人間には誰かにほめられたいという感情があるものです。特に、子どもは親にほめられることで大きな喜びを得るのです。そして、それが自信にもつな がるのです。逆に、ほめられた経験の少ない子は自信もないので、辛い思いをした時にそれを乗り越えるのが難しくなる傾向があります。

 では、上手なほめ方とは? まず、子どもが望ましい行動に少しでも近づいたらほめるというやり方があります。片づけが苦手な子の場合には、おも ちゃを少しでも整理できたら、おやつなどのご褒美と共に精一杯のほめ言葉をかけてあげるのです。特に、小学校入学前までの子の場合は、少し大げさなくらい にほめてあげるとよいでしょう。まだまだ性格も素直で親の言葉をスポンジのように吸収するので、次もほめられたいからもっときれいにしようと、努力するよ うにもなるのです。

 中学生以上になると他人の言葉に敏感になりますから、大げさにほめるよりも本当に感心した部分をストレートにほめてあげましょう。思春期の子ども の心は複雑です。人前でほめられたい子か、こっそりほめてもらいたい子か、子どものタイプに合わせたほめ方を考慮する必要もあるでしょう。

 学校の先生のほめ言葉には重要な役割があります。私は「ほめ言葉は、植物にとっての水のようなもの」と思っています。皆に必要なもので、しばらく 与えられない子どもは枯れてしまいます。だから、家庭での水が不足していて、自分に自信が持てない子には、先生がそれを補ってあげてほしいですね。

下手な叱り方、効果的な叱り方

 叱る時にはまず子どもの心理状態を考えてみてください。たとえば、子どもが良くない行動をする時、実は親に振り向いてほしくてやっている場合があ ります。そんな時は「部屋を片づけなさい。もう何回も言っているでしょ!」は逆効果。叱られても子どもは、「ママにかまってもらえて嬉しい!」という気持 ちになります。その結果、やめるどころかますます繰り返してしまうのです。

 叩いて教えるというのも間違った叱り方です。体罰を受けた子は、成長して親になった時、今度は自分の子どもを叩いてしまうという悪い連鎖が生じま す。また、「他人にも叩けばわからせることができるはずだ」と勘違いして、友だちに暴力をふるう子になる危険性もあります。その上、子ども自身がなぜ叩か れたのかを理解できなければ、また同じことをするでしょうし、親は叩く回数が2回、3回、4回と次第に増えていき、最悪の場合、虐待事件のようなことにな りかねません。

 子どもが言葉をわかるくらいの年齢になったら、納得するまで時間をかけて諭すように叱ることが肝心です。単に「だめでしょ」と言うのではなく、そ の行動がいけない理由を、その子がわかるように根気よく説明してあげるのです。そうすることで、次からはすすんで正しい行動がとれるように導くのです。

 先生の場合は、子どもから尊敬されているかどうかが、効果的な叱り方のポイントになります。「いつも面白い話をしてくれる先生」、「スポーツがす ごくできる先生」など、それぞれの得意分野を活用して、日頃から子どもたちに尊敬されるような先生でいてください。すると、子どもたちは先生から叱られた 時でも「大事な言葉」という意識を持ってしっかり耳を傾けてくれるはずです。

アグネス・チャン

1955年イギリス領香港生まれ。72年来日、「ひなげしの花」で歌手デビュー。上智大学国際学部を経て、78年カナダ・トロント大学(社会児童心理学科)を卒業。92年米国・スタンフォード大学教育学部博士課程修了、教育学博士号(Ph.D.)取得。目白大学客員教授を務め、子育て、教育に関する講演も多数。「教育の基本は家庭にある」という信念のもと、教育改革、親子の意識改革について積極的に言及している。エッセイスト、98年より日本ユニセフ協会大使、2016年よりユニセフ・アジア親善大使としても活躍。『みんな地球に生きるひと』(岩波ジュニア新書)、『アグネスのはじめての子育て』(佼成出版社)など著書多数。2009年4月1日、すべての人に開かれたインターネット動画番組「アグネス大学」開校。2015.6.3シングル『プロポーズ』release!!(Youtubeで公開中)

AGNES CHAN OFFICIAL SITE ~アグネス・チャン オフィシャルサイト

構成:後藤真/イラスト:あべゆきえ

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