2009.08.04
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携帯電話、コンピュータゲームをどう使わせる?

第4回目のテーマは「携帯電話やコンピュータゲームの使い方」です。小中学生の携帯電話所持を制限する条例が話題になっている今、子どもたちの"やりすぎ"にはやはり大人が注意しなければなりません。

面白さ・便利さと背中合わせの危険性

 学校が休みだからといって、コンピュータゲーム(以下、ゲーム)に一日中没頭している、あるいは夜遅くまで友だちと携帯電話のメールをやりとりし ている子、いませんか? 確かに、携帯電話は便利ですし、インターネットを利用すればいろいろな情報とつながって世界が広がるという魅力があります。そこ には大人でもつい夢中になってしまうほどの面白さがあるからだと思います。

 しかし、そうした利便性の影に危険性が潜んでいるのも事実。携帯電話からアクセスできるインターネット上には麻薬や性犯罪、架空請求やワンクリッ ク詐欺などに巻き込まれる恐れのある有害サイトがあります。また、深夜までメールのやりとりをして生活リズムを崩すなど、健康面への心配もあります。ゲー ムのやりすぎも、睡眠不足や視力低下など健康への悪影響があるでしょう。イギリスでは、電磁波の影響を考え子どもの携帯電話使用は避けるべきとの勧告が出 ているほど。日本ではあまり議論されませんが、この問題は軽視できません。

 そして私がもっとも懸念するのは、子どもが携帯電話やゲームの中毒になることです。

中毒や現実逃避に陥る子もいる!?

 携帯電話のメールはいつでも、どこでも、寝転がっても文章を打てます。ゲーム遊びは、画面の中で次々に難関を突破し、強敵を倒しながらだんだん興奮してハイになっていきます。この安易に得られる快感がやがて癖になり、中毒に陥る子も出てくるのです。

 中毒になると現実の世界が全部つまらなく見えてきます。いつでも自分の思い通りに操作できるメールやゲームと違って、現実の友人関係や勉強、クラ ブ活動などには複雑で面倒なことがたくさん起こります。もしもゲーム中毒の子どもがこれら現実の壁に直面したらどうなるでしょう。恐らくパニックを起こす に違いありません。自分の思い通りにならない現実世界への興味や意欲を失っていくかもしれません。

 現実逃避をしても当然、悩みや問題は解決できずに残り、それを避けるためにますます仮想的世界の快感にのめり込んでいくでしょう。そのうち何をしていても「早く家に帰ってゲームをやりたい」と思うようになり、気がついたら携帯電話をいじっていた、という状態になります。勉強するときでさえ、携帯電話を持っていないと集中できないという子どももいるくらいです。それがないと他のことが手につかず、取り上げられると苦しくなるのは、まさにタバコやアルコールの中毒と同じです。

 もちろん個人差があるので、誰もが必ず中毒になるわけではありません。逆に、絶対安心ともいえないのです。実際、我を忘れてゲームや携帯電話に熱中する姿を見て「この子、大丈夫かな」と不安を覚えている方は多いのでは? 子どもが自分で自分をコントロールするのは難しいもの。だったら、ここは大人が歯止めをかけてあげるべきでしょう。

大人がリードし使用時間を減らす工夫を

 まずは、使用時間を少しでも減らすことが大切。とはいえ、無理に取り上げるのではなく、携帯電話やゲーム以外にも楽しい遊びがたくさんあることを教え、子どもを振り向かせるのです。

 たとえば私がよくやるのは散歩です。「アイスクリームを食べにいかない?」「近所のネコを見にいこう」などと子どもを誘って、おしゃべりしながら歩いたり、公園の小川に葉っぱを浮かべてレースをしたり。ファッションに興味を持つ年頃なら「バーゲンに行こうか!」と街へ連れ出すのもいいですね。

 小学校低学年くらいまでなら、本の読み聞かせもおすすめです。我が家では小さい頃から息子たちに読み聞かせをしてきたおかげで、皆本の虫になりました。ゲームはずっと禁止していますが、「読書のほうが好きだから」と不満もないようです。

 使用時間を減らす以外には、使っていい場所や時間帯、アクセスしていいサイトを決めるなど、具体的な制限を家庭のルールとして設けるといいでしょう。これについては学校の役割も重要です。利便性と危険性を教えるだけでなく、たとえば「夜8時以降は友だちにメールを送らない」といった学校のルールを作り、皆で参加すれば、深夜までメールのやりとりをする子どもも減るのではないでしょうか。

 家族で過ごす時間が増える夏休みこそ、携帯電話やゲームの使わせ方を変えるチャンス。夜更かしを減らし、太陽の下で遊び、学ぶ、元気いっぱいの子どもたちであってほしいものですね。

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アグネス・チャン

1955年イギリス領香港生まれ。72年来日、「ひなげしの花」で歌手デビュー。上智大学国際学部を経て、78年カナダ・トロント大学(社会児童心理学科)を卒業。92年米国・スタンフォード大学教育学部博士課程修了、教育学博士号(Ph.D.)取得。目白大学客員教授を務め、子育て、教育に関する講演も多数。「教育の基本は家庭にある」という信念のもと、教育改革、親子の意識改革について積極的に言及している。エッセイスト、98年より日本ユニセフ協会大使、2016年よりユニセフ・アジア親善大使としても活躍。『みんな地球に生きるひと』(岩波ジュニア新書)、『アグネスのはじめての子育て』(佼成出版社)など著書多数。2009年4月1日、すべての人に開かれたインターネット動画番組「アグネス大学」開校。2015.6.3シングル『プロポーズ』release!!(Youtubeで公開中)

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構成:学びの場.com/イラスト:あべゆきえ

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