2018.09.05
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1歳10ヶ月の子どもに叩き癖がついてしまったようです。どうしたら?

私、アグネス・チャンがこれまで学んだ教育学の知識や子育ての経験を基に、学校や家庭教育の悩みについて考える連載エッセイ。今回は読者からのお悩みにお答えしていきます。

「1歳10ヶ月の娘が、気づいたときには叩き癖がついてしまい、気に入らない時や思い通りにならない時は、私たち親の顔や体、ペットや公園にいるお友達のことも叩きます。これまで私たち親が叩いてしつけるということはしたことがありません。他の子はそんなことしないのに、なぜ?」というご相談です。

1歳10カ月は、やっていいことか、よくないことか、子どもが試している時期

1歳10ヶ月くらいだと、もうそろそろ自分と相手との違いがわかりだす時期です。この時期は、何をやっていいか、よくないか、どんどん試してきます。

ものを投げたり、火を触ろうとしたり、なんでも試したくて仕方ありません。けれど、同時に人の顔色を伺って反応を見ているのです。

質問者さんのお子さんが最初に叩くという行動をとったときは、周りの大人がかまってくれて、面白いと感じたのでしょう。子どもにとっては怒られてもなんでも、「かまってくれる」というのは、自分の存在を認めてくれたという一番のご褒美なのです。

子どもの行動には、リアクションではなく、アクションを

それでも、人を叩くのはいけないこと。この時期から世の中のルールをきちんと教えていくことが一番大事なことです。
2歳になれば言葉が分かるようになるので、「人を叩いちゃいけないよ。動物も、物も、叩くのは良くないことだよ。」と説明してあげましょう。

1歳10カ月なら、子どもが叩く前に、「今、この子がやりたいことは何だろう?かまってもらいたいのかな」と予測してみましょう。そして、抱っこして「ママは君が大好き」とか、「一緒に何かやろう」と誘導してみるのはどうでしょう。質問者さんが先回りすれば、お子さんも叩くことなど忘れるはずです。

子どもが先にやってしまうと、止める側になってしまうので、これよりも先行することが大切です。リアクションではなく、アクションですね。何かが起きてから対応するのではなくて、自分から行動を起こしましょう。
そうやって、「もっと面白いことがたくさんあるのだ」と分かれば、叩くことを忘れるはず。集中して2週間やってみてください。きっと変わりますから。

テレビで見たことも、道端で見たことも、子どもは見たものをなんでも真似します。だから、お子さんが叩くという行動をとっても、質問者さんが自分を責める必要はありません。

子どもがまわりの真似をするのなら、親は子どもが真似できるような楽しいことをたくさんしてあげるといいですね。
踊ってみるとか、くるくる床に転がってみるとか。手を使いたいのなら、手で遊ぶゲームもいっぱいあります。どんどん違う遊び、違う面白いことを見せてあげて、「こんなに面白いママいないな」と子どもが思ってくれたらしめたもの。ジャングルジムとか、滑り台とか、球技とか、子どもが真似したいなと思うようなことを親子で一緒にやれば、忙しくて叩くのも忘れてしまいますよ。ほかにも、何か叩きたいのならボールを叩けばいいし、ドラムやピアノなど叩くものはいろいろあるので、よい方向へ誘導してあげましょう。

子どもの存在価値を認めて、親子で成長しましょう

相手と自分との区別ができるようになると、子どもは相手を支配したいという気持ちが芽生えて、威嚇行動に出ることがあります。
小さな子どもなら、どうすればこの場を支配できるようになるのだろうかと、泣く、走り騒ぐといった行動に出ます。

例えば、女子高生たちがたむろして大声で笑っているのも「わたしたちは若いでしょ、すごいでしょ」と周囲に認めさせるための威嚇行動の1つと考えることができます。どちらも自分の存在価値を確かめているのです。

小さな子どもだけではなく、どの年代でも表現の仕方が違うだけで、「威嚇しなければ逆に攻撃されるのではないか」といった心理が働いています。また一方で、区別ができるようになると、周りと自分を比べて、劣等感をもつ子もいるでしょう。

こうして心が不安定な時期がやってきたら「君は君でいいんだよ」と安心感を作ってあげることが大切です。人と比べるのではなく、「あなたが人と違うのは当たり前で、替えのきかない大切な存在なのだ」と無条件で愛してあげることです。
ただしどんなにパーフェクトな存在だったとしても磨くべきところはたくさんあります。これは子どもだけでなく、親にも言えることです。

私を含め、親もみんな欠点だらけ。他人を見下したり、どなったり、劣等感を抱えたり、そんな親は大勢います。でも子どもが産まれたのですから、親もそういう欠点を治そうという気持ちで、子どもと共に成長する覚悟を持ちましょう。

完璧な親などどこにもいません。けれど努力している親を見れば、子どもは必ず応えてくれますよ。

子どもを「しつけ」るのではなく、子どもと「ともに学ぶ」つもりで努力して、親子一緒に楽しみながら自分を磨いていきましょう。

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アグネス・チャン

1955年イギリス領香港生まれ。72年来日、「ひなげしの花」で歌手デビュー。上智大学国際学部を経て、78年カナダ・トロント大学(社会児童心理学科)を卒業。92年米国・スタンフォード大学教育学部博士課程修了、教育学博士号(Ph.D.)取得。目白大学客員教授を務め、子育て、教育に関する講演も多数。「教育の基本は家庭にある」という信念のもと、教育改革、親子の意識改革について積極的に言及している。エッセイスト、98年より日本ユニセフ協会大使、2016年よりユニセフ・アジア親善大使としても活躍。『みんな地球に生きるひと』(岩波ジュニア新書)、『アグネスのはじめての子育て』(佼成出版社)など著書多数。2009年4月1日、すべての人に開かれたインターネット動画番組「アグネス大学」開校。2015.6.3シングル『プロポーズ』release!!(Youtubeで公開中)

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構成・文・写真・イラスト:学びの場.com編集部

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