2018.08.01
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子どもにとって有意義な夏休みとは?

私、アグネス・チャンがこれまで学んだ教育学の知識や子育ての経験を基に、学校や家庭教育の悩みについて考えるヒントをご紹介します。第110回のテーマは「子どもにとって有意義な夏休みとは?」です。

夏休みは子どもの日々の成長が見られるチャンス

夏休みは、普段よりも育児に気を遣う必要があって大変という方もいらっしゃるかもしれません。確かにそうですね。

ですが、夏は陽が長く、海や山といった自然を謳歌できる季節です。

子どもはたくさん外で遊ぶことができ、よく食べて、よく寝て、まるでタケノコのように成長します。成長期なら夏休みが終わる頃には身長が1〜2センチ伸びてしまうこともあるくらい、とにかく子どもの成長が感じられる時期です。

私には3人の息子がいますが、夏休みはできるだけ休暇を取って、子どもたちと一緒に過ごすようにしていました。そうすると1年間の子どもたちの成長が夏休みでよくわかるようになります。

例えば、一緒に歌を歌えば「声が変わってきたな」とか、「洋服はもうママが決めたものは着ないんだな」とか、「人のことをよく気遣えるようになったな」とか、ちょっとした成長を見ることができて、親にとって一番報われるものでした。身長が伸びるといった身体的なことだけではなく、精神的な成長も見られるチャンスだと思うと、子どもとの夏休みをかけがえのないものに感じることができますよ。

それと、夏休みは緊張がゆるんで、子どもがぼうっとしている時が多いですよね。そんな時は無理に何かさせようとせずに、放っておくんです。

ぼうっとするというのは、成長する過程で今まで学んだことを消化していく時間ですから。1年間で学んだものを夏休み中に消化して、また空間を作って次の1年に備える。

だから夏休みは詰め詰めで勉強させようとは思いませんでした。

むしろゆっくりした時間を過させて、知識を消化させて、新たな空間を作って、次に、ハングリーになって、また学びたいという気持ちにさせることが大切です。だって、おなかいっぱいだと学びたくなくなってしまうでしょう?

単純な遊びが子どもにとっては忘れられない思い出

なかなかお休みを取ることができない、遠くへ遊びに連れていけないという方でも、お家の中でお金を掛けずにできることから考えてみましょう。

私は、いろいろな紙飛行機の作り方を覚えて、子どもと一緒にどうしたら遠くまで飛ばせるのかとか、風向きはどうか、などと真剣に子どもと話し合ったり遊んだりしていました。ちょっと外に出て遊べるようであれば、水風船を作って投げあいっこをしたり。とにかく一緒になって夢中で遊ぶようにしていましたね。

単純なことでも、子どもはずーっと楽しい思い出として覚えているもの。自分たちの家族が一番好きなものでいいのです。時間もお金もそんなにかけることはありません。簡単なことから始めてみてください。

休みがなかなかとれないという方でも、連休があるなら、夜のうちから電車で移動して、少し郊外に行ってみてはどうでしょうか?
テントに泊まり込んで流れ星を探すとか、明け方の釣りを楽しむといった、夏だからこそできる遊びがたくさんありますよ。
学校があるときには、あまり夜更かしはさせられませんが、夏休みならできてしまいます。
親はそのまま朝帰ってきて仕事に行くことになり、寝不足になってしまうかもしれませんが、親も精一杯頑張って一緒に遊んだという経験は一生、忘れないものです。

時間は限られていますから、「時間がない」ではなく「時間を探す」という気持ちを忘れずに、簡単なことでいいので、一緒に遊べる方法を探してみましょう。きっと、貴重な思い出になりますよ。

アグネスの教育アドバイス「「家庭での主権者教育、どうすべき?」イラスト

仕事場を見せることで親の“空白”をなくす

夏休みは子どものことを知るには良い機会というお話をしてきました。同時に子どもが親のことを理解する絶好の機会でもあります。

社会科見学のようなつもりで、親の仕事場を見せるというのもいいでしょう。最近、一部の企業では、夏休みに社員の子どもたちを会社に招待するといった企画が福利厚生の一環として実施され、好評を博していると聞きます。例えば子どもは会社に来て、パパはこういうところで毎日座って長い時間仕事しているんだ、ママの上司ってこういう人なんだな、親の言葉遣いが違うな、など感じることがあるでしょう。

もし社内に入れなくても、定期的に親の職場の近くで待ち合わせをして、一緒にお昼ご飯を食べるのもいいと思います。ときには職場の人も一緒に。

私は意識して職場を子どもに見せるようにしていました。そうすると子どもは親と離れているときでも、親が何をしているのか想像できるようになります。どこにいて、誰と一緒にいるのかをイメージできるようになると、子どもの中に親の“空白”がなくなって、親子の会話もどんどん噛み合ってきます。

親も子も、ともに楽しみながら成長しましょう

私は、とにかく夏休みが一番大切だと思っていたので、1年前から夏休みに向けて準備をしていました。今年の夏休みが終わったら来年の夏休みのことを考えるというように、1年がかりで計画を立てていたくらい楽しみでした。

そして夏が来たら、成長する喜びを子どもたちに味わせ、それについていけるように自分も走って、一緒に成長していく。そんな過ごし方をしていましたね。

子どもの成長が見られる時期は限られていますから、計画的に、そして日々のちょっとした工夫を忘れず、楽しく有意義な夏休みを過ごしてくださいね。

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アグネス・チャン

1955年イギリス領香港生まれ。72年来日、「ひなげしの花」で歌手デビュー。上智大学国際学部を経て、78年カナダ・トロント大学(社会児童心理学科)を卒業。92年米国・スタンフォード大学教育学部博士課程修了、教育学博士号(Ph.D.)取得。目白大学客員教授を務め、子育て、教育に関する講演も多数。「教育の基本は家庭にある」という信念のもと、教育改革、親子の意識改革について積極的に言及している。エッセイスト、98年より日本ユニセフ協会大使、2016年よりユニセフ・アジア親善大使としても活躍。『みんな地球に生きるひと』(岩波ジュニア新書)、『アグネスのはじめての子育て』(佼成出版社)など著書多数。2009年4月1日、すべての人に開かれたインターネット動画番組「アグネス大学」開校。2015.6.3シングル『プロポーズ』release!!(Youtubeで公開中)

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構成・文・写真・イラスト:学びの場.com編集部

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