2018.04.04
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子どもの運動神経を伸ばすには?

私、アグネス・チャンがこれまで学んだ教育学の知識や子育ての経験を基に、学校や家庭教育の悩みについて考える連載エッセイ。第107回目のテーマは「子どもの運動神経を伸ばすには、どうすればよいでしょうか?」です。

運動をするのは何のため?

走れば遅く、ボールを投げれば明後日の方向へ飛んでいく……そんな小学1年生の息子を心配する親御さんから、「運動神経を伸ばすには、どうすればよいでしょうか?」と相談が寄せられました。

そもそも子どもが運動をする意義は、体を動かす楽しさを知り、仲間との関わり方を学び、心身の健全な発育を促すことにあるはず。しかし、体育の授業では、どうしても他の子と比べられがちですから、その度に恥ずかしい思いをしたり、クラスメイトにからかわれたりして、自信を失ってしまう子や運動そのものを嫌いになってしまう子もいるでしょう。

これでは運動の意義そのものが失われてしまいかねません。親御さんが「勉強だけでなく、運動もそれなりにできる子に育ってほしい」と望むのも当然でしょう。そこで今回は、子どもの運動神経を伸ばすために、家庭で何ができるのかを考えてみます。

運動神経の発達には環境がモノを言う

よく「私の運動神経の悪さが、子どもに遺伝したのかしら?」などと悩まれる親御さんがいますが、子どもが運動オンチになる要因は親からの遺伝よりも、幼児期の「環境」が大きく影響するようです。例えば、親が運動に苦手意識があると、子どもと一緒に体を動かす機会も少なくなりがちです。

逆に、親が日常的にスポーツをしていたり、友達が活動的な子だったりすると、子どもも自然と運動に親しむようになるでしょう。運動をする環境さえ整えてあげれば、運動神経の発達に必要な「走る」「跳ぶ」「投げる」「蹴る」などの様々な動きの経験を積みますので、どんな子どもも自然と運動神経は伸びていくでしょう。

ただ、体育の授業と同様に、スポーツクラブのコーチの教え方と合わない、仲間となじめないなどの理由でやる気を失ってしまう子どももいるでしょう。そうした場合は、なぜやりたくないのか? 嫌いなのか? 子どもからよく聞き出してみましょう。理由によっては、クラブを変える、別の運動にトライさせるなど、環境を変えることでもっと夢中になれる運動が見つかると思います。

好きなスポーツに熱中させる

一方、骨格や筋肉の付き方などは親から遺伝し、その人の個性となって表れるでしょう。このため、走る、泳ぐ、跳ねる、投げるなど得意な動作も一人ひとり異なりますから、走るのは遅くても泳ぐのは速い、サッカーは苦手でも卓球は上手など、運動の向き・不向きはあると思います。しかし、人間は皆、生まれながらにして動くようにできている生き物ですから、その人の個性に合った運動は必ずあるはず。よく子どもの姿を観察して、得意だったり、夢中になれたりするものを見つけてあげてください。自分に合った運動に出合えれば、自信を持てるようになると思います。

我が家の場合、息子達が小さな頃は一緒に公園で遊んだり、縄跳びや鉄棒を教えたりしていました。小学生になると、長男は野球、次男はサッカーをやりたがったので、それぞれ地域の少年チームに入れました。それを機に他のスポーツにも興味を持ったので、合気道やバドミントンなど様々なスポーツを体験させました。その後、長男は持ち前のリーダーシップを活かしてラクロスの司令塔に。足の速い次男は走り幅跳びが得意に。三男はアメリカンフットボールで活躍し、今はロッククライミングに熱中しています。

日本はウィンタースポーツや武道も盛んで、施設や道具も整っており、選択肢がたくさんありますから、我が子に合った運動や環境がきっと見つかると思います。本来、運動は健康な心身を育むためのもの。体育の成績の良し悪しは気にせず、楽しく運動神経を伸ばしてあげてください。

アグネスの教育アドバイス:子どもの運動神経を伸ばすには? イラスト

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アグネス・チャン

1955年イギリス領香港生まれ。72年来日、「ひなげしの花」で歌手デビュー。上智大学国際学部を経て、78年カナダ・トロント大学(社会児童心理学科)を卒業。92年米国・スタンフォード大学教育学部博士課程修了、教育学博士号(Ph.D.)取得。目白大学客員教授を務め、子育て、教育に関する講演も多数。「教育の基本は家庭にある」という信念のもと、教育改革、親子の意識改革について積極的に言及している。エッセイスト、98年より日本ユニセフ協会大使、2016年よりユニセフ・アジア親善大使としても活躍。『みんな地球に生きるひと』(岩波ジュニア新書)、『アグネスのはじめての子育て』(佼成出版社)など著書多数。2009年4月1日、すべての人に開かれたインターネット動画番組「アグネス大学」開校。2015.6.3シングル『プロポーズ』release!!(Youtubeで公開中)

AGNES CHAN OFFICIAL SITE ~アグネス・チャン オフィシャルサイト

構成:吉田教子/イラスト:あべゆきえ

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