2017.07.05
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子ども部屋は必要ですか?

子ども部屋は必要ですか?

私、アグネス・チャンがこれまで学んだ教育学の知識や子育ての経験を基に、学校や家庭教育の悩みについて考える連載エッセイ。第98回目のテーマは「人格形成や学力向上のため、子どもに個室を与えるべきでしょうか?」です。

どうする? 我が家の子ども部屋

「息子も小学 4 年生。そろそろ子ども部屋を与えるべきでしょうか?」……ある親御さんから、こんな相談が寄せられました。「小さなうちは親の目の届く場所で勉強する『リビング学習』が良いと聞き、これまで勉強も遊びもリビングでさせてきた」という親御さん。子どもの成長に伴い、「学習や生活の面で自立を促すために自分の部屋を持たせた方がよいのかどうか」判断に迷っていると言います。

プライバシーを重視する欧米では子どもが小さなうちから個室を与えるのが一般的ですが、日本の場合は住宅事情もあり、なかなか簡単にはいかないもの。我が家ではどうするべきか、同じように頭を悩ませている親御さんも少なくないのではないでしょうか。

しかし、子ども部屋を与えるにあたっては、それが子どもや親子関係にどのような影響を与えるのかをよく理解しておく必要があると思います。その上で子どもに自分の部屋を与えるかどうかを判断し、与えるのであれば、どのような点に配慮すべきかを知っておかなくてはならないでしょう。

優先すべきは親子のコミュニケーション

私は、子ども部屋は絶対に必要なものではないと考えています。居心地の良い個室を与えれば、子どもはそこにこもりがちになる可能性があるからです。特に、ただでさえ親子の会話が減りやすい思春期に顔を合わす機会まで少なくなってしまうのは、決して良いことではないでしょう。誘惑の多い今の社会では、いつ何時、子どもがトラブルに巻き込まれるかわかりません。我が子が何に興味を持ち、どのような友達と付き合っているのか、親としてはできる限り把握しておきたいもの。その点、子どもが同じ空間で過ごしていればコミュニケーションの機会が増え、何か悩みを抱えている時にも察知しやすいと思います。

また、子どもの自立心や集中力は部屋を与えるだけで養えるものではないと考えます。自ら進んで宿題や片付けをしたり、集中して物事に取り組んだりできる子に育てるには、親の働きかけが不可欠だということを忘れてはならないでしょう。

子ども部屋を「聖域」にさせない工夫を

アグネスの教育アドバイス「子ども部屋を聖域にさせない工夫を」イラスト

とはいえ、子どもも年頃になれば一人で過ごしたい時もあるでしょうし、男女のきょうだいであれば着替えなどで困ることもあるでしょう。その場合、広めの部屋や共有スペースを間仕切りしてプライベートな空間を作ってあげる手もあります。個室を与えるのであれば、それを子どもだけの「聖域」にさせない工夫が大切になると思います。

3人の息子に小さな頃から個室を与えていた我が家では、子ども部屋のドアは開けておくことが原則でした。あらかじめ隣り合う子ども部屋の間の壁に窓を作り、完全な密室にならないようにはしていましたが、それでもドアはオープンが基本。私も遠慮せず、夜食などを持って気軽に子ども部屋を訪ねていました。ただし、例えば音楽好きの次男が自作の曲を録音する場合など、子どもがドアを閉めている時にはノックをしてから入るようにしていました。こんな風にマナーを守りつつ親密な親子関係を築いていれば、子どもが「部屋に鍵を付けてほしい」「お母さんは入ってこないで」などと言い出すこともないはずです。

その他には、子どもが夢中になるゲームや漫画にも注意が求められると思います。私はある程度の自己コントロールが可能になる高校入学までゲームと漫画を息子達に禁じていましたが、そうでない場合は自分の部屋に持ち込ませないようにルールを作るべきでしょう。

子ども部屋を与えるために、わざわざ建増しや大掛かりなリフォームが必要なのであれば、あえて個室を作ることにこだわらず、そのお金を教育投資に回すという選択肢もあると思います。進学費用に当ててもよいでしょうし、親子で何かを体験したり、子どもに何かを学ばせたりすることに投資をするのもよいでしょう。子ども部屋を作ることがすべてではないのでは? 我が子にとって何が一番大切か、その優先順位を考えて、より良い選択をしていただければと思います。

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アグネス・チャン

アグネス・チャン

1955年イギリス領香港生まれ。72年来日、「ひなげしの花」で歌手デビュー。上智大学国際学部を経て、78年カナダ・トロント大学(社会児童心理学科)を卒業。92年米国・スタンフォード大学教育学部博士課程修了、教育学博士号(Ph.D.)取得。目白大学客員教授を務め、子育て、教育に関する講演も多数。「教育の基本は家庭にある」という信念のもと、教育改革、親子の意識改革について積極的に言及している。エッセイスト、98年より日本ユニセフ協会大使、2016年よりユニセフ・アジア親善大使としても活躍。『みんな地球に生きるひと』(岩波ジュニア新書)、『アグネスのはじめての子育て』(佼成出版社)など著書多数。2009年4月1日、すべての人に開かれたインターネット動画番組「アグネス大学」開校。2015.6.3シングル『プロポーズ』release!!(Youtubeで公開中)

AGNES CHAN OFFICIAL SITE ~アグネス・チャン オフィシャルサイト

構成:吉田教子/イラスト:あべゆきえ

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