2017.06.07
  • twitter
  • facebook
  • google+
  • はてなブックマーク
  • 印刷

引っ込み思案の子、どうすればいい?

引っ込み思案の子、どうすればいい?

私、アグネス・チャンがこれまで学んだ教育学の知識や子育ての経験を基に、学校や家庭教育の悩みについて考える連載エッセイ。第97回目のテーマは「小学4年生の我が子が引っ込み思案で困っています。どう対応すればよいでしょうか?」です。

口うるさく指摘するのは逆効果

「うちの子は授業中に手を挙げて発言したり、自分から人の輪に入っていったりすることが大の苦手」「歴代の担任教師から引っ込み思案を指摘され、『改善しましょう』と言われます」……小学生の子を持つ親御さんから、こんな悩みをよく聞きます。

親や教師は物怖じせずハキハキと自己主張できる子を求めがちですが、子ども自身は大人が思うほど引っ込み思案な性格を気にしてはいないもの。むしろ周りから口うるさく指摘されることがプレッシャーになり、「自分はダメな子なんだ」と自信を失わせてしまいかねません。では、教師や親は引っ込み思案な子にどう対応すればよいのでしょうか。今月はそれを考えてみます。

大事なのは「自分で考え、学ぼうとする力」

引っ込み思案と言っても、「自分の考えは持っているけれど、それを表現するのが恥ずかしくて少し苦手」という程度なら、さほど問題はないと私は考えます。そういう子は授業で学んだことをきちんと吸収し、意見を求められれば答えられると思うからです。

ただし、学習の場で質問も発表もせずに黙っていることが習慣化し、子どもの「自分で考え、学ぼうとする力」が弱まっているのであれば改善すべきでしょう。昨今、学校現場では児童生徒の教え合いによって学びを深めるグループ学習が重視されていて、教師による一方向的な授業より学習効果の高いことが実証されていると聞きます。とは言え、子どもが主体的に参加しなければ、せっかくの効果もあまり期待できません。そのままでは、この先の競争社会を生き抜くことも難しくなってしまうでしょう。

では、そんな学びに消極的な引っ込み思案の子を見極め、自分の意見を表現できるようにするには、どうすればよいのでしょうか。私は大学で授業をする際、発言しない学生にあえて正解のない問いを投げかけます。そこで自分なりの意見を述べられないなら、自分で考え、学ぼうとしていないということ。そうした時は「後でもう一度聞くからね」と考えることを促すと共に、皆で意見を共有して学ぶことの大切さを伝えています。小学校のグループ学習でも、こんな風に引っ込み思案の子から発言を引き出す工夫をしていただければと思います。

こうした働きかけは家庭でも可能です。私は3人の息子達に幼い頃から家族の会話に参加させ、色々なことについて意見を聞くようにしてきました。時間はかかるかもしれませんが、自分の頭で考え、それを表現させるように繰り返し努めれば、きっと成果が現れるはずです。

子どもが「自己表現せずにはいられない」きっかけ作りを

また、引っ込み思案の子は自分が人からどのように見られているのかがとても気になるもの。親や教師は「人は人、自分は自分。周りを気にする必要はないんだよ」と、日頃から子どもに言い聞かせるべきでしょう。そして、周りの視線を忘れてしまうような状況に身を置かせてみてください。というのも、私自身、それがきっかけで引っ込み思案を克服できたからです。私は中学生の時にボランティア活動に参加したのですが、自分が恥ずかしがって黙っていては、貧しい子ども達のために寄付を集めることはできません。初めて自分から何かをする必要に迫られた私は、無我夢中になって行動を起こしました。そうしたら、たくさんの人の前で話をしたり、歌ったりと、それまでの自分なら考えもしなかったようなことをやり遂げることができたのです。

引っ込み思案の子は「目立ちたい」「認められたい」という気持ちが薄いので、自分のために人前で何かをするということには、むしろ苦痛を感じるでしょう。しかし、自分より弱い者や助けを求めている人のために何かしなくてはいけない状況に直面すれば、引っ込み思案な自分を忘れ、自然とアクションが起こせるのではないでしょうか。ボランティア活動に限らず、弟や妹など小さな子の面倒を見させることも有効だと思います。きっかけとなる経験を与えて、「自分にもできるんだ!」という自信につなげてあげてください。

質問、お待ちしております!

「アグネスの教育アドバイス」では、取り上げて欲しいテーマ、ご質問、ご相談等を随時募集しております。下記よりご投稿ください。
※投稿フォームの本文に「アグネスの教育アドバイス」への投稿である旨を明記してください。
※取材企画の参考にさせていただきますが、テーマとして採用されない場合があります。
※いただいたご質問・ご相談に対し学びの場.comから個別に回答をお返しすることはありません。

アグネス・チャン

アグネス・チャン

1955年イギリス領香港生まれ。72年来日、「ひなげしの花」で歌手デビュー。上智大学国際学部を経て、78年カナダ・トロント大学(社会児童心理学科)を卒業。92年米国・スタンフォード大学教育学部博士課程修了、教育学博士号(Ph.D.)取得。目白大学客員教授を務め、子育て、教育に関する講演も多数。「教育の基本は家庭にある」という信念のもと、教育改革、親子の意識改革について積極的に言及している。エッセイスト、98年より日本ユニセフ協会大使、2016年よりユニセフ・アジア親善大使としても活躍。『みんな地球に生きるひと』(岩波ジュニア新書)、『アグネスのはじめての子育て』(佼成出版社)など著書多数。2009年4月1日、すべての人に開かれたインターネット動画番組「アグネス大学」開校。2015.6.3シングル『プロポーズ』release!!(Youtubeで公開中)

AGNES CHAN OFFICIAL SITE ~アグネス・チャン オフィシャルサイト

構成:吉田教子/イラスト:あべゆきえ

※当記事のすべてのコンテンツ(文・画像等)の無断使用を禁じます。

pagetop