2007.10.16
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カレーでかれいに変身 【食と科学】[小5-6・クラブ活動]

第十五回目のテーマは「カレーでかれいに変身」。カレー粉を使って食物の色の変化を楽しみましょう。

藤本勇二(ふじもと ゆうじ)

武庫川女子大学教育学部 教授。小学校教諭として地域の人に学ぶ食育を実践。文部科学省「食に関する指導の手引き」作成委員、「今後の学校における食育の在り方に関する有識者会議」委員。「食と農の応援団」団員。環境カウンセラー(環境省)。2010年4月より武庫川女子大学文学部教育学科専任講師。主な著書は『学びを深める 食育ハンドブック』(学研)、『ワークショップでつくる-食の授業アイデア集-』(全国学校給食協会)など。問題解決とワークショップをもとにした食育の実践研究に取り組む「食育実践研究会」代表。'12年4月より本コーナーにて実践事例を研究会のメンバーが順次提案する。

イラスト

 前回に続いてカレーを取り上げます。カレー粉を入れて焼きそばを作ると不思議なことに焼きそばの色が変わっていきます。今回は科学の側面からカレーをみてみます。クラブ活動で取り上げてみました。

焼きそばにカレー粉を入れると赤くなる

【用意するもの】
焼きそば麺(原料にかん水を使用しているもの※)、カレー粉 、水、ウスターソースなどを用意します。

 ホットプレートに水を入れ、焼きそば麺をよくほぐします。カレー粉を小さじ1~2杯ふり入れて、よくかきまぜます。すると最初黄色だったカレー粉入り焼きそばがだんだん赤色に変わっていきます。

 カレー粉にはウコンが入っています。ウコンの色素成分(クルクミン)は物質の酸性・アルカリ性によって色が変わるという特性を持っているそうです(小学校6年生の理科の学習で登場するリトマス試験紙と同じです)。

1.焼きそば麺をよくほぐす
1.焼きそば麺をよくほぐす
2.カレー粉をふり入れて、よくかきまぜる
2. カレー粉をふり入れて、よくかきまぜる
3.[左側] すると、焼きそばがだんだん赤色に変わっていく
3. [左側]すると、焼きそばがだんだん赤色に変わっていく
  [右側]しかし、ソースをかけると元に戻る

 焼きそば麺の原料にはかん水が使われています。かん水は炭酸ナトリウム・炭酸カリウムが主成分ですので、アルカリ性です。このため、麺のかん水とカレー粉が反応し、赤い色になるのです。

※ 焼きそば麺によっては、かん水の量に多少ばらつきがあり、変化しないものがあるので、事前に試してから実験することが大切です。

ソースをかけるとカレー粉の色が元に戻る

 次に、この赤い焼きそばにウスターソースをかけます。

 今度はソースの中の酸性成分が反応し、アルカリ性が弱められ、カレー粉はいわゆるカレー色に戻ります。焼きそばの色も赤色からまた元のカレー色に戻っていきます。

 ウスターソースの代わりにお酢やレモン汁でも色を元に戻すことができますが、後で食べるならウスターソースがおすすめです。
 

 紅茶にレモンのスライスを入れると紅茶の色が薄くなるのも同じ現象です。レモンの酸が紅茶に溶け、紅茶がレモンの酸によって酸性になります。すると紅茶の色の成分が変化して色が薄くなり、黄色っぽくなるのです。
レモンだけでなく、ミカンやリンゴなど、酸を含んだ果物を入れても色は薄くなります。
 

 紅茶は液の酸性に反応するのです。また梅漬けで使うシソの葉は梅酢で真っ赤になりますし、ショウガは甘酢に漬けておくときれいなピンク色になります。これもアントシアンという色素が、アルカリだと青色、酸性だと赤色になるためです。

文:藤本勇二 イラスト:あべゆきえ、みうらし~まる〈黒板〉

授業の展開案

鍋にカレー粉と水を加え、ろ紙を入れて煮ます。ろ紙が染まったら鍋から取り出し、干して乾かすと、カレー粉の試験紙ができます。これを使って、身の回りの水溶液の性質を調べてみましょう。
 

ショウガやミョウガなどに酢を作用させると、真っ赤な色が鮮明に現れます。酢をかけると鮮やかな赤色に変わる食材を探してみましょう。

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