2021.12.24
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

琥珀糖をつくろう 【食と科学】[小5・理科]

食育は家庭科や総合的な学習の時間だけが受け持つものではありません。理科、社会科などどの教科でもアイディア次第で楽しく展開できます。教材開発のノウハウや子ども達の興味・関心を高めながら、望ましい食生活習慣を育てていく授業作りのヒントを、武庫川女子大学・藤本勇二先生主宰、食で授業をつくる会「食育実践研究会」がご紹介します。第179回目の単元は「琥珀糖をつくろう」です。

授業情報

テーマ:食と科学
教科:理科
学年:小学校5年生

琥珀糖をつくって「物の溶け方」を学ぼう

琥珀糖は、寒天と砂糖を固めたものを乾かし、表面の砂糖を結晶化させたお菓子です。外側はシャリっと歯触りがよく、内側はトロッと軽い不思議な食感のお菓子です。食紅やかき氷シロップで色を付けたり、味や香りを付けたりとお菓子作りの工夫が楽しめます。見た目がキラキラ美しいので、「食べる宝石」と呼ばれています。

小学校5年生理科「物の溶け方」の学習では、「物が水に溶ける量には,限度があること」「物が水に溶ける量は水の温度や量、溶ける物によって違うこと。」「溶けている物を取り出すことができること」を学習します。ここでの学習内容とつなげる自由研究の取組として紹介します。

<用意するもの>

粉寒天            4g
水        200ml
グラニュー糖    300g
食紅           少量
NGKサイエンスサイト 日本ガイシ株式会社で紹介されている量を参考にしました。

<作り方>

①鍋に粉寒天とグラニュー糖、水を入れて中火にかけ、沸騰するまで温め、粉寒天を溶かす。

②温めている途中にあくが出てくるので、ていねいに取る。糸を引く程度のとろみがついたら火から下ろす。

③容器に入れ、食紅などで好みの色をつける。

④30分ほどで固まったら、好みの大きさにカットし、クッキングシートの上に広げ、3日~1週間ほど乾燥させて完成。

※あくをしっかり取るときれいな色になります。食紅は、ごく少量で色が出せるので量に注意します。

琥珀糖の変化を観察する

  • 図1 材料を火にかける

  • 図2 あくを取る

  • 図3 食紅で色をつける

  • 図4 切り分ける

  • 図5 トレイに流し込んでつくる

  • 図6-1 琥珀糖の変化

  • 図6-2 琥珀糖の変化

  • 図7 小さなびんに入れる

図5のようにトレイに溶かした液を流し込んで、つまようじや竹串の先に食紅をつけて色をつけることもできます。

琥珀糖の原理と歴史

日を追うごとに琥珀糖の表面が乾燥し、結晶化した砂糖で覆われていきます。これを再結晶と言います。白く砂糖をまぶしたようになります。琥珀糖は表面が十分に乾燥して、結晶化し、ベトベトしなくなったらできがありです。

再結晶化とは、「一度溶けた砂糖が、再び結晶化する」ことです。いちごあめやりんごあめを作る際に砂糖を溶かしていて、あっという間に砂糖に戻ってしまう現象と同じです。砂糖と水を火にかけると、温度が上昇して沸騰します。水分がどんどん蒸発していき、一定のところまで糖度が上がると、さらに温度も上がっていきます。この状態でシロップに衝撃を与えると、砂糖が再結晶化する原因になるのです。鍋の縁についた砂糖が核となったり、激しく混ぜたりすると再結晶しやすくなります。

現在は、安価で入手が簡単な砂糖も、昔は高級品でした。 砂糖が日本に伝わった奈良時代は、貴重な薬として使われていたと言います。次第にお菓子の材料に使われるようになって、江戸時代に作られるようになったのが、琥珀糖だそうです。

授業の展開例

〇温度によって大きく変化する砂糖の溶解度の差を利用して、砂糖を溶かしたシロップから再び結晶化させてシュガーロックキャンディを作ることができます。

藤本勇二(ふじもと ゆうじ)

武庫川女子大学教育学部 准教授。小学校教諭として地域の人に学ぶ食育を実践。文部科学省「食に関する指導の手引き」作成委員、「今後の学校における食育の在り方に関する有識者会議」委員。「食と農の応援団」団員。環境カウンセラー(環境省)。2010年4月より武庫川女子大学文学部教育学科専任講師。主な著書は『学びを深める 食育ハンドブック』(学研)、『ワークショップでつくる-食の授業アイデア集-』(全国学校給食協会)など。問題解決とワークショップをもとにした食育の実践研究に取り組む「食育実践研究会」代表。'12年4月より本コーナーにて実践事例を研究会のメンバーが順次提案する。

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop