藤本勇二(ふじもと ゆうじ)
武庫川女子大学教育学部 教授。小学校教諭として地域の人に学ぶ食育を実践。文部科学省「食に関する指導の手引き」作成委員、「今後の学校における食育の在り方に関する有識者会議」委員。「食と農の応援団」団員。環境カウンセラー(環境省)。2010年4月より武庫川女子大学文学部教育学科専任講師。主な著書は『学びを深める 食育ハンドブック』(学研)、『ワークショップでつくる-食の授業アイデア集-』(全国学校給食協会)など。問題解決とワークショップをもとにした食育の実践研究に取り組む「食育実践研究会」代表。'12年4月より本コーナーにて実践事例を研究会のメンバーが順次提案する。
夏は水分補給が大切です。しかし清涼飲料水を飲みすぎると、糖分のとりすぎが心配になります。清涼飲料水に含まれる砂糖が、入っている量ほどには甘く感じない秘密を調べながら、砂糖のとりすぎについて考えます。さらに、上手な水分補給の方法に気づかせていく学習です。体育の保健領域で1時間ほど授業をしました。 ペットボトル飲料への注意を喚起 子どもが好む飲み物には多くの糖分が含まれています。清涼飲料水を多量に飲用して糖尿病を発症する「ペットボトル症候群」が注目されています。知らず知らずのうちに大量の砂糖をとっているのです。そこで、糖分がそれほどたくさん含まれているとは思えない清涼飲料水に、実は多く含まれていることを知り、そのことを通して、糖分のとりすぎに対する自覚を持たせたいと考えました。
以上の目標を設定してとり組みました。 砂糖をとりすぎるとどうなるか? はじめに、炭酸飲料を見せながら そこでペットボトルの表示に注目させました。ところが、表示を見てもどこにも「砂糖」とは書いていません。「糖分」の文字も見つかりません。 次に、砂糖をとりすぎるとどうなるか話し合いました。子どもたちからは 「他にもあるよ」と言って、 こんなに砂糖が入っている! 次に砂糖がどれくらい入っているかを角砂糖で示しました。 「こんなにたくさん砂糖が入っているのに、そんなに甘く感じないのはどうしてだろう?」と投げかけて、飲み比べの活動につなげました。 飲み比べして感じたことや考えたことを班で話し合わせると 「アイスクリームも溶けたときにはとても甘く感じますね。炭酸飲料だってぬるくなったら甘くなりますね。同じことなのです」。 上手な水分補給を考える 最後に、糖分のとりすぎは将来、生活習慣病になる危険性があることに触れた後、水分補給の上手な方法についてグループで話し合わせました。 子どものころの食習慣が大人になってからの生活習慣病につながりやすいと言われます。清涼飲料水が一方的に悪いというのではありません。自分の健康に留意し、問題意識を持ち、望ましい水分補給とは何かをよく考えて実践する、「かしこく飲む」ことが大切なのです。 (文:藤本勇二 イラスト:あべゆきえ、みうらし~まる〈黒板〉) |
授業の展開案
清涼飲料水の容器に印刷されているラベルに書かれていることを調べてみましょう。
お菓子やケーキに含まれる糖分の量についても調べてみましょう。
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