2007.05.15
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イチゴで桜もち 【食と安全】[小6・家庭科・特活]

第十回目のテーマは「イチゴで桜もち」。イチゴで色をつけた桜もちで季節を味わいましょう。

藤本勇二(ふじもと ゆうじ)

武庫川女子大学教育学部 准教授。小学校教諭として地域の人に学ぶ食育を実践。文部科学省「食に関する指導の手引き」作成委員、「今後の学校における食育の在り方に関する有識者会議」委員。「食と農の応援団」団員。環境カウンセラー(環境省)。2010年4月より武庫川女子大学文学部教育学科専任講師。主な著書は『学びを深める 食育ハンドブック』(学研)、『ワークショップでつくる-食の授業アイデア集-』(全国学校給食協会)など。問題解決とワークショップをもとにした食育の実践研究に取り組む「食育実践研究会」代表。'12年4月より本コーナーにて実践事例を研究会のメンバーが順次提案する。

 
桜もち

 イチゴで淡いピンクに染めた桜もちを作りました。春の季節感を盛り込みながら食品の表示に関心を持ち、食品添加物のできるだけ少ないお菓子を選ぶことの大切さに気づくことができました。さらに、感謝の気持ちを伝えるお菓子の魅力にも目を向けた6年生での実践です。

春らしいお菓子でおもてなし 

 

 家庭科の内容に「お世話になった人たちのことを考え、感謝の気持ちを伝えられるようにできることを計画し、実践すること」があります。そこで学活の時間も使ってお世話になった先生方をもてなす謝恩会を計画しました。「感謝の気持ちを表現するためには、お菓子にもこだわりたい」と子どもたちはおもてなしのお菓子について相談しました。そこで、春らしい季節感が出ている桜もちを作ることにしました。

イチゴで色をつけよう

 桜もちの薄いピンクの色はどうやってつけているのかを調べてみました。買ってきた桜もちの表示を確認すると「着色料」と書かれていました。
「この桜もちって、色がつけてあるんだ」とあらためて食品添加物の存在に気がつきました。

 これをきっかけに子どもたちは
 「食べていると舌が緑になるお菓子があるよ」
 「着色料って添加物っていうんだよね」
 「漬物やジュースにも使われているよ」
 「うちの母さんはあまり濃い色のついているお菓子は体によくないって言ってたよ」
 と、着色料に関心を持ち始めました。

 まず、用意していたお菓子の表示を見て着色料が使われているかどうかを確かめてみました。鮮やかな色のお菓子には着色料が使われていました。
次に、桜もちの作り方をインターネットで調べてみると、少量の食紅を使って染めていることを知りました。
 「どんな添加物が使われているかを表示を見て確認することが大切です。できれば添加物の少ないものを食べたいね。もちろん食紅は食品衛生法で認められた添加物ですが、今回は食紅を使わずに色をつけることに挑戦してみようか」と、みんなで話し合いました。そこで見つけたのがイチゴです。イチゴなら季節感もぴったりです。

イチゴの香りも大好評

 「食紅のかわりにイチゴの果汁で色をつけた桜もち」レシピを簡単に紹介します。

【1個分の材料】
もち米  15g
こしあん 20g
砂糖 (もち米3升に対して600CC入れました)
塩  少々
オオシマザクラの葉っぱ 1枚(地域の和菓子屋さんを通じて手に入れました)
イチゴ (もち米3升に対して100個使いました)

【手 順】

イチゴをつぶす
イチゴをつぶす

つぶしたイチゴを裏ごしして汁を作る。
つぶしたイチゴを裏ごしして汁を作る

イチゴの汁を入れてもち米をたく
イチゴの汁を入れてもち米をたく

もちを葉っぱでくるんで盛りつける
もちを葉っぱでくるんで盛りつける 

1日目:色をつける
1. 用意したイチゴの半分の量をつぶして裏ごしをする。
2. もち米を洗い、そこへ1のイチゴの汁を入れて一晩つけておく。もち米が少しピンクの色にそまる。
2日目:もちを作る
3. 残りの半分のイチゴをつぶし、裏ごしをして汁を作る。
4. イチゴの汁を入れ、砂糖を加え、水をたして分量の水でもち米をたく。
5. こしあんを分けて丸めておく。
6. 葉っぱを水で洗って塩を抜く。キッチンペーパーでふいて水気をとる。
7. 蒸し上がったもち米を大鍋に入れて水分を少しとる。もち米を等分に分けて5のこしあんを包む。
8. 葉っぱでくるんでできあがり。手に水を少しつけると作りやすい。
桜もちのできあがり。
桜もちのできあがり。
イチゴのほのかな色と香りがおいしそう!


 ほのかなイチゴの香りがする桜もちができあがりました。子どもたちは「春の香りがする!」と大喜びでした。もちろん先生方にも大好評でレシピを教えて欲しいとリクエストが相次ぎました。桜もちとイチゴは相性がいいようです。

(文:藤本勇二 イラスト:あべゆきえ、みうらし~まる〈黒板〉)

授業の展開案

いつも食べているおやつにどんな食品添加物が使われているかを調べてみましょう。
 

桜もちには関西系(道明寺粉を使用)と関東風(白玉粉を使用)があります。それぞれを作って食べ比べてみましょう。

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