2014.01.14
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食育と授業:いちごあめをつくろう! 【食と科学】[小4-6・クラブ活動]

食育は家庭科や総合的な学習の時間だけが受け持つものではありません。理科、社会科などどの教科でもアイディア次第で楽しく展開できます。教材開発のノウハウや子ども達の興味・関心を高めながら、望ましい食生活習慣を育てていく授業作りのヒントを、武庫川女子大学・藤本勇二先生主宰、食で授業をつくる会「食育実践研究会」がご紹介します。第八十九回目の単元は「いちごあめをつくろう!」です。

砂糖は加熱によってその状態が変化します。砂糖を水に溶かし熱を加えると、最初は無色透明だった液体が次第に褐色になり性質も変わっていきます。今回は砂糖の温度による変化を、いちごあめを作ることで学びます。いちごあめは、パリッと香ばしいあめと、イチゴの味が一緒に楽しめるお菓子です。クラブ活動で行う1時間の活動です。

砂糖の変身

「砂糖が変身した食べ物を知っていますか?」
 この問いから授業は始まりました。「綿菓子」「べっこうあめ」という意見が出てきます。
「正解ですね。砂糖を水に溶かして温めていくと、次第に粘り気が出てきて、色がついてきます。砂糖は温度によって変化するのです。この変化の様子を観察するのによい方法があります。いちごあめを作ってみましょう」
 と話すと、子どもたちから歓声が上がりました。

いちごあめを作る

作り方の基本は、水と砂糖を火にかけ、砂糖があめになったらイチゴを入れ、あめを絡ませる方法です。その後、冷ましてあめが固まれば完成です。
いちごあめの作り方

【材料(2~3人分)】
・イチゴ:1パック
・砂糖:130g
・水:40cc

【手順】
(1) イチゴを洗い、水気をしっかり取って、1個ずつクシに刺す。
(2) 砂糖、水を鍋に入れて煮詰める。強火でよい。
大きな泡が盛んに上がるまで 砂糖を煮詰める

大きな泡が盛んに上がるまで 砂糖を煮詰める

(3) 焦げないように気をつけながら煮詰めていくと、砂糖が溶けて大きな泡が盛んに上がる。
(4) 泡の上がり方がゆっくりになり、ほんのり色づいてきたらあめの出来上がり。
イチゴをあめの中で 2~3回クルクルとくぐらせる

イチゴをあめの中で 2~3回クルクルとくぐらせる

(5) 鍋を火から下ろし、イチゴをあめにくぐらせる。この時、イチゴを2~3回あめの中でクルクル回し、よくあめを切る。やけどに注意して、あめに直接触れないこと。
トレイに並べて冷ます

トレイに並べて冷ます

(6) トレイにバターを塗っておき、その上に(5)を並べて冷ます。その他、発泡スチロールに串を刺して冷ます方法が便利(串が刺せるものであれば、何でもOK)。
【注意事項】
・イチゴはよく洗い、水気を完全に拭き取る。水気が残っていると、高温のあめ(約150℃にもなっている)につけた時にパチパチはじく上、コーティングしたあめが固まらない原因にもなる。
・やけどには十分注意する。軍手を2枚重ねて行うとよい。多人数で鍋を囲む時は危険率も上がるので、特に注意する。

加熱温度によって色々なお菓子が出来る

「いちごあめに使ったあめを温め続けると、プリンにかかっているカラメルソースになります」
 と話すと、子どもたちは驚いた様子です。続けて
「砂糖は水に溶かして温度を加えると、様々な形状に変化します。そして、その煮詰め温度によって、再び冷やした時の状態はどんどん変わっていきます。これは、砂糖ならではの性質。この性質のおかげで、色々な食品が生まれています」
 と説明し、砂糖の煮詰め温度と形状の変化を紹介しました。次の通りです。
165℃
べっこうあめ
103℃~105℃
シラップ(シロップ)
107℃~115℃
フォンダン
115℃~121℃
キャラメル
140℃
タフィー
145℃
ドロップ
165℃~180℃
カラメルソース
190℃
カラメル

(右側の名称は、この温度の砂糖に適する調理名です。【参考】「知って上手に使おう!砂糖のすごい力」農林水産省

「シロップって聞いたことある」
「砂糖ってすごいね」
 と言いながら、子どもたちは興味深そうに聞いていました。

授業の展開例
  • イチゴの他に、ブドウやバナナ、姫りんごでも作れます。いちごあめと同じようにやってみましょう。
  • 照焼き等の調理では、砂糖が加熱によってあめ状になって照りができ、おいしそうな焼き色も生み出します。料理で砂糖をどのように使うか調べてみましょう。

藤本勇二(ふじもと ゆうじ)

武庫川女子大学教育学部 教授。小学校教諭として地域の人に学ぶ食育を実践。文部科学省「食に関する指導の手引き」作成委員、「今後の学校における食育の在り方に関する有識者会議」委員。「食と農の応援団」団員。環境カウンセラー(環境省)。2010年4月より武庫川女子大学文学部教育学科専任講師。主な著書は『学びを深める 食育ハンドブック』(学研)、『ワークショップでつくる-食の授業アイデア集-』(全国学校給食協会)など。問題解決とワークショップをもとにした食育の実践研究に取り組む「食育実践研究会」代表。'12年4月より本コーナーにて実践事例を研究会のメンバーが順次提案する。

文:藤本勇二/イラスト:あべゆきえみうらし~まる〈黒板〉

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