2010.08.17
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米粉で作るチヂミ 【食と暮らし】[小4・学活]

食育は家庭科や総合的な学習の時間だけが受け持つものではありません。理科、社会科などどの教科でもアイディア次第で楽しく展開できます。教材開発のノウハウや子ども達の興味・関心を高めながら、望ましい食生活習慣を育てていく授業作りのヒントを、武庫川女子大学・藤本勇二先生主宰、食で授業をつくる会「食育実践研究会」がご紹介します。第四十九回目の単元は「米粉で作るチヂミ」。チヂミを作って米粉のよさに関心を持たせましょう。

米粉は、お米の新しい需要につながると、食品産業からも農業からも注目が集まっています。お米の粉は、うるち米から作られる「上新粉」、もち米から作られ る「白玉粉」などがあり、昔から「ういろう」「柏餅」「だんご」「白玉だんご」などの材料として幅広く利用されていました。今回は、簡単にできるチヂミを 作りながら、米粉と小麦粉の違いに目を向けます。4年生で学活の時間に1時間ほど取り上げてみました。実践にあたって、JA徳島市 女性部のレシピをもとにしました。

チヂミを作ろう

「お好み焼きを作ったことあるかな」
という問いかけから授業は始まりました。
「食べたことはあるけど、作ったことはない」
「ぼくはおばちゃんと焼いたことあるよ」
子どもたちのそんな発言を受けて、
「今日は、お隣の国の韓国のお好み焼きを作ります。名前はチヂミといいます」
と話します。
「知ってる!」
「食べたことある」
「おいしいんだよ」
子どもたちの声が大きくなります。そこでまず、材料と作り方を説明します。

【材料(4人分)】

米粉 …… 500 g
カツオ風味調味料 …… 大さじ1~1.5
塩 …… 小さじ2
ヤマイモ …… 10~15 cmくらい
卵 …… 2個
ニラ …… 1束
ニンジン …… 1/2本
エビ …… 200 g
ゴマ油 …… 適宜
市販のたれ

作り方は――

(1) 米粉500 gに、カツオ風味調味料、塩、ヤマイモ、卵を入れ、水を入れて混ぜ合わせる。

(2) ニラは2~3 cmの長さに切る。ニンジンも2~3 cmの長さに薄く切る。(1)にニラ、ニンジン、エビを入れる。

(3) ゴマ油を多めに入れたフライパンに流し入れて、カリカリになるまで焼く。

(4) 焼き上がったら、食べやすい大きさに切り分ける。

(5) たれをかけて食べる。

米粉ってなあに?

材料を説明していると、すぐに
「米粉ってなんですか」
という質問が出ました。
「チヂミは、小麦粉で作ることが多いのですが、今日は小麦粉の代わりにお米の粉を使って作りましょう。お米には2種類あります。普段ご飯として食べている うるち米、お餅にするもち米です。米粉は、昔から、せんべい、だんご、和菓子などいろんな食品に使われています。たとえば、草餅は上新粉(うるち米)、白 玉だんごは白玉粉(もち米)を使っています。最近では、細かな米粉を作る新しい技術が開発され、パンや洋菓子、めん類などにも使われるようになりました」
このように簡単に米粉について説明した後、チヂミ作りが始まりました。

 チヂミは作り方がたいへん簡単で、家庭科を習っていない4年生でもすぐにできます。包丁の使い方とフライパンに油を引い て焼くのでやけどには注意させますが、それ以外は子どもたちだけで充分にできます。米粉にはグルテンが含まれていないので、小麦粉のように混ぜすぎると硬 くなるというようなことがなく、この点も子どもたちの作業にはもってこいです。

 子どもたちは、生地の厚さを薄めにしたり、直径を小さくしたりして焼くと、食感がカリカリとなって美味しいことに気づき、「ミニ」と呼んで直径5 cmほどの生地にして焼いていました。

米粉と小麦粉の違い

教師があらかじめ用意しておいた小麦粉を使った生地で焼いたチヂミと食べ比べてみます。子どもたちは
「米粉のほうがカリカリだ」
「モチモチだ」
「やっぱりお米だからかな」
など二つの粉の違いをはっきり捉えていました。表面のサクサク感と生地全体のもっちり感の点でも米粉のほうが小麦粉よりもおいしいようです。

 子どもたちの感想を紹介します。
「米粉でチヂミを作ると、中はモッチリ、外はカリカリでとてもおいしかったです」。

「米粉で作ったチヂミは、小麦粉と違っていました。小麦粉よりもカリカリしていました。弱く焼くとモチモチで、強く焼くとカリカリでした。とくにふちのところはカリカリでした。いろんな味が食べられておいしかったです」。

「チヂミは普通小麦粉で作ったらパリパリするけど、米粉だとモチモチしてて、おいしかったからまた作って食べたいです。作り方も簡単でおいしかったです」。

授業の展開例
  • お米の粉は昔から、せんべい、だんご、和菓子などいろんな食品に使われています。どんな食品に使われているか調べてみましょう。
  • チヂミのほかにもピザやお好み焼きなどで小麦粉の代わりに米粉を使って食品を作ってみましょう。そして二つの粉の違いを調べてみましょう。

藤本勇二(ふじもと ゆうじ)

武庫川女子大学教育学部 准教授。小学校教諭として地域の人に学ぶ食育を実践。文部科学省「食に関する指導の手引き」作成委員、「今後の学校における食育の在り方に関する有識者会議」委員。「食と農の応援団」団員。環境カウンセラー(環境省)。2010年4月より武庫川女子大学文学部教育学科専任講師。主な著書は『学びを深める 食育ハンドブック』(学研)、『ワークショップでつくる-食の授業アイデア集-』(全国学校給食協会)など。問題解決とワークショップをもとにした食育の実践研究に取り組む「食育実践研究会」代表。'12年4月より本コーナーにて実践事例を研究会のメンバーが順次提案する。

文:藤本勇二 イラスト:あべゆきえみうらし~まる〈黒板〉

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