2010.04.20
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お箸を上手に使おう 【食とマナー】[小4・学活]

食育は家庭科や総合的な学習の時間だけが受け持つものではありません。理科、社会科などどの教科でもアイディア次第で楽しく展開できます。教材開発のノウハウや子ども達の興味・関心を高めながら、望ましい食生活習慣を育てていく授業作りのヒントを、武庫川女子大学・藤本勇二先生主宰、食で授業をつくる会「食育実践研究会」がご紹介します。第四十五回目の単元は「お箸を上手に使おう」。豆を運ぶゲームを通して、箸の上手な使い方に関心を持たせましょう。

和食は日本の文化です。和食を食する際に使用するのが箸です。つまり、箸の持ち方は日本の食生活の基本でもあります。日本の食文化とは切っても切れないは ずの箸ですが、スプーンやフォークを使う料理が増え、箸を上手に使えない子どもが増えています。箸の正しい使い方に関心を持たせる4年生、学活の1時間の 授業です。

ソラマメを箸で運ぶ

はじめに、子どもたちにソラマメを莢ごと渡します。大きな莢に子どもたちはびっくり。莢の中からソラマメを取り出します。出てきた豆の大きさにまたまたびっくり。豆に対する関心が一気に高まります。莢に細かい産毛が生えているので何度も触っています。

莢の中からソラマメを取り出す

紙コップと箸を渡して、
「箸を使って、この紙コップの中にソラマメを入れてごらん」
と話すと、どの子も
「簡単だよ」
「つまみやすいよ」
「でも大きな豆だね」
と笑顔で話しています。

エンドウマメはやや難、ダイズは一気に難!

筋を取り、莢から出てきたエンドウマメ

次にエンドウマメを渡します。エンドウマメの筋を取ることを説明します。莢の中から 出てきたエンドウマメを見た子どもたちは
「これ食べたことあるよ」
「丸いなあ」
「ご飯に入れるとおいしいよ」
と大喜びです。

こんなに大きさが違うエンドウマメとソラマメ

紙コップを渡して、
「今度はエンドウマメを箸を使ってこの紙コップの中に入れてごらん」
と話すと、自分たちで数を数えて競争し始めます。今度は、ソラマメと違って うまく出来ない子もいます。グループ全員(4~5人)が箸を使ったところで、
「上手に豆を運んだ子がいましたね、どこがよかったのかな?」
と聞くと、箸の持ち方がよかったからだと答えてくれます。
「どんなふうに箸を持てばいいのかな」
について話し、正しい箸の持ち方を確認しながら、もう一度やってみます。

ダイズを箸で運ぶのはとても難しい

続いて、ダイズでも同じようにやってみます。 エンドウマメと同じように丸いのですが、大豆は乾燥しているので、一気に難易度が上がります。

箸の正しい使い方を教えるには

豆を運ぶゲームを楽しんだ後は、(1)箸のマナーを知る、(2)箸の正しい持ち方を知る、(3)今日の学習でわかったことを日常の食生活にどのように生かしていくか考える――このような流れで学習を進めました。

 箸の正しい使い方を教えたい、そう思うと大抵の場合、「正しい使い方は……」「持ち方は……」と説明から始めます。そして、子どもたちにわかりやすく説明しようと、パネルを用意して話す、できるだけ難しい言葉を使わないで説明する……等に注意を払いがちです。

 もちろんこうした話し方は大切ですが、これだけでは十分ではありません。子どもたちにとっての関心事は、活動することな のです。活動することで、「もっと○○したい」「どうして○○なのだろうか」と願いや疑問が浮かんできます。そこにマナーの説明が入ると、子どもたちは、 はじめて「わかる」のです。

授業の展開例
  • たて箸や刺し箸、ねぶり箸など食事中にやってはいけない箸の使い方があります。自分の箸のマナーを確認してみましょう。
  • 箸の長さを変えてみると、豆運びが途端にやりにくくなります。自分にとって使いやすい箸の長さが把握できます。

藤本勇二(ふじもと ゆうじ)

武庫川女子大学教育学部 准教授。小学校教諭として地域の人に学ぶ食育を実践。文部科学省「食に関する指導の手引き」作成委員、「今後の学校における食育の在り方に関する有識者会議」委員。「食と農の応援団」団員。環境カウンセラー(環境省)。2010年4月より武庫川女子大学文学部教育学科専任講師。主な著書は『学びを深める 食育ハンドブック』(学研)、『ワークショップでつくる-食の授業アイデア集-』(全国学校給食協会)など。問題解決とワークショップをもとにした食育の実践研究に取り組む「食育実践研究会」代表。'12年4月より本コーナーにて実践事例を研究会のメンバーが順次提案する。

文:藤本勇二 イラスト:あべゆきえみうらし~まる〈黒板〉

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