2009.03.17
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私はだれでしょう 【食と科学】[小4・集会活動・クラブ活動]

食育は家庭科や総合的な学習の時間だけが受け持つものではありません。理科、社会科などどの教科でもアイディア次第で楽しく展開できます。教材開発のノウハウや子ども達の興味・関心を高めながら、望ましい食生活習慣を育てていく授業作りのヒントを、武庫川女子大学・藤本勇二先生主宰、食で授業をつくる会「食育実践研究会」がご紹介します。第三十二回目のテーマは「食と科学」。野菜の名前当てゲームを通して、楽しみながら野菜の特徴に関心を持たせます。

ダイコンの特徴は? と聞かれたら、
「土の中にできる白くて細長い野菜」
と答えられます。今度は逆に、
「土の中にできる白くて細長い野菜は?」
こう聞かれると、想像力が膨らみます。
「ネギかな、ダイコンかな、なんだろう?」
と考えるところに興味を持たせるポイントがあります。さらに、一つの野菜を説明するヒントを子どもたち自身が考えることで、野菜の特徴をはっきりとらえることができます。
「私は何の野菜?」と「10のヒント」。二つのゲームを楽しみながら野菜に関心を持たせる実践です。

「私は何の野菜?」ゲーム

絵カードの内容を見ずに、背中で持つ

野菜の絵カードを一人に1枚ずつ配ります。配られた本人は絵カードの内容を見ないようにします。そして、そのまま絵カードを背中で持ち、 相手を見つけて次のようにあいさつします。
「はじめまして、私はこういうものです」
こう言って、背中を相手の方に向け、絵カードを見せるのです。 相手も同じようにあいさつをします。

相手に背中を向けて、絵カードを見せる

あいさつが終われば、質問をお互いに一つだけします。
「私は手の上に載る大きさですか」
「緑色の野菜ですか」
というように、ハイ、イイエで答えることができる質問にかぎります。
「私は何色ですか」
「私は何という字から始まりますか」
というような、具体的な特徴を言わせる質問はしてはいけません。

 一つずつ質問が終わったら、
「ありがとうございました」
と言って別れ、相手を替えて同じことを繰り返していきます。相手を交代するたびに少しずつヒントが増えるので、自分が何の野菜であるかかが分かっていきます。

 分かった、これで大丈夫、と思ったら、先生のところに行って、
「私はネギですか」
と最後の質問をします。当たっていたら、先生は
「当たり!」
はずれていたら
「はずれ!」
と言います。当たったら絵カードを確認します。当たった人はその後、質問を受ける役としてゲームに参加します。

 子どもが最後まで分からなくて、いやな思いをしないように、数人が残ったところで全員を集め、今度は
「これくらいの大きさです」
「色は赤だよ」
というような具体的で、さらに易しいヒントを出すことにします。

「10のヒント」ゲーム

3~4人で一つのグループを作ります。各グループに左写真のようなワークシート を配ります(ただし、写真のワークシートは完成品です。子どもたちには何も書いていないものを配ります)。

 先ほどの野菜の絵カードをそれぞれのグループに渡して、その野菜の特徴や利用法を表すヒントを10個考えさせます。ヒントは1が一番難しく、10が一番易しくなるように並べることとします。

 この時、子どもたちだけではヒントを思いつかないこともありますので、グループを回ってヒントのアドバイスをします。
あとは子どもたちの考えたヒントを順番に発表させ、みんなで当てて楽しみます。

10のヒント【例】

1:栄養がある
2:土の中で育つ
3:辛味がある
4:大きさは両手分ぐらい
5:根っこが多い
6:皮が茶色
7:切ると中は白い
8:肉じゃがに入っている
9:カレーに入っている
10:切ると涙が出る

答え:タマネギ

1:栄養がある
2:店で売っている
3:地上でできる
4:タネが多い
5:野菜炒めに使う
6:にがい
7:手のひらに載る大きさ
8:嫌いな人が多い
9:緑色
10:中身がない

答え:ピーマン

1:漢字が難しい
2:毛が生えている
3:細い
4:手で折れる
5:生では食べない
6:外は茶色
7:中は白い
8:土の中で育つ
9:取り出すのが大変
10:きんぴらと言えば

答え:ごぼう

1:食感はやわらかい
2:給食にはあまり出ない
3:畑で作っている
4:嫌いな子が多い
5:お汁に入れる
6:焼くとおいしい
7:へたがある
8:中は薄い黄色
9:○○ビ、とも言う
10:外は紫色

答え:ナス

※今回紹介しました二つのゲームは、ネイチャーゲームの「私は誰でしょう」をもとにしています。
ネイチャーゲームは、1979年、米国のナチュラリスト、ジョセフ・コーネル氏により発表された自然体験プログラムです。
授業の展開例
  • 自分たちで作った10のヒントをきっかけに、野菜の特徴をもっと詳しく調べてみたり、家族に聞いてみたりしましょう。
  • 「10のヒント」を給食便りや校内放送での献立のお知らせに活用してもらいましょう。

藤本勇二(ふじもと ゆうじ)

武庫川女子大学教育学部 准教授。小学校教諭として地域の人に学ぶ食育を実践。文部科学省「食に関する指導の手引き」作成委員、「今後の学校における食育の在り方に関する有識者会議」委員。「食と農の応援団」団員。環境カウンセラー(環境省)。2010年4月より武庫川女子大学文学部教育学科専任講師。主な著書は『学びを深める 食育ハンドブック』(学研)、『ワークショップでつくる-食の授業アイデア集-』(全国学校給食協会)など。問題解決とワークショップをもとにした食育の実践研究に取り組む「食育実践研究会」代表。'12年4月より本コーナーにて実践事例を研究会のメンバーが順次提案する。

文:藤本勇二 イラスト:あべゆきえみうらし~まる〈黒板〉

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