2008.12.16
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小麦粉でガムを作ろう 【食と科学】[小4-6・特別活動:クラブ]

食育は家庭科や総合的な学習の時間だけが受け持つものではありません。理科、社会科などどの教科でもアイディア次第で楽しく展開できます。教材開発のノウハウや子ども達の興味・関心を高めながら、望ましい食生活習慣を育てていく授業作りのヒントを、武庫川女子大学・藤本勇二先生主宰、食で授業をつくる会「食育実践研究会」がご紹介します。第二十九回目のテーマは「食と科学」。小麦粉でガムを作って小麦粉の性質に関心を持ちましょう。

藤本勇二(ふじもと ゆうじ)

武庫川女子大学教育学部 准教授。小学校教諭として地域の人に学ぶ食育を実践。文部科学省「食に関する指導の手引き」作成委員、「今後の学校における食育の在り方に関する有識者会議」委員。「食と農の応援団」団員。環境カウンセラー(環境省)。2010年4月より武庫川女子大学文学部教育学科専任講師。主な著書は『学びを深める 食育ハンドブック』(学研)、『ワークショップでつくる-食の授業アイデア集-』(全国学校給食協会)など。問題解決とワークショップをもとにした食育の実践研究に取り組む「食育実践研究会」代表。'12年4月より本コーナーにて実践事例を研究会のメンバーが順次提案する。

 

 三大穀物といわれるのが、米、トウモロコシ、小麦です。麺を作るのには、小麦粉を使います。なぜでしょうか。
小麦粉に水を入れてこねます。粘りと弾力が次第に出てきます。この生地を使って小麦の性質を調べて、麺を作ることのできる粉の秘密に迫ります。科学クラブで1時間ほどの活動です。

 

最初に小麦粉のデンプンを確かめよう

【用意するもの】
・ボウル
・小麦粉(強力粉):100g
・食塩:小さじ1杯
・水:100ml
・ヨウ素液(ポビドンヨード主成分のうがい薬でも可)※ビールの色くらいに薄めておく
【注意】
・ガムを作るので、手や道具はきれいに洗っておきます。
・ヨウ素液を入れた小麦粉とガムは食べないようにしましょう。

 最初に、小麦粉の一部に薄めたヨウ素液を数滴落としてみます。小麦粉が青紫色に変化するのを確認しましょう。デンプンがある証拠です。なお、ヨウ素液を入れた小麦粉はガム作りには使用しないでください。

 食塩を水に溶かして食塩水を作ります。水100mlに小さじ1杯程度の塩水です。ボウルに小麦粉を100gほど入れ、食塩水を加えて、小麦粉をよくこねます。このとき、食塩水を少しずつ足しながら生地がまとまるようにします。できた生地の半分が一人分となります。

 生地を丸くまとめて、1時間ほど置いておきます(ここで置いておく時間を短くすると、後で作るガムの弾力性がなくなってしまいます。これは、うどんを上手に作るコツにもつながります)。

小麦粉の生地を洗い流すとできあがり

 寝かせておいた小麦粉の生地を洗い流します。少しだけ水を出し、手の平で小麦粉のかたまりをこすりながら洗います。すると、白くにごった水が出てきます。

 白くにごった水が出てこなくなればできあがり。ぶよぶよしたかたまりが残り、これが小麦粉ガムです。口に入れて噛んでみても味はありませんが、ガムの食感です。

 できた小麦粉ガムを一部取り出して、薄めたヨウ素液を数滴落とし、色の変化を見てみます。今度は色が変化しません。デンプンがなくなったのです。生地を洗い流したときに出てきた白くにごった水にはデンプンが溶けていたのです。

ガムの正体はグルテン

 小麦粉は主にタンパク質とデンプンでできています。最初に小麦粉にヨウ素液を落とすと青紫色になりましたが、小麦粉ガムにヨウ素液を落としても色の変化はありませんでした。それはデンプンが水に溶けるため、水で小麦粉を洗うとデンプンが流れてしまうからです。

 残った小麦粉ガムはタンパク質でできています。小麦粉に含まれるタンパク質を「グルテン」といいます。コメやトウモロコシはグルテンとなる成分を含んでいません。したがって、こねてもパサパサとなるだけでつながらず、麺ができないのです。

 食塩水を小麦粉に入れたのは、グルテンの弾力性を強めるためです。塩を入れることで弾力性が高まります。これはうどん作りのコツと同じです。また、うどん作りでもこねた生地を一度置いておきます。“寝かす”ことにより、グルテンが網目状にくっつき合い、弾力性が高まるのです。

 日本でも戦争中、ガムの材料が不足してガムが食べられないときに、このグルテンを使って小麦粉からガムを作って食べていたそうです。

授業の展開案

-薄力粉や中力粉で同じように小麦粉ガムを作ってもうまくできません。薄力粉や中力粉にはグルテンが少ないことが分かります。実際に作って比べてみましょう。

-上記の実験により、薄力粉、中力粉、強力粉という粉の違いはグルテンの量の違いであることがわかりました。それぞれの粉の用途を調べてみましょう。

文:藤本勇二 イラスト:あべゆきえ、みうらし~まる〈黒板〉

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