2008.09.16
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べっこうあめから考えよう 【食と安全】[小4・学活]

第二十六回目のテーマは「食と安全」。べっこうあめを作ってお菓子の添加物に関心を持ちましょう。

藤本勇二(ふじもと ゆうじ)

武庫川女子大学教育学部 准教授。小学校教諭として地域の人に学ぶ食育を実践。文部科学省「食に関する指導の手引き」作成委員、「今後の学校における食育の在り方に関する有識者会議」委員。「食と農の応援団」団員。環境カウンセラー(環境省)。2010年4月より武庫川女子大学文学部教育学科専任講師。主な著書は『学びを深める 食育ハンドブック』(学研)、『ワークショップでつくる-食の授業アイデア集-』(全国学校給食協会)など。問題解決とワークショップをもとにした食育の実践研究に取り組む「食育実践研究会」代表。'12年4月より本コーナーにて実践事例を研究会のメンバーが順次提案する。

べっこうあめ

 

 普段食べている食品に何が入っているか、関心を持つことはとても大切です。そのためには表示を見る習慣が大事になります。今回は2種類のあめを食べ比べます。砂糖と水だけで作るべっこうあめを食べたあとで、買ってきたあめと味や入っているものを比べます。食品添加物の存在に気づかせる1時間の授業です。

べっこうあめ作り

  べっこうあめを作るためには、次のものを用意します。

【材料】 砂糖、水
【道具】 スプーン、アルミカップ、つまようじ、ホットプレート

 

ホットプレートから降ろす
ホットプレートから降ろすつまようじを刺して冷ます
つまようじを刺して冷ますできあがり
できあがり

  次のような手順で作ります。
(1)アルミカップにスプーン1杯の砂糖を入れ、砂糖がしめるぐらいの水を入れます。
(2)それをホットプレートの上に乗せ、黄色くなってきたらアルミカップをホットプレートから降ろします。このとき、やけどをしやすいので注意しましょう。
(3)つまようじを刺して冷まします。
(4)固まったらアルミカップをはがして、できあがりです。

 水の量は神経質に計量しなくても大丈夫です。煮詰めるのに多少の時間差ができますが、必ずあめになります。アルミカップは上手にはがれない場合があるので、注意深くはがしましょう。

二種類のあめを比べる

 自分たちで作ったべっこうあめをさっそく食べてみます。
「甘い!」
「おいしい!」
と、子どもたちはにこにこしています。中には煮詰めすぎて「にがーい」と言っている子もいますが、楽しい空気が流れます。

「べっこうあめの材料は何ですか?」
と聞きます。
「砂糖と水」
と子どもたち。
「そうですね。ここに買ってきたキャンディがあります。食べ比べてみましょう」
子どもたちにはワークシートを配り、味について気づいたことを書いてもらいます。
「このキャンディはオレンジの味がする」
「私のはピーチだ」
「こっちの方がおいしい」
などと言っています。

「買ってきたキャンディには何が入っていると思いますか?」
「オレンジ」
「果物の汁」
「味を付けるもと」
これ以上は子どもたちには想像ができないようです。


買ってきたあめの表示を見る

「キャンディに何が入っているのか、どうすれば分かるかな?」
「袋に書いてあるよ」
「そうですね。これを『表示』と言います。『原材料名』と書いて『げんざいりょうめい』と読みますが、この言葉の次にどんな材料が入っているのかが書いてあります。調べてワークシートに書いておきましょう」

「水飴が入っているよ」
「やっぱり果汁が入ってた」
「香料って何だろう」
「(酸味料を指して)これって何て読むんですか?」
「トレハロースって聞いたことがあるよ!」
等々、にぎやかに作業を進めました。

 

買ってきたあめの表示を調べる

 「売っているキャンディには砂糖以外にもいろいろなものが入っていることが分かりましたね。それはおいしそうに見えたり、保存しやすいために入れているものが多いのです。普段みんなが食べているキャンディにはどんなものが入っているかを調べて、表示を切り取って貼っておきましょう」
 と言って宿題にしました。

 後日、子どもたちが提出した宿題には、次のように食品添加物に関心を持ち始めた記述が見られました。
「野菜は入っていないのに野菜色素と書いてあった。何だろう」
「大豆由来って何だろうと父さんに聞いたら、大豆をもとにして作ったものが入っていることだと教えてくれた」
「母さんがお菓子に香りを付けるために香料が入っていると言っていました」
「べっこうあめは砂糖と水だけでできるけど、いつも食べているあめには10種類も入っていてびっくりした」

文:藤本勇二 イラスト:あべゆきえ、みうらし~まる〈黒板〉

授業の展開案

-べっこうあめは、加熱による砂糖の化学反応をうまく利用したお菓子です。砂糖に水を加え、加熱溶解した後煮詰めていくと、温度が上昇するにつれ、砂糖の状態に変化が表れます。この状態をシロップ、フォンダン、カラメルなどと呼びます。それぞれどんなお菓子に利用されているか調べてみましょう。

-お菓子以外にも清涼飲料水やお弁当などにどんな食品添加物が使用されているか調べてみましょう。

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