藤本勇二(ふじもと ゆうじ)
武庫川女子大学教育学部 教授。小学校教諭として地域の人に学ぶ食育を実践。文部科学省「食に関する指導の手引き」作成委員、「今後の学校における食育の在り方に関する有識者会議」委員。「食と農の応援団」団員。環境カウンセラー(環境省)。2010年4月より武庫川女子大学文学部教育学科専任講師。主な著書は『学びを深める 食育ハンドブック』(学研)、『ワークショップでつくる-食の授業アイデア集-』(全国学校給食協会)など。問題解決とワークショップをもとにした食育の実践研究に取り組む「食育実践研究会」代表。'12年4月より本コーナーにて実践事例を研究会のメンバーが順次提案する。
私たちが食品を選び、買うときに頼りにする大切な情報が食品の表示です。「品質表示」を確認することは消費者の責任とも言えます。食品の品質表示からどんな情報が得られるのか関心を持たせ、食品添加物の存在に気づかせる1時間の授業です。この活動をきっかけに、毎日の食生活に加工食品の占める割合が増えている理由や、適切な加工食品の選び方を考えさせる学習に発展させることができます。 なお本実践は『農を遊ぶ ―田畑・森・牧場を楽しむアクティビティ72』(編/のらり会、著/稲垣栄洋、晩成書房 )の一節「食品推理カード」をもとに構成しました。 食品を買うときに見るものは?「食品を買うときにどんな点に気をつけますか?」 原材料名から食品を当てる「スーパーマーケットで買ってきた食品の品質表示から原材料の名前を書いていきますから、何の食品か当ててください。分かったらワークシートに書きましょう。全部で5問あります」 第1問
「大豆」と書くと、 続けて、「凝固剤(塩化マグネシウム)」と書きます。 最後に「消泡剤」と書きました。 第2問
「小麦粉、卵、砂糖、水飴、着色料(βカロテン)」――お菓子だろうと予想することができました。多くの子がキャラメルと考えました。 第3問
「白飯、かつお、海苔、アミノ酸、PH調整剤、ソルビット」――ほとんどの子がおにぎりと考えました。 第4問
「小麦粉、植物油脂、でんぷん、食塩、しょう油、肉エキス、カツオエキス、卵、香辛料、鶏肉、人参」――知っている子がいました。 第5問
「砂糖、果糖、ゼラチン、でんぷん、ゲル化剤、酸味料、香料、着色料(カロテン)、バナナ濃縮果汁」――甘いお菓子だろうと予想したようです。 原材料表示カードを作る 答え合わせをします。 「大豆、凝固剤(塩化マグネシウム)、消泡剤」――(答え)豆腐 続いて、あらかじめ用意しておいた品質表示(製品から切り取っています)と、A6大の画用紙を1枚ずつ子どもたちに配って次のように説明します。 子どもたちの感想を紹介します。 「カップ麺は思っていたよりもたくさんの原材料が入っていたのでびっくりしました。カステラも意外でした。着色料を使っているとは知りませんでした。聞いたことのないものがたくさん入っていたので調べてみたいと思いました」 「思っていたより原料の種類が多いのでびっくりしました。原料から食品を言い当てるなんて、とても楽しい授業でした。またやってみたいです」
文:藤本勇二 イラスト:あべゆきえ、みうらし~まる〈黒板〉 |
授業の展開案
一つの食品で、何種類かの商品の品質表示を見比べてみましょう(たとえば、A社製・B社製・C社製のカップ麺を見比べる)。原材料の違いがよく分かります。
香料、着色料、酸味料などは何のために添加されているのでしょうか、調べてみましょう。
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