地球を測(はか)る 丸くて大きなわたしたちの住む星、地球
皆さんこんにちは。皆さんは自分の住む地球が丸い星で、1日で太陽のまわりを一周する惑星であることを考えたことがありますか? 普段の生活ではほとんど考えたことはありませんよね。自分を取りかこむ自然や人間の歴史の不思議に目を向け、広く深く探求しはじめたのはいつごろの人たちでしょうか? それは、紀元前のメソポタミアやエジプト、ギリシアの国々の人たちでした。今回は、太陽や地球の大きさについて考えてみましょう。
1太陽の運行と日の高さ
真南を太陽が通るとき、一年の季節の中で一番高い位置を通る季節はいつですか?
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Bの夏至です。
南中高度
太陽までの距離はわからないけれど、太陽を見上げたときの地平線からの角度(ぎょうかく:仰角)は知ることができます。この角度が小さいとき、「星は低いところにある」と言い、角度が大きいとき、「高いところにある」と言います。一日の中では、太陽が真南に来たときいちばん高いところに見えるよね。真南にあるときの太陽の角度を南中高度と呼びます(図3)。太陽は東の地平線から出て、真南で最も高いところを通り、西の地平線に消えていきます。夏至には南中高度は最も高く、冬至には最も低くなります。
2地球上の位置を示す方法
地球はボールと同じまんまるな球の形をしていることは知っているよね。それでわたしたちが今いる場所(地点)がどこにあるかを示すには、どうしたらよいかな?そのことを知るために図4を見てください。左の写真は弓張りちょうちんです。細い竹ひごの輪を横に置き、上から下に順番に並べてつくった丸い骨組みの上に和紙を貼って球の形を作っています。
一番大きい輪を基準にして、それより上の何番目か、下の何番目かで、上下の位置がわかります。横の線を使って上下の位置を示すときは、「緯度」で、縦の線を使って左右の位置を示すとき「経度」を使います。一番大きな横の線を赤道といい、これを基準にして上(北)側を北緯(0~90°)、下(南)側を南緯(0~-90°)で示します。 春分と秋分には太陽は赤道の上を通り、夏には北側をまた冬には南側を通り、その最大の緯度の位置を北回帰線、南回帰線と言います。地球の表面の(地)点は緯度と経度で示します。グリニッジ天文台を通る経線を基準にして標準子午線といい、北極から見て左(反時計)回りの位置を東経(0°~+180°)、右(時計)回りの位置を西経(0~-180°)で示します。 3地球の大きさを測る
さて、古代に地球の大きさを測ったギリシア人天文学者エラトステネスがいました。地球はとても大きく、広い海や高い山があるので、地球の大きさを実際に測ることはできません。ではどうやって測ったのでしょうか?
Cの太陽の位置です。 エラトステネス(紀元前275-194年)は「太陽」の位置を使って地球の大きさを計算しました。 エラトステネスの計算 地球を北から南に通る線を子午線と言います。エラトステネスは、同じ子午線上にある2つの町では同じ時刻に太陽がその上を通り、しかもその角度(高度)が違うので、その違いから地球の大きさが計算できるのではないかと考えました。エラトステネスの時代には地球は丸いことが既に知られていたのです。 正比例の関係から地球の大きさの式を求めるシエネは北回帰線という特別な緯度の上にあります。そのため夏至の日には太陽が真上を通り、ちょうど真上(真南)に来たとき深い井戸の底の水面にも映るのです(図6)。では、地球の円周をX(m)、シエネとアレクサンドリアの距離をL(m)とします。正午のシエネでの太陽の高度、つまり水平線からの角度は90°(真上)になります。 その同じ時刻にアレクサンドリアで太陽の水平線からの角度がa°とすると、2地点の角度の違い(差)は(90-a)°になります(図7)。 アレクサンドリアでの太陽の高度=a(°) シエネまでの距離と地球の円周の比は、 太陽の角度の2地点での違いと地球一周の角度の比は、 (90- a):360 上の2つの比は同じ値になります(正比例の関係)。 L(2つの地点の距離):X(地球の円周)=(90- a):360 という式になります。 90-a = 90-82.8 = 7.2 (°) シエネとアレクサンドリアの太陽の位置(角度)の違いは、7.2°(=90°-82.8°)と考えました。 4実際の計算
エラトステネスは、夏至の日、シエネで太陽が真上にある時刻(正午)にアレクサンドリアで太陽の高度を測ると、a =82.8°であることがわかりました。シエネとアレクサンドリアの角度は7.2°ということです。
2地点の距離はL=5000スタジアとわかっていたので、次の計算ができました。 エラトステネスは、地球全周を46,250kmだと考えました。 実際の正しい地球の円周は40,000(km)なので、その誤差は 誤差は16(%)です。シエネはアレクサンドリアの真南にあるのではなく、2度ほど東にずれています。また、当時の距離、1スタジアは正確に185(m)ではなく、正しいことはわかっていません。
深澤琴絵(ふかさわ ことえ) 所属:(株)内田洋行 知的生産性研究所 監修・画像提供:情報・システム研究機構 統計数理研究所 助教授 瀧澤由美博士 ※当記事のすべてのコンテンツ(文・画像等)の無断使用を禁じます。 この記事に関連するおススメ記事「おすすめ特集記事」の最新記事 |