2005.08.02
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【天文シリーズ】太陽の光

太陽から地球へ降り注ぐエネルギー(光)は太陽の中心部で発生しますが、その光が、太陽中心部から我々に届くのに、どのくらいの時間を要しているかご存知でしょうか。

まず、本題に入る前に太陽はどのように光り輝いているかを簡単にご説明いたします。太陽は水素原子が集まって出来たものです。中心部に行くに従って自分自身が作る重力によって圧力、温度が高まります。 そのため、中心部では太陽の構成要素である水素原子4つが結合し、ヘリウム1つに変わるという核融合反応が起こります。このときに発生するエネルギーにより太陽は光り輝いています。

 以上の話からも分かるように、太陽は表面(光球)が光り輝いて見えますが、実際には表面から光が発生しているわけではありません。中心部の核融合により発生したエネルギー(光)が表面に伝わり、表面まで届いた光が宇宙空間を旅し、地球などに届きます。

太陽表面から地球までの距離は、およそ1億5千万キロメートルですが、この距離を進むのに、光の速度でおよそ8分かかることはご存知の方も多いのではないでしょうか。一方、太陽中心部で発生した光が太陽表面に届くのに、どのくらいの時間がかかるのでしょうか。ちなみに太陽中心から表面までの距離(半径)はおよそ70万キロメートルで、太陽地球間の距離の200分の1程度です。

 かかる時間は8分よりもはるかに短いと思われるかもしれません(光がまっすぐに進めば2秒程度かかる距離)が、実際にはなんと、それよりはるかに長く、数百万年から1千万年もかかります。

 太陽の中心で発生した光は、太陽の構成物質に邪魔されてまっすぐ太陽表面まで進む事ができません。数センチもすすめば方向を変えることになり、絶えず進路変更をしながら進んで行きます。その結果、上記のように膨大な時間がかかってしまうのです。

文:矢野太平

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