2004.09.28
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【天文シリーズ】私たちの住んでいる宇宙--天の川銀河--

太陽のように自ら光っている星を恒星とよんでいます。恒星は太陽の他にも宇宙の中にはたくさん存在します。普段夜空を見上げて見えている星は、たいていこの恒星と呼ばれる星に属します。この恒星たちは、どの程度の距離にどのように存在しているのでしょうか。

私たちは地球という惑星に住んでいます。地球は太陽の周りを一年かけて回る惑星ですが、太陽の周りには地球の他、水星、金星、火星、木星、土星など、多くの惑星が太陽に属する惑星として存在しています(図1を参照してください)。これらをまとめて太陽系といいます。惑星たちは自ら輝いておらず、太陽に照らされて光っています。最も大きい惑星は木星ですが、それでも太陽の十分の1程度の直径しかありません。

一方、太陽のように自ら光っている星を恒星とよんでいます。恒星は太陽の他にも宇宙の中にはたくさん存在します。普段夜空を見上げて見えている星は、たいていこの恒星と呼ばれる星に属します。この恒星たちは、どの程度の距離にどのように存在しているのでしょうか。
 図1

図1

恒星までの距離は惑星までの距離に比べて比較にならない程、遠方に存在します。地球か最も近い恒星はケンタウルス座α星ですが、それでも距離は4.3光年あります。もちろん、他の恒星はもっと遠くにあります。これが太陽系のサイズに対して、どれだけ遠いかを実感していただくため、試みに太陽を1mmサイズと仮定してみます(ちなみに太陽の大きさは地球の大きさのおよそ100倍あります)。これはビーズ玉程度ですが、この時、太陽と地球の間の距離はおよそ10cmとなります。すると、太陽系全体の大きさはおよそ8m程度になります。この時もっとも近い恒星までの距離は27kmとなります。

これは太陽を中心にして、半径27kmの球の中に恒星としては、1mmの太陽がたったひとつであるということです。空を見上げて見える、1等星や2等星といった、星座を形作っているような明るい恒星の多くは、だいたい1000光年以内の範囲で分布しておりますが、この1000光年は太陽を1mmのビーズと考えた時には6300kmに相当しており、地球サイズに相当します。夜空に見える星々がどれほど広大な空間に広がっているか、感じることができたでしょうか。しかし、星々は1000光年の範囲のみで分布しているわけではありません。さらに広い空間に多くの星が分布しています。それではいったいどのくらいの空間にどれくらいの星があるのでしょうか。さらにどのような形状で分布しているのでしょうか。

実は私たちの太陽系は、何千億個という星の集団のなかに位置しています。この星の集団は天の川銀河と呼ばれ、およそ下の図のような円盤型をしています(図2を参照してください)。中心にバルジと呼ばれる星の密集部があり、その周りに星が円盤状に分布しています。円盤部では渦巻き型の濃淡があり、非常に興味深い形状をしています。大きさは10万光年と、光の速度でも横断するのに10万年かかる非常に大きいサイズをもっています。我々の太陽系が、この天の川銀河のどのあたりにあるかといいますと、中心から3万光年離れた、円盤の隅の方に位置しています。この天の川銀河は、街明かりの少ない夜空を見上げた時、淡い雲状の帯としてみることができ、「天の川」として、慣れ親しまれているものです。この天の川銀河の大きさ10万光年というのは、太陽を1mmビーズとした時、63万kmに相当します。これは、地球の周りをまわる月の軌道の大きさ程度になります。私たちの住んでいる地球は、こういった広大に広がる天の川銀河という、莫大な数の星の集団の隅のほうに存在する、小さな太陽系の中の一員なのです。
 図2

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さいごに、全宇宙には天の川銀河のような星の集団が他にも存在します。このような星の集団は銀河と呼ばれています。例えば、有名なアンドロメダ大星雲は天の川銀河と同じ、お隣の星の集団(銀河)です。こういった銀河は宇宙の中に、それこそ数え切れないほど多く存在しています。広大な天の川銀河も全宇宙からすれば小さなひとつの天体に過ぎません。

執筆:矢野太平

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