2006.01.24
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質のある防犯活動へ

さて、今月も子どもの犯罪対策についてとしまして災害対策は今回もお休みします。今回は皆さんの行っている防犯活動の質を上げるにはどうしたらいいのか。この問題について考えてみましょう。

その前にまずは愚痴を一言。11月末に発生した栃木県今市市の小学一年女児殺害事件。あれだけ騒がれたにも関わらずすでに過去の事件になってしまった感があります。あの時に取材をしてくださった記者の方々。私はお話したはずです。子どもの安全については継続的に取り上げていかないといけないと。栃木の事件はいまだに解決していないのにどこのマスメディアもすでに取り上げなくなっている。この状況は問題ありませんか?

さて、本題になりまして、11月の事件のあと、やはりというか多くの自治体、行政機関で様々な施策を打ち出してきました。見事だなと思われる施策もいくつかありましたが、私の見るところマスコミに向けての施策だなと思われるのが多数と感じています。すぐに対応するというのはいいのですが、もう少し考えてからでも遅くないのではないか。そう感じています。では、どのような視点で考えたらいいのか。すぐに出てくる視点は以下のようなものです。

まず、最近、各自治体で導入が進んでいる、警察や学校から直接保護者に不審者情報をメール配信するサービスについて。そのメールはだれに届きますか。また、どのような情報を送るのかを熟慮してシステムを導入しましたか。そして、それを受けた人たちは何をしたらいいですか。不特定多数の人たちにメールを送る場合に、悪意を持つ人も受信する可能性を認識していますか。

次に、防犯カメラについては、設置場所は適切な場所ですか。カメラに映し出される映像は誰が見て、そして誰が子どもを助けにいくのですか。「カメラが付いていれば抑止効果がある」と言われるかもしれませんが、では付いていないところについてはどうするのですか。抑止効果の根拠は何ですか。

ボランティアについては、ボランティア自身が被害にあった場合どのような問題が発生するかを考えていますか。また、ボランティアの中に悪意を持った人間が入ってくることはありませんか。ボランティアの方々の訓練はどのようにするのですか。ボランティアが付いていたのに連れ去られた場合はどうなりますか。ちなみにプロの警護の人間でも、子どもの集団の防衛は難しいと考えています。ボランティアに防犯活動の主を担わせるのは行政としては問題ないでしょうか。あくまでも彼らは補助者だと思います。防犯活動の主は行政側にあることを忘れてはいませんか。

最後に保護者の方々へ。子どもの安全の最後の砦は皆さんです。決してボランティアでも行政でも自治体でもありません。子どもの安全を他に任せきりにしていませんか。あくまでも自分の身は自分で守る。また、子どもの身は親が、家族が守るが基本です。地域の人がやってくれるからと安心してはいませんか。

今年は安全な年にしたい。皆様もそう思っているかと思います。ぜひ、自分たちの防犯活動の質を高めてみてください。

(イラスト:じえじ)

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