2005.12.27
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子どもの安全のために何をすべきか

広島、栃木と痛ましい事件が立て続けに起きてしまいました。今回は災害対策の続きを書く予定でしたが急遽お休みして子どもの安全について書きたいと思います。

子どもの安全を確保することは容易ではありません。この世の中に犯罪者がいる以上、どこかで被害者がでて、関係者は絶望のふちに立たされます。今回の事件の報道を見ていても痛ましさに目を背けたくなります。しかし、私たちには目を背けることは許されていません。いま生きている子どもたちの未来を守らねばならないからです。とすれば、私たちはこの事件から教訓を得るべきでしょう。

子どもたちを守るために大きく二つの取り組みがあるかと思います。ひとつは、大人たちが子どもを守ってあげる取り組み。もうひとつが子ども自身の防衛力を高める取り組みです。前者は防犯パトロールや、防犯ブザーの配布などがあたるかと思います。また、後者は防犯教室や日ごろの防犯教育などがあたります。

今回の事件を契機に皆さんに問いかけてみたいのは、まずは前者の大人たちの子どもを守ってあげる取り組みについて「取り組みの効果を見るようにしてきましたか?」です。
私は多くの小学校や中学校などをお伺いし、防犯の取り組みの現状を見てきました。見てきたところ活動の質という点で大きな問題があると感じており、そのことを多くの地域で話してきました。

たとえば、今回問題になっている防犯ブザー。連れ去り事件が多発したころ多くの地域で行政機関が配ったことは記憶に新しいことかと思います。しかし、広島事件がおきる直前ごろ携帯率はどれぐらいだったでしょうか。また、防犯ブザーがなって地域の住民が駆けつけてくれるようになっていたでしょうか。ただ、配るだけになっていませんでしたでしょうか。

防犯パトロールについても一緒です。きちんと巡回路や視点を考えていますか。情報を共有化するために記録をとるようにしてきましたか。パトロールする人の身分は保証されていますか。ただ、回ればいいやと思っていませんか。

防犯活動はただやればいい時代ではなくなっています。その活動により子どもの安全が1%でも高まることが必要なのです。配っただけで使えなかった防犯ブザー。見回っていても犯罪者に抑止力として効果が出ない防犯パトロール。果たしてそれでいいのでしょうか。

各自治体の担当者、学校の先生方、保護者の皆さん、もう一度自分たちの防犯への取り組みを見直してみてください。特に自治体の担当者の方。あなたの取り組みは誰に向かって行っていますか。マスコミに顔を向けて方策を決めてませんか。本当に子どもを守れる物語を描けていますか。施策を決める前に自分に問い直して欲しいと思います。

(イラスト:じえじ)

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