2005.09.27
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「不審者」「知らない人」「怪しい人」とはどんな人か?

よく「知らない人には付いていってはいけないよ」と親は子どもに言います、しかし、子どもにとって3日前に公園ですこし遊んだ人なら、もう"知ってる人"。今回は、このような親と子の危機に対する意識の違いについてお話しします。

夏休みも終わりまして、すでに今年も9月。皆様の夏休みはいかがでしたでしょうか。私は、この夏、2つの小学校に泊まって防災キャンプを開催しました。そのうちの一回はなんと東京で震度5を観測した日で、子どもたちが真剣に防災を考えていたのが印象的でした。

さて、今回のテーマは親と子の意識の違いについて考えてみたいと思います。ご家庭での防犯教育やしつけにおいてよく使っていることかと思いますが、不審者、怪しい人、知らない人という言葉を使っていませんか。
「不審者を見かけたら言ってね。」
「怪しい人を見かけたら近くのコンビニに逃げ込むんだよ」
「知らない人には付いていってはいけないよ」
なんてことは日常でよく言われている言葉かと思います。さて、ここで皆さんに考えていただきたいと思います。
「不審者」「知らない人」「怪しい人」
この言葉の意味を簡単に小学一年生にもわかる言葉で簡潔に説明してください。

いかがでしょうか。簡単に、わかりやすい言葉で説明できましたでしょうか。
私が行う保護者向けのワークショップでは必ずこの言葉たちについて考えてもらいます。いままで、この言葉の意味を簡潔に説明できた方はいません。私にも簡単には説明できません。不審者、怪しい人、知らない人とはどんな人なのか。グループになって話し合ってもらうとみんなが違うイメージを持っていることがわかります。

大人の間でも違うイメージで使っているこれらの言葉、大人と子どもではどうなのでしょうか。私が行っている子ども向けのワークショップでこれらの言葉についてどういう風に思っているのかを毎回聞いています。

怪しい人はサングラスかけてマスクした人。知らない人は見たこと無い人。でも、3日前に公園であってすこし遊んだら知らない人ではない。不審者は刃物もってうろうろしている人。こんな意見が子どもたちから出てきています。

不審者、怪しい人、知らない人。これらの言葉は大人にとってはなんとなくこんな感じというイメージがあり大変使いやすいものです。しかし、子どもに伝えた瞬間、大人のイメージとは違うイメージで認識しているのです。もし、これらの言葉を伝えるのであればもっと具体的に、もっとわかりやすく伝えるべきでしょう。

この事例は大人と子どもの意識の差の一例にしか過ぎません。このほかにも、大人が危ないと思っているところは安全で、実は別な場所が危なく、そこについての情報を子どもたちがもっていたなんてこともあります。一度、ご家庭や学校で子どもと正面向き合って意識の差を埋めてみてはいかがでしょうか。

(イラスト:じえじ)

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