2003.06.22
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学校アポなし訪問記(訪問者対策)(Vol.2 )

さて、前回からの続きです。警備員や受付の人との一連のやり取りのあと、私は誰にも怪しまれることなく校内を歩き回りました。廊下やお手洗い、あまりにも無防備な学校では教室の中までのぞくことが出来ました。その間、何人かの先生と思われる人や職員と思われる人とすれ違うこともありましたが誰かに声を掛けられることもありません。入るための関門もなく、入った後、誰からも監視されず、大阪での事件は学校に何をもたらしたのだろうと思ったのがこの訪問での感想でした。

これだけは考えておきたいこと

訪問者に対してどのように接するのか。これは学校ごとの環境や文化によって大きく違ってくるでしょう。私は多くの学校においてはアポの無い人間を受け入れる必要は無いように感じますが、大学と一緒になっている学校などでは受け入れざるを得ないのかもしれません。今回の訪問でわかった問題点と対策を整理してみましょう。

1)情報管理の重要性

 まず、言えるのが情報管理の問題です。あなたの学校のHPや学校案内にはどのような情報が掲載されているのでしょうか?前回お話したように私は学校の大半の情報を学校案内やHPで入手することが出来ました。
 その気になれば学校の先生の友人のフリをしたり、生徒の親や親類に成り代わったりすることも出来たことでしょう。もう一度、自分の学校のHPや学校案内の掲載内容が本当に公開して良いものなのか見直してみてください。少なくとも学校内部の配置図はHPや案内に載せる必要の無いものではないでしょうか。

2)何のためにいるのかわからない警備員や受付係

訪問記(前編)でお話したように学校によっては学校内部の情報を警備員や受付係から入手することが出来ました。これは学校に配備されている警備員一人一人の素質の問題もありますが、それ以前に学校側が警備員に何を守るのか、何をしなければならないのかを適切な形で指示していないからだともいえます。
 警備員を配置している多くの学校では警備員さえ配備すれば安心だと思っているかもしれません。しかし、警備員であっても万能ではありません。彼らが迷わない形で適切な指示を出しておく必要があります。「不審者とはなにか?」「誰を入れて、誰を入れないのか?何を守らなければならないのか?」こんなこと当たり前じゃないかと思われるかも知れませんが、実は当たり前ではないのです。一人一人の判断基準が違うわけですから、明確な基準がないとあやふやになってしまいます。その「あやふや」なところを突いて私は学校に入ることが出来たのです。少なくとも誰を入れて良いのかぐらいはきちんと基準を作っておくべきでしょう。その他にもいろいろありますが、まずは「警備員や受付係は何のためにいるのか」もう一度考えてみて欲しいところです。

3)訪問者バッチの効果

最後に訪問者バッチについてです。多くの学校で訪問者のバッチを付けて欲しいと言われましたが、私はバッチを付けずに校内を歩き回りました。ですので、すれ違った人たちは私のバッチを見ていないはずなのです。しかし、私に声を掛けてくる人は誰もおらず、これでは訪問者バッチの意味がありません。
 訪問者バッチは言ってみれば「敵・味方識別」のためにあるわけですから、付けていない人間は不審者であると認識すべきでしょう。バッチ不着用者に対し、少なくとも「どちらに御用ですか」とか「受付はお済みですか」ぐらいの声がけは行うべきです。訪問者バッチは何のためにあるのか、これも学校できちんと共通の認識をもつべきでしょう。

 大阪での事件から3年がたちました。8人の尊い命が奪われたあの事件は風化させるわけにはいきません。各学校においてももう一度学校の安全対策を見直して欲しいと思います。二度とあのような事件を起こさせないために。

(イラスト:たかまひびき)

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