2020.04.24
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休校対応どうしてる?(vol.3) オンライン授業、海外の様子

文部科学省の4月22日時点の調査によると、94%の学校が臨時休校を実施(含予定)しており、岩手県、新潟県の一部、鳥取県などが通常の授業を行っています。休校期間の5月末までの延長、プール指導の中止、夏休みの短縮を決定する学校も出てきました。世界に目を向けると、87%の子どもたちが学校や保育所に通うことができない状況にあります。vol.3では、オンライン授業の様子、海外での様子を紹介します。

4月17日のvol.2記事公開後から4月24日までに国内外68名の方からアンケートの回答がありました。誠にありがとうございます。

<アンケートにご協力いただける方はこちらからご回答ください。状況が日々変化しているので、複数回ご回答いただいてもかまいません。>

オンライン授業の様子

横浜市のご家庭では

全教科の授業動画を配信中

横浜市では、小学1年生から高校3年生約27万人を対象に、体育や道徳などを含めた全教科の授業動画が配信されています。小学校2年生がいるご家庭に取材しました。
始業式の日に、クラス分けの紙と教科書のみ配布され、その後、登校日中止の連絡がメールで来たそうです。しばらくすると、家のポストに、教科書準拠の国語・算数ドリル、書写ノートやプリント、国語の音読カード、授業動画配信のお知らせ(ID・PW)の紙が投函されていたそうです。先生が登校日に配布予定だったものを投函して回られたようです。
授業動画配信は、教職員の研修のためのeラーニングシステムを活用していたので、初日はアクセスが集中していてつながらなかったものの、1週間くらいしてすぐつながるようになり、また、テレビ神奈川でも一部放送されるようになったとのことです。
2年生では、4月24日(金)時点で、国語3本、算数2本、YICA(横浜国際コミュニケーション活動)6本、生活2本、図画工作1本、体育1本、特別活動1本、道徳2本の計18本が公開されています。時間は1本10分程度で、黒板の前で掲示物を示しながら先生2人がやり取りしたり、教科書を拡大して映しながら説明したりと、臨場感のあるものですが、対応したワークシートなどは無く、2年生は退屈気味とのことでした。なお、1年生は21本、3年生は29本、4年生は28本、5、6年生では38本も公開されています。1年生の動画には「学校探検」などもありました。兄弟がいる場合などは、家庭にあるパソコンを譲り合う必要がありそうです。
国語・算数ドリルのドリルについては、4月に進める予定だったページは、保護者がサポートしてやっておくようにという指示があったそうです。

1日の過ごし方の例

8:00~  起床・朝食
9:00~  今月から始めたタブレット学習
10:00~ 習い事(そろばん教室)の遠隔授業
10:30~ 学校からの課題(録画した授業動画視聴、プリント、ドリル、国語の教科書の音読など)、タブレット学習
12:00~ 昼食
14:00~ 学童保育主催のビデオ会議(Zoomを使用)で、友達とおしゃべり、しりとり遊び
16:00~ 家の前でボール遊び

熊本県高森町では

ビデオ会議システムを利用した双方向の授業を実施

熊本県高森町は人口7000人、児童生徒数450人ほどの小さな町ですが、1人1台のタブレット端末を整備しています。5年前から、ビデオ会議システムでALTや美術の教員がいる学校と、いない小規模校をつないで、合同で遠隔授業を行うなどの実践を積み重ねてきました。今回、Wifi 環境が整っていない家庭にはポケットWiFiを貸与し、通信環境が不安定な山間部の3世帯にはインターネット回線の開設工事をして、ビデオ会議システムZoomを使った授業を行っています。
高森中学校では、月曜日と金曜日が登校日、火曜日から木曜日が遠隔授業となっています。
4月第1週目は、毎日8:20~健康観察など、その後5校時(14:40)まで、2クラス合同で、国語、社会、数学、理科、英語の授業を50分ずつ配信したそうです。第2週目は、1組は1・3・5校時、2組は2・4・6校時というように、交互に授業を配信する形に変更されました。第3週目は、音楽や美術、保健体育の授業も配信される予定です。
高森中央小学校でも、1週間遅れて、3年生以上に1日2時間授業を配信しているそうです。金曜日が登校日、月曜日から木曜日が遠隔授業となっています。第1週目は、1コマ30分で国語、算数、社会、道徳、学級活動を配信しました。第2週目は、1コマ40分で、書写や図工、音楽、体育も予定しています。

主な無料ツール紹介

学習管理システム等が導入されていなくても、下記のような無料ツールを使って遠隔授業をすることができます。調査会社ギャラップによると、アメリカでは「学校が提供するオンライン遠隔教育で子供が学習している」と答えた親は、4月第1週で83%に達しているそうですが、このような無料ツールを利用しているケースも多いようです。

  • Google Classroom 課題の出題や提出、採点ができます。高校や大学では、以前から日常的に使っていたという先生もいらっしゃるようです。
  • YouTube 授業動画をアップし、URLを知っている人にだけ限定公開できます。
  • Zoom お互いの顔を見ながらやり取りできます。先生のパソコン画面を共有して子どもに資料を見せたり、小人数に分けてそれぞれで話し合ってもらうこともできます。ホームルームのみ利用している学校もあります。

新学習指導要領のスタートがこのような状況になり、「学び方」どころではなくなってしまいましたが、長時間動く画面を見ることは学習者の負荷も高いので、オフラインも含めた自宅での「主体的・対話的で深い学び」の実現方法が模索されています。

海外の様子

シンガポールから

4月8日から休校となり(当初5月4日までの予定だったが、6月1日まで延長。例年6月にある夏休みが、5月に振り替えられた)、同時にオンライン授業が開始したそうです。朝決まった時間にログインして体温を報告し、小学校1年生の場合、毎日4コマ(動画はそれぞれ10分程度・計2~3時間分)の新しい内容がアップされ、子どもがわからないと回答すると、先生から親にメッセージが届くとのことです。英語は、絵本の読み聞かせ動画のURLが案内されるなどで、通常の授業とは異なる内容のようです。
授業を配信するシステムは国が運営していますが、先生は学校でサポートをしているとのことです。パソコンの無い家庭には貸し出されています。また、医療関係者の子どもや、自宅にインターネット環境の無い子どもは、学校でオンライン授業を受けることができます。貧困家庭への食費支援も始まりました。
当初家族単位でスーパーに行く等は許されていましたが、現在は2人以上での外出が禁止になり、ソーシャルディスタンス違反も罰金刑(日本円に換算すると、1回目22,500円、2回目75,000円程度。投獄もありうる)の対象となるため、子どもは全く外出できないようです。

カンボジアから

小中高等学校は3月14日から、大学は3月16日から閉鎖されており、子どもも外出を禁止され、ロックダウンの状況だそうです。
カンボジアでは、紙・印刷のコストが高く、日本のようにプリント配布をすることは難しいため、教育・青年・スポーツ省は、公立小中高等学校の教科指導ビデオを省のページやSNS上に公開しており、国営テレビでも放送されているそうです。パソコンを持っている家庭は少ないものの、スマートフォンは普及してきており、カンボジアでかなり浸透しているFacebookへのデータ通信料は無料になっているとのことです。
大学では、Zoom等で授業が行われており、小中高等学校でも情報化の進んでいる私立学校へは学習管理システムの導入が推奨されているようです。

マレーシアから

3月18日から、地域によってロックダウンされており、5月12日までとなっています。子どもが外で遊ぶことや、外食、1台の車に2人以上が乗ることなども罰金の対象です。
大学院生に取材したところ、1日3~4時間授業を受け、メールで課題を提出しているそうです。大学も閉鎖されていて、先生も自宅からオンライン授業をしているとのことです。

アンケートご協力のお願い

学びの場.comでは、引き続き情報を共有していきたいと考えていますので、是非アンケートにご協力ください。
こちら blankからご回答いただければ幸いです。状況が変化しているので、2回目、3回目でもかまいません。

自校での取組をもっと詳しく紹介したいという方は、こちらよりご連絡ください。

写真提供:熊本県高森町立高森中央小学校、構成・文:学びの場.com編集部

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