2020.04.17
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休校対応どうしてる?(vol.2) 緊急事態宣言の対象地域が全国に拡大

2020年4月16日、新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言の対象地域が全都道府県に拡大されました。4月7日から対象となっている7都府県と、北海道・茨城県・石川県・岐阜県・愛知県・京都府は「特定警戒都道府県」とされました。
vol.2では、4月9日のvol.1記事公開後から4月17日までに、現職の先生方や保護者の方23名からお寄せいただいた臨時休校への対応等を紹介します。(ご協力いただいた方、誠にありがとうございました。)
<アンケートにご協力いただける方はこちらからご回答ください。状況が日々変化しているので、複数回ご回答いただいてもかまいません。>

新学期開始状況等

文部科学省が公開している、4月10日夜時点の調査結果によると、新学期を一旦始めた学校の割合は、小学校33%、中学校33%、高等学校35%、特別支援学校31%と3割程度でした。
7都府県(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、大阪府、兵庫県、福岡県)では、公立、国立では0%、私立では小学校8%、中学校4%、高等学校4%でした。
7都府県以外では、約半分の学校が再開しましたが、始業式の日に翌日からの休校を決めたり、数日間平常授業を行った後に休校にした学校も多いようです。
仙台市のように、小学生の感染者が出て、一度1週間後に延期した入学式・始業式を5月の連休明けに再延期した自治体もありました。

再開した学校では

文部科学省の学校再開ガイドラインに沿って、毎朝の検温カードが配布されました。「登校前に確認できなかった児童生徒等については、保健室等での検温」とありますが、国際空港の入口にあるような赤外線サーモグラフィーを校門に設置するのは難しいので、忘れてきた児童生徒の検温はなかなか手間がかかると思われます。出社前の検温を義務付ける会社も出てきて、電子体温計が品薄になっている地域もあります
また、ガイドラインには「多くの児童生徒等が手を触れる箇所(ドアノブ、手すり、スイッチなど)は、適宜、消毒液(消毒用エタノールや 次亜塩素酸ナトリウム等)を使用して清掃を行う」とありますが、除菌力の高い次亜塩素酸ナトリウム消毒液は子どもが扱うには危険なので、教職員の負担増となるという課題もあるようです。
  • 次亜塩素酸ナトリウム消毒液での校内の消毒はかなりの重労働です。これが授業が始まって毎日となるとうまく人員を配置しないと難しいと感じます。消毒、換気などを自動的に行う設備が欲しいです。(公立小)
  • 始業式は教室で、入学式は校庭で間隔を空けて行った。給食もランチルームに集まらずに、分散することにした。(公立小)
  • 教職員がキッチンペーパーで予備用の紙マスク約100枚を作りました。(公立小)
  • 4月に予定していた授業参観・懇談会、PTA総会・歓送迎会、家庭訪問は全て中止した。(公立小)

休校中の課題について

始業式や登校日に課題を渡している学校が多いようですが、特別支援学校では、宿題を郵送している先生もいらっしゃるようです。
登校日が中止になるなど課題が出されず、ドリルを買ってきたご家庭もあるようです。親が勉強するよう促しても1日1時間が限界、生活時間も乱れているという回答もありました。
「勉強をしない子」「何らかの要因で学習することが難しい子」「学校から出された復習課題をきちんとこなす子」「学校では未習の学習にも挑戦する子」で格差が大きくなるだろう、1学年くらいの差がつくのではないか と懸念の声も寄せられました。
大学では、教員に全授業の配信が急に義務付けられ、事務局がホームページに公開しているオンライン授業ガイドを読みながら、慣れない授業準備に追われている先生方も少なくないようです。
  • 始業式のみ行い、全教科の復習プリントを渡した。(公立小)
  • 保護者に取りに来てもらい、学習プリントと教科書、インターネット上で利用できる学習サイトのパスワードを配布した。(公立小)
  • 村のケーブルテレビで、ひと学年20分程度の授業を週2回配信することになり、準備している。(公立小)
  • 3月13日から3月23日までの間に54本の動画を作成し、YouTubeの限定公開を使って、授業の動画を公開しました。オンラインの学習に取り組む環境がある家庭(児童が自由に活用できるPCやタブレットがある)は意外と少ないと今回感じました。環境がある家庭の、この10日間の視聴数は1人あたり平均31回・1時間半でした。教科書の内容を板書に示して動画を限定公開することについて教科書会社に許可を得ましたが、4月からは不要になったようです。(公立小)
  • 急遽、地域の教材屋さんに頼んでドリルを購入して配布しました。全校で統一した教材にしようとしましたが、在庫が足りず、学年によって教材会社や種類は異なる教材になりました。無料公開されている教科書会社(光文書院)のプリントも配布しました。(公立小)
  • 始業式は教科書のみ配布された。登校日の案内があったが、中止になったため、学習課題が無く、ネットからダウンロードしたプリントやドリルを購入して学習させている。生活時間がルーズになってしまうのは、親の指摘では修正できないので今後への悪影響が心配。(公立小 保護者)
  • インターネット上でできるドリルがやっと案内された。強制的とはいえ、親と過ごす時間が増えたことはよかった。(公立小 保護者)
  • 始業式に次の登校日までの課題を渡し、インターネットの動画なども紹介した。(公立中)
  • 3グループに分けて交替で3日に1回、3時間程度登校させて、国語、数学、英語について家庭での学習状況の確認や質問対応等の学習指導を行っている。(公立高)
  • 年度末から年度始めにかけての休校によって、申し送りや引き継ぎだけでは子どもの実態把握は十分とは言えず、現在のところ当然実態に基づいた教育内容と指導計画は決めることができません。オンラインの環境もなく、家庭訪問もできず…子どもの学びに関して八方塞がり状態です。(特別支援)

教員の過ごし方について

職員室内での3密を避けるため、在宅勤務を採用されている地域、学校も見受けられますが、自宅から学校のシステムに接続できない等の課題もあるようです。 担任が定期的にご家庭に電話している学校もあるようです。さいたま市では、ラジオ局が各学校に順番に電話して、先生方の声を生放送で子どもたちに届けるという取組もされています。
  • 児童預かり、教材作成、行事の調整、地域巡回等を行っている。週に一度、児童の健康状態や家での過ごした方を伺うために、担任が電話連絡もしている。(公立小)
  • 平日に2時間運動場を開放していて、20名程度(全校児童の1割)が外遊びに来ている。子どもたちが密にならないように、また安全を見守るために、教職員が当番制で監視している。(公立小)
  • zoomを使って毎日「学級会」を実施している。(公立小)
  • 管理職を除き、在宅勤務と週2回の研修(午前中のみ)を行っている。授業等が進めない分、教育研究に対する自己研鑽を深める機会になっていると思う。(国私立小)
  • テレワークのシステムが整備されていないので、学校での通常勤務。児童生徒がいないが、教育活動がいつでも再開できるように準備をしています。また、校務分掌にしたがって、先取りした業務を行っています。(公立小中)
  • 通常出勤であったが、4月9日より自宅勤務(自宅に出張する扱い)が認められた。朝8時15分、昼12時、終業16時45分の一日三回管理職宛に勤務開始・進捗報告・勤務終了についてのメールを送っている。普段準備している教材の登録してあるデータがほぼ持ち出せない状況が仕事をやりにくくしている。クラウドの利用が認められていないのがいろいろとネックである。(公立中)
  • 年次有給を利用して職場で勤務している人数を減らしている。(公立中)
  • 4月13日から輪番制で在宅勤務になった。休校は生徒達の命が第一と考えると致し方ない。生徒たちと顔を合わせないことは大変残念だが、その分教材研究や自主研修を重ね、生徒達に還元できるよう、日々の業務に従事したい。(公立中)
  • 春休み前の休校中は、週1回家庭訪問をしていた。(公立中)
  • 通常勤務。出張などは禁止。(特別支援)

再開後の対応検討状況について

5月7日再開の予定ですが、さらに延期される可能性もあり、見通しが立たない状況に先生も保護者も苦慮されいている様子が伺えます。地域や学校の行事は大幅になりましたが、休校措置の再延長などによって、今後さらに中止になる行事が増えることが予想されます。
  • 1学期の遠足や宿泊行事は、2学期以降に延期することになった。5月開催の運動会は、延期して秋開催を考えています。(公立小)
  • 児童は外部に出ない、外部の人間を呼ばないことにした。40人近い児童が1つの教室にいることが危険なので、登校させられない。児童の定員が多すぎると感じた。(公立小)
  • 例年5月末に実施している縦割り班活動での遠足や集団下校は当面見合わせることになりました。5月中旬に予定していた修学旅行(1泊2日)は10月に延期になりました。(公立小)
  • 第2波、第3波が来ることを想定すると、授業を組み替えてでも習得の必要な学習を優先すべきではないかと話し合っています。(公立小)
  • 校外・宿泊行事は延期とし、その他の行事も中止・延期が多いと通知した。(公立中)
  • 体育祭が5月の予定を9月にした。(公立中)
  • 年間のスケジュールを見直している。1学期の中間テストは行わない。宿泊を伴う学校行事は延期。(公立中)
  • 現在検討中。すべての状況が未定のまま、指導計画・評価計画を立てなければならない。(公立中)
  • 決まらないことが多くて、予定が立たないが、予想して動くしかない。(公立中)
  • 1学期について、家庭訪問、校外学習、授業参観は中止。修学旅行は2学期に延期。運動会の無期限延期。(特別支援)
  • 支援=密接にならざるを得ませんし、職員数の多さから職員室も過密化しがちです。日々、マスク着用、手指等の消毒、職員の勤務形態の工夫など、子どもと職員の感染のリスクをどうマネジメントするかに苦慮しています。(特別支援)

学びの場.comでは、引き続き情報を共有していきたいと考えていますので、是非アンケートにご協力ください。
こちらからご回答いただければ幸いです。状況が変化しているので、2回目でもかまいません。

自校での取組をもっと詳しく紹介したいという方は、こちらよりご連絡ください。

構成・文:学びの場.com編集部

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