2020.06.18
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再開対応どうしてる?(vol.2) 再開した学校の様子

6月も後半に入り、小中高等学校では東京都でも毎日登校という学校が増えてきました。一方、大学・高等専門学校では1学期(前期)末まですべて遠隔授業とする学校も少なくなく、6、7月中に全面的な面接授業を開始する予定の学校は2割程度です。
5月29日の再開対応どうしてる?vol.1記事公開後にお寄せいただいた教員や保護者等12名の方からのアンケートの回答等を紹介します。お忙しい中ご協力ありがとうございました。

学校での感染症対策

文部科学省は6月16日、「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル~『学校の新しい生活様式』~Ver.2」を公開しました。6月4日に出された「学校における消毒の方法等について」の次亜塩素酸水の噴霧に関する注意事項も反映されています。

ある子どもの感染症の専門家は、このマニュアルについて、授業中や休み時間の細かい行動の制限等は、長期に渡れば子どもたちの成長や発達に影響を及ぼす可能性もあり、感染拡⼤防⽌効果の科学的根拠を確認しながら、地域の感染状況や子どもたちの心理面を考慮して、柔軟に変えていくことが大切だと思うとコメントしています。

体育の授業以外はマスク着用という学校が多いですが、体育の授業中もマスク着用の学校もあるそうです。環境省・厚生労働省は「適宜マスクをはずしましょう」という呼びかけも始めました。

アンケートでは分散登校について「分散登校により、少人数で学びあうことのメリットを感じることができた。今後、教室サイズは今のままで、学級の児童数を20人以下にするとよいと感じている。」という声もありました。

アンケートの回答から

  • 教室では密になるため、特別室を活用している。その特別室は中休み、昼休み、放課後に除菌をしている。給食中の会話は禁止にし、温食は担任がよそっている。子どもたちの下校後に、教員が階段の手すりや教室内を除菌している。感染が心配で登校を自粛する子どもは、課題を提出することで出席扱いすることにした。(公立小)
  • グループでの話し合いは行っていない。感染が不安な家庭では、登校自粛をしているが、欠席ではなく出停扱いとしている。(公立小)
  • 歌唱、鍵盤やリコーダーの演奏指導は行っていなかったが、少し緩和(小声で歌う等)し始めた。(公立小)
  • 学級を出席番号で2つに分け、毎日前後半で分散登校させている。放課後、教職員、PTAにより除菌作業している。(公立小)
  • 午前・午後の入れ替え時と放課後に、次亜塩素酸水による除菌(ドア、スイッチ、窓、手すりに霧吹きで吹きかけ、雑巾で拭う)をしている。(公立高)
  • 廊下を仕切って、一方通行にしている。教室の机を1.5m以上離している。昼食時は自席で前を向いて取る。(公立高)
  • 昇降口に放射温度計を設置した。午前の部・午後の部とも授業終了後、生徒が使用した教室やトイレ、出入り口の消毒を実施している。(公立高)
  • 長時間のペアワークや向かい合ったアクティビティは授業中行わない。生徒総会をzoomで多元中継にし、体育館行事をしない。(公立高)
  • 6月前半は、クラスを2つに分けて午前と午後で分散登校させ、1教室20名以内で25分授業を4コマ実施した。登校しない午前午後のどちらかはオンライン授業を実施。6月後半は、時差登校をさせて朝の3密を回避することとしたが、この影響で1コマ45分授業として実施することになった。(公立高)

学習指導の遅れへの対応

夏休みや冬休みを短縮し、行事を精選しても、まだ授業時数が100コマ以上も不足するという学校も少なくないため、文部科学省は6月5日、「新型コロナウイルス感染症対策に伴う児童生徒の『学びの保障』総合対策パッケージ」として、小学校5年生、中学校2年生、高校2年生は2年間、それ以外の学年は3年間を見通した教育課程の編成によって、無理なく学習の遅れを取り戻すことを可能とすることや、個人でも実施可能な学習活動等は授業以外の場で実施することを全国の教育委員会に通知しました。

学習活動の重点化のイメージ【例】として、下記の3つが挙げられていますが、家庭での学習負担が増えることも懸念されています。

  • 国語科において、学校における課題設定を踏まえ、授業以外の場で意見文等を作成させる
  • 数学科において、学校における練習問題の取組を限定し、宿題の添削を充実させる
  • 理科において、学校における実験結果の分析・考察のまとめを授業以外の場で作成させる

アンケートの回答から

  • 6月以降8月を除いて、毎月2回土曜授業を実施する。(公立中)
  • 一日の授業コマ数を増やし、学校行事を省略して授業時間の確保する。(公立高)
  • 定期考査を4日間を3日間で実施し、テスト最終日の午後は授業を実施する。行事を縮小し、授業時間を確保する。(公立高)
  • 考査の回数を減らし、授業に集中。(公立高)
  • 4月からZoom授業が出来たので、大幅な遅れはない。夏休みの補習期間に授業をする予定。(国・私立高)

行事等の精選

運動会や文化祭だけでなく、修学旅行についても、延期ではなく、中止を決定した学校もあるようです。日本旅行業協会は6月3日、「旅行関連業における新型コロナウイルス対応ガイドラインに基づく国内修学旅行の手引き(第1版)」を公開しています。

プール指導について、文部科学省は5月22日、「今年度における学校の水泳授業の取扱いについて」を出しました。「プール水の遊離残留塩素濃度が適切に管理されている場合においては、水中感染のリスクは低い」ものの、「プール内だけでなくプールサイドでも児童生徒の間隔は2m以上を保つことができるよう、 複数のクラスによる合同授業はなるべく避ける」といった対策が困難ということで、中止を決める学校が増えてきています。体育の指導内容は、小学校1~2年生、3~4年生、5~6年生、中学1~2年生と2学年ごとに定められており、どちらかの学年のときに水泳指導を行えばよい、「適切な水泳場の確保が困難な場合」には実技を行わなくてもよいとされているという事情もあるようです。

アンケートの回答から

  • 運動会は秋に土曜活動日で実施する。遠足は実施しない。(公立小)
  • プール指導中止。校外学習なし。(公立小)
  • プール指導は中止。職場体験は中止。学校公開は当面中止。宿泊行事は8月実施予定までの分は9月以降に延期。(公立中)
  • 文化祭中止。(公立中)
  • PTA総会・生徒総会・体育会は取りやめ。部活動は6月末まで行わない。部活動は年内の合宿禁止。生徒や担当教諭に相談なく、部活動の廃止統合が行われてしまった。修学旅行は県内を泊をせずに行い、実質中止。(公立高)
  • 卒業制作展を中止検討中。(大学、専門学校等)

心のケア

まだ学校が再開したばかりなので、子どもたちから深刻なストレスを感じることは少ないようですが、生活リズムがなかなか戻らない子どもや、保護者からの個別依頼への対応に苦慮されているという回答もありました。

校内の体制についても、教員間で危機意識や、通信環境の整っていない家庭への配慮に差があり、足並みが揃わないといった悩みがあるようです。

アンケートの回答から

  • アンケートを実施し、「話をしたい人」と話せるようにしている。(公立小)
  • 1人ずつ担任が面談をして、不安に思っていることをヒアリングした。ストレスを感じているかについてのアンケートの検討をしている。(公立小)
  • スクールカウンセラーによる観察、面談。(公立中)
  • 担任が面談を行った。スクールカウンセラーに講演をしてもらった。(公立高)
  • 担任と副担で面談し、アンケート調査等で状況を把握した。生徒たちは意外に勉強に向いている気がするので、あまり構わないほうが良いのかも?と感じた。(公立高)
  • 必要以上の対応により通常授業がなかなか再開できない一方で、私学の大学入試などは従来通りの可能性が高く、生徒の不安が大変高まっている。(公立高)
  • 校内スクールカウンセラーが相談を受ける。学内メールでストレス対策講座を配信など。(国・私立高)
  • オンラインにて個別面談を2回実施。(大学・専門学校等)
一斉休校措置の有効性や影響の検証等はまだこれからですが、夏休みを前に、入国制限の緩和や、観光庁の「Go To キャンペーン事業」も始まる見込みです。新しい生活様式ではありますが、学校では徐々に日常を取り戻しつつあるということで、学びの場.com緊急アンケート調査は今回で一度終了します。ご回答いただいた184名の皆様、ありがとうございました。

構成・文:学びの場.com編集部

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