2004.09.14
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今、子どもたちに正義と勇気を育む授業を! 道徳授業改革集団

今、子どもたちに正義と勇気を育む授業を!

夏休みが始まって間もない8月7日・8日、2日間にわたって、東京都中央区銀座の東京ガスホールにて、「今、子どもたちに正義と勇気を育む」と題し、第15回道徳教育改革フォーラムが開催された。

 

 


深澤久先生

 夏休みが始まって間もない8月7日・8日、2日間にわたって、東京都中央区銀座の東京ガスホールにて、「今、子どもたちに正義と勇気を育む」と題し、第15回道徳教育改革フォーラムが開催された。

 同フォーラムは、小中学校の現役教師たちからなる「道徳教育改革集団」(代表の深澤久先生)が毎年開催する授業の実践発表会。設立15周年にあたる今回は、初の東京開催。毎回欠かさず参加する、という熱狂的なファン (記者もその一人)をはじめ、全国から約90名の参加者が集まった。

 今回のフォーラムでは、代表の深澤先生のほか、山形県の佐藤幸司先生、熊本県の桃崎剛寿先生、奈良県の土作彰先生、宮城県の内海俊行先生、宮崎県の鈴木健二先生らが、それぞれの実践を発表してくれた。

 冒頭、代表深澤久先生の発表から。
 出会った人とまず握手、そしてじゃんけん。負けた人から、自分の名前、どこから来たか、特技は何かを言う。その次に勝った人も同じことを言う。握手をして別れる。また次の人と握手してじゃんけん、を繰り返す。よくあるゲームからスタート。初対面同士の参加者の間に暖かい空気が流れる。

「こういうのは学級経営のための技の一例。教師ならこのような技たくさん持っていて当然。大切なのは、こういった技をどこで、いつ使うかです」

 深澤先生は、新年度が始まった最初の時間にこの「出会った人と握手ゲーム」を行うという。自分もいっしょになってやるのではなく、離れたところから、じっとゲームをする子どもを観察する。誰とも握手できない子はいないか、そういう子に助け舟を出す子がいるかどうか。いつも同じ子がポツンと残るようなクラスは要注意。一人ぼっちの子をそのままにしておく、ということが、いかに卑劣な行為かを自覚させ、それを正す。

「子どもたちに、どんな人間になりたいか、と聞いたら、100%の子が『よい人間になりたい』という。悪い人間になりたい子などひとりもいない。こういう、子どもたちのプラスの力を信じ、引き出してあげる。いわば、先手を打つ指導です。」

 何か事件があったから「命を大切に」とか「思いやりを持とう」などと慌てて指導を行う、これでは順序が違う。
「今の子どもたちも捨てたもんじゃない。道徳をきちんとやれば、必ず子どもは変わる」これは深澤先生の信念である。
 

 

桃崎剛寿先生


佐藤幸司先生


土作彰先生

 今回も、「113戦で一度も一位になったことのないハルウララ」を題材とし「あきらめずに挑戦しつづけることの尊さ」を伝える(桃崎先生)、「豆腐小僧」という妖怪を題材とし「異質を受け容れる、ナンセンスを楽しむ心の余裕」を持つことを伝える(佐藤先生)、科学手品で子どもたちの興味を引きつけるミニネタ集(土作先生)など、楽しくて意表をつく授業の実践が紹介された。

 また、教職を離れ、指導者として後進を育てる内海先生、鈴木先生からは、「管理職が範をなす 道徳授業改革」と題して、指導のポイント、教材作りのコツを話していただいた。面白い授業のネタを見つけるには、「見るもの、聞くもの、すべてが教材になるのでは?という目で、日頃からアンテナを高くしておく」のがコツだそう。同会で発表される授業事例のユニークさの秘密はここにあるようだ。

 会場にお越しの参加者に感想を聞いてみた。青森県から参加している中村幸一さんは

「フォーラムの参加は今回がはじめてですが、会から発行される機関紙を毎号読んでいます。必ず一つは実際に自分でもやってみよう、という実践が載っていて、期待を裏切られたことがない。公開されている実践例を自分でも追実践をしてみると、確かに子どもたちが変わる、という手応えを感じます」

 毎回フォーラムに参加しているという群馬県の宮崎先生は、
「道徳の授業は大切だと思いますが、熱心な先生が学校内では、関心のない先生のほうが多いです。フォーラムで見た授業を自分でも実践し、それを他の先生に公開して見てもらうという活動を地道に続けています。見た先生はやはり、いいね、と言ってくれますね」

 

 

 ところで、週1時間の道徳の授業をきちんと実施している学校はどのくらいあるかご存知だろうか。小学校で約68%、中学校では41%である。子どもたちによる事件が話題になり、命の大切さが叫ばれている昨今、この数字は低すぎるのではないだろうか。これが、国語や算数の授業だったら大変なことである。それくらい、道徳の授業は軽んじられているのである。

 このような状況の中、「道徳教育改革集団」は、心の教育の大切さを訴え、また、「命を大切にしよう」「人に親切にしよう」といったきれいなお題目を並べるだけでなく、実体験に即した教材を自ら作り、それを広めよう、という目的で活動をしてきた。各先生がたの実践はHPや機関紙で会員に公開され、追実践→フィードバックを繰り返し、改善されていく。これらの実践は『とっておきの道徳授業』として日本標準より出版され、現在5シリーズまでが出版されている。

 

(取材・執筆:学びの場.com)

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