2004.03.23
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電子情報ボードの明日を探る Eスクエア・アドバンス分科会

電子情報ボードの明日を探る

学校で使われるパソコンやプロジェクタの台数が、急速な伸びを見せる中、パソコンの画面を提示して、それに自由に書きこめる電子情報ボードの活用が注目を集めている。その、さらなる普及に向けて、3月6日(日)、東京・お台場の東京ファッションタウンビルで行われた、財団法人コンピュータ教育開発センター主催による「Eスクエア・アドバンス」の分科会において、「e-黒板で授業が変わった!」と題して、電子情報ボードを使った授業の実践事例などが紹介された。


注目のe-黒板に
多くの参加者が
 
 
 
 
 

教育研究情報センター長
清水康敬先生

■進む欧米での電子情報ボードの活用

英国の電子情報ボードの普及は、日本に比べて目覚ましいものがある。それは、英国では250万ポンド(約5億円)もの予算を、電子情報ボード整備のために注ぎ込んでいるという背景があるからだという。日本も教育の情報化に向けて予算は取られているものの、それは地方交付税によるものなので、必ずしも電子情報ボードに回されないという問題点が残される。

そんな日本での電子情報ボードの普及に一役買えればということで、清水氏を委員長に、昨年末に発足したのが「e-黒板研究会」。そこで電子情報ボードに関するアンケートを実施した結果、電子情報ボードを導入している学校の4分の3がフロント型(プロジェクタと電子情報ボードが別々で、数m離れたところにおいたプロジェクタから電子情報ボードに画像を投影する)だったが、教室で使いやすい一体型(プロジェクタと電子情報ボードが一体となっている)のタイプを希望する学校が多かったという。

清水氏によると欧米では、フロント型の場合でも、最初から教室にセッティングされているケースが多く、準備の手間がかからないようになっているという。また、電子情報ボードの利用者は、コンピュータの経験年数とは関係無く、初心者からベテランの先生まで、均等に使っているという結果が出ているそうだ。

「英国では電子情報ボードを、授業で活用したことで、教師に自信がつきました。教師の指導力が上がることは、子どもの学力向上につながります。日本のようなクラス形式の授業では、電子情報ボードを活用するのに適しています」として話を結んだ。


 








つくば市立並木小
野村光弘先生

■先進的な事例を小・中・高等学校から報告

続いて電子情報ボードが、実際の授業では、どのように使われているかを紹介するための事例発表が行われた。

茨城県つくば市立並木小学校の事例発表を行ったのは野村光弘先生。体育の授業では、跳び箱の跳び方を掴ませるため、Webコンテンツから有効な情報を見付け、電子情報ボードを使って児童に見せていった。そして、図工の授業では、出来あがった作品をデジカメで撮って、それを提示することで、作品の感想を互いに出し合ったという。

また、国語の朗読の授業では、動画を投影できるという利点を最大限に活かして、練習してきた成果を収録して発表していった。このように電子情報ボードを使うようになったことで、児童のプレゼン用のノートにも工夫が見られるようになり、スムーズに話し合いが進むようになったという。

岡山県御津町立御津中学の事例発表を行ったのは体育を受け持つ市川善隆先生。

これまで、あまりパソコンの経験が無かった市川先生だが、マット運動における手の向きや着地の位置を教えるために見本となる動作を撮影した動画を電子情報ボードで提示。


御津町立御津中学校
市川善隆先生

言葉では説明しにくい技術的な部分を、うまく伝えることに成功した。授業を受けた9割の生徒から、動きをイメージ化しやすく分かりやすかったとの声が聞かれたそうだ。

高知県立須崎高等学校
寺尾康先生

高知県立須崎高等学校の発表を行った寺尾康先生は、「生徒の視線を集中させたい」ということを授業課題において、電子情報ボードを授業に取り入れた。

最初は白い画面に黒い文字で投影していたが、生徒の意見を取り入れ白黒を反転させたところ、より画面への集中力が高まったという。電子情報ボードで、重要なポイントを映し出すことで進行が早まるなど、授業が大きく変化したと寺尾先生は語る。



米国ホイットニー高校
ジオルコスキー氏

■ アメリカでの授業を会場で再現

また、今回の分科会では、米国のホイットニー高等学校からロッド・ジオルコスキー氏を招いての模擬授業も行われた。4名の生徒役が壇上に上がり、ジオルコスキー氏が、いつも学校で行っているような感じで模擬授業を展開。

ジオルコスキー氏の授業は、生徒の気を引くためにダイナミックな語り口で、楽しんで見ていられる様子は、一流のエンターテインメントとも言えるものだった。強風で落下した吊り橋の動画から、うねりの角度を求めさせるなど、電子情報ボードの機能を最大限に活かした授業を見せてくれた。



ポイントは子どもの
確かな学力の向上

■ 今後の方向性を見つけるために

分科会の締め括りとして行われたパネルディスカッションでは、清水氏をコーディネーターに、そして、十文字学園女子大学教授の井口磯夫氏、東京学芸大学教授の任都栗新氏、岡山県情報教育センター次長の平松茂氏、模擬授業を終えたばかりのジオルコスキー氏ら4名がパネラーとなり、電子情報ボードの今後の展開などについて話し合われた。

清水氏がまとめとして「2005年を目標としている教育の情報化の達成は難しくても、ポスト2005年を考えていかなければいけない。ポイントとなるのは、子どもの確かな学力の向上だが、パソコンやインターネットを上手に活用することで分かる授業になっていく。そうした中、電子情報ボードは重要なツールとなっていくだろう」と呼びかけ、分科会の幕が下ろされた。

(取材・構成/田中雄一郎)

 ●参照サイト
 Eスクエア・アドバンス http://www.cec.or.jp/e2a/
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