授業で使える素材がいっぱい「地球&宇宙のミニ博物館」 株式会社渡辺教具製作所
地球儀・星座早見盤をつくり続けて66年の製造会社が、自社内にミニ博物館を開設、学校や地域住民に開放している。今回は、株式会社渡辺教具製作所の「地球&宇宙のミニ博物館」を訪れた小学校の子どもたちの様子も交えてレポートする。
今の時期、見える星座は・・・
子どもたちの質問に答える
渡辺さん 引率の嶋田先生も一緒に・・・
地球儀の製作工程が見学できる。中には特注品も・・・。 1枚1枚丁寧に職人の手で 貼られていく地球儀 社長の渡辺美和子さん
直径106cmの地球儀が目印 |
■プラネタリウムに子どもたちの歓声が 入梅のどんよりした空の下、「こんにちは!」と元気に入ってくる子どもたち。今日は、埼玉県草加市立稲荷小学校6年生の子どもたち12名が、学校からほど近い「地球&宇宙のミニ博物館」を訪れた。 「こんにちは」と穏やかな笑顔で迎え入れるのは、株式会社渡辺教具製作所取締役社長の渡辺美和子さん。渡辺さんは、昭和12年に創業された地球儀・星座早見盤製造会社の4代目。先代からこの事業を受け継いで8年目になる。 子どもたちがここを訪れるのは2回目。前回は、渡辺さんから地球儀の歴史や大きさなどを学び、製作工程を見学した。学校に戻ってから、特に興味をもったコロンブスについて、地球儀と星座盤を用いて世界を回ったのはなぜか、どうしてインドだと間違えてしまったのかなど調べたという。 「今日は天文の勉強をしようと思います」とオレンジ色の大きい球体を抱えた渡辺さんを子どもたちが取り囲む。 渡辺さんは天球儀を手にする。 「それでは、プラネタリウムを見ましょう」 「この白っぽいもやがかった部分は“天の川”よ」 最後に渡辺さんへの質問タイム。前回の見学の後、みんなで質問を考えてきたという。 ■授業のヒント探しにも活用を 「ここをオープンする際、ただ博物館として見せるだけではなく、勉強会などフレキシブルに活用できるよう設計しました。例えば、室内の周囲にある低い展示棚は、展示物を移動させると椅子として、また、作業台として利用することもできます。これらは学校の先生方が設計のアイデアをいろいろと提案してくださったのです。また、開設にあたっては、草加市が行っている“草加市うるおい工房支援事業”に認定され、経費の一部を助成していただきました。つまり、ここは産官学でつくりあげた博物館。ですから、地域の会合で利用していただくこともあります」と渡辺さんは開設の経緯を話してくれた。 また、地域の学校評議員でもある渡辺さんは授業での利用を歓迎しており、「先日は県内の高校の先生方が研修にいらっしゃいました。先生方はいろいろと授業のヒントを見つけられたようでした。子どもたちが直接、見学することができない場合でも、まずは先生方がここでアイデアを見つけてくれれば、と考えています」と話す。 ここは平日のみの開館ではあるが、毎週火曜日には専門の解説員が常駐しており、詳しい解説を聞くことができる。また、午前中ならば、職人による手貼りの工程を見学することも可能だ。1枚1枚、正確かつ丁寧に貼り合わせ地球儀ができあがる様子は、大人でも見ていて飽きないものだ。 「私は学校の先生方を幅広くなんでも対応できるホームドクターだと考えています。でも、ホームドクターで対応しきれない場合、専門医にお願いしますね。私たちのような専門家はそんな存在ではないでしょうか。中には、外部の人に聞くことを頑なに拒む先生もいらっしゃいますが、どんどん学校の外へ出て欲しいですし、先生方のアイデアや意見も聞いてみたいです」と話し、今後はソフト面の充実により力を入れていきたいという。授業の素材がたくさん詰まったこの施設、ぜひ活用して欲しい。
(取材・構成:学びの場.com)
■「地球&宇宙のミニ博物館」ご案内 ※当記事の情報は、公開当時のものです。 |
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