体感型シミュレーションゲームで起業家教育 川口市立芝西小学校
川口市は、平成14年に経済産業省がスタートした「起業家教育促進事業」のモデル自治体に選ばれ、市教育委員会のよびかけにより応募・選出された24の小中学校で、「起業家教育」が行われている。今回は、24校のうちの1つである川口市立芝西小学校の6年1組の授業の様子を取材した。
将来何になりたい?
え、これだけでどうやって作るの? お金も技術もあるけど、資源がない! きれいに作らないと高く売れないよ! 交渉係りが外国と取引 インターネットで情報がどこよりも早く届いた! 講師の長曽崇氏
6年1組担任の木村先生
野島邦彦校長先生 |
「起業家教育促進事業」は、「起業家マインド」を有する人材の育成・輩出を目的とし、主に小中学校の生徒を対象として、起業家やビジネスマンに必要とされる「課題発見力」、「問題解決力」、「交渉力」、「想像力」、「決断力」といった能力を楽しく学び、体験しながら身につけるなどのモデル授業を普及させようというもの。 ●子ども達にとってビジネスのイメージって? 今回の授業は、1時間目から5時間目まで通しで行われる。最初は、 ●時間内に一番稼いだ国が勝ち! さて、いよいよゲームの開始。子ども達は、「ライオン王国」「シマウマ王国」など8つの国に分かれる。各国に封筒が配られ、子ども達は中に入っている道具を使って製品を生産し、ゲーム終了時までに最もたくさんのお金を稼いだ国が勝ち。これがゲームのルール。 ●ゲームのねらい このゲームの面白さは、資源もお金も十分にある国が必ずしも勝つとは限らず、最初はさみも鉛筆もなかった国が、上位に食い込むなどの意外性があるところ。しかし、大切なのは、勝ち負けではない。 「今回のゲームは、子ども用にアレンジはしていますが、特にレベルを低くしたわけではなく、基本的には大人の研修に使うものとあまり変わりません。敢えて高いレベルのものを見せることによって、関心を促進することがねらいです。今回、市場原理とか国連とか難しい言葉がいくつか出てきましたが、これらを全部、今理解できなくてもいいんです。後になって、ああそういうことだったんだ、と気づくような種をいっぱい蒔いてあげたいと思っているのです」 子ども達にも感想を聞いてみた。 今までニュースで見て遠い国の出来事と思っていたような事件が、特別なことでもなんでもなくて、身近にも起こりうる、あたりまえの社会の仕組みの一部なんだとわかった、その驚き、興奮が伝わってくる。 また、 長曽氏は、こういったことこそが、この授業の最大のねらいなのだという。 ●初めての企業との連携。期待以上の収穫が 「初めて会う講師の方に対し、子どもが緊張して、ゲームにうまく乗れないのではと心配でしたが、うまくいってほっとしました。今回のゲームに出てくる用語や内容は6年生には少し難しかったかも知れないですが、将来子ども達が進路を選択する時にきっと役立つのではと思います」と、担任の木村先生。 校長の野島邦彦先生には、今回の授業の経緯についてお話を伺った。 「起業家」なんて小学生は言葉すら聞いたことがないだろうし、授業で取り組むのは難しいのでは、と思っていたが、そんな心配は無用のようだ。子ども達は、言葉より先に、体験で多くのことを吸収できたに違いない。 (取材・構成:学びの場.com)
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