チャレンジスクール第1号 桐ヶ丘高等学校

東京都では、少子化に伴う生徒数の減少や、生徒の多様化、不登校、中途退学者の増加など、さまざまな問題に対応するため、平成9年から長期にわたって都立高校改革を推進している。この計画では、既設校の発展的統合や改編によって、「総合学科高校」、「単位制高校」「中高一貫6年制学校」などの「新しいタイプの学校」を設立することが謳われている。今回取材した都立桐ヶ丘高校は、その中の「チャレンジスクール」の第1号として北区赤羽北に平成12年4月に開校した。
![]() 壁のないオープンな職員室。生徒の生け花が飾られている ![]() 取材当日は地域交流授業の日。近くの小学生を招きパソコンで名刺を作る授業を行った ![]() 小学生にパソコンの指導をする生徒 ![]() 制服はあるが、着用は自由。私服の生徒も ![]() 福祉・教養系の単位を取得すればホームヘルパー2級が付与される
![]() 授業が始まるまで外で語らう生徒たち ![]() 宇田川敏昭教頭先生 |
■「過去は問わない」。作文と面接だけの入学試験 桐ヶ丘高校は、近隣の既設校4校が発展的に統合して生まれた、総合学科で単位制の3部制(午前、午後、夜間)高等学校。1999年に開校準備室が設けられ、新校のコンセプト、カリキュラムの開発が行われた。同校の校訓「夢・挑戦・感動」には、不登校や中途退学など、これまでの教育の中では、自分の能力や適性を生かせなかった生徒たちにも門戸を開き、自分なりの目標を見つけて挑戦して欲しい、新たな自分を発見し、社会に飛び立って欲しい、という思いが込められている。入学試験は作文と面接だけで、調査書は不用。「過去は問わない」という思いきった方針が話題になり、初年度は定員の7倍もの入学志願者が殺到した。 「正直、こんなに反響があるとは思わなかった。それだけ社会のニーズがあるということでしょうか」と、同校の宇田川敏昭教頭先生は振り返る。 ■体験や地域との交流を通じて社会性を育成 取材当日は、「地域交流の日」といって、体験学習を中心とした桐ヶ丘高校独自の授業が行われていた。選択した科目によって、特別養護老人ホームでボランティアを行う生徒、環境学習の一貫として近くの荒川河川敷の清掃に参加する生徒、地域の学校から小学生を招き、パソコン操作の指導を行う生徒など、さまざまな交流が行われた。
生徒の希望に応じて、自由に時間割が作れることも、同校の特徴である。必履修科目のほかに、福祉・教養系列、情報・ビジネス系列、アート・デザイン系列に分かれた30あまりの総合選択科目が用意されていて、生徒はこの中から好きな科目を選択し、履修する。同校の選択科目は、専門学校への進学や就職に生かせる実践的な力をつけることに力を入れており、最初から目的意識を持って入学を希望する生徒も少なくない。福祉・教養系列では、必要な単位を取得すると、ホームヘルパー2級を付与されるが、これは都内では同校のみである。 ■わかる授業 一クラスの人数は15人程度と小人数で、きめこまかな指導が可能だ。さらに、長期の不登校などで、基礎的な勉強ができなかった生徒のために、「みんなの国語」「みんなの数学」といった、「みんなのシリーズ」という教材を独自に開発し、中学校で履修する内容を再確認してから無理なく高校の学習内容に入れるようになっている。日常的な話題やゲーム的要素も取り入れており、生徒に人気のある授業(「楽習」)だという。
メンタルケアにも力を入れている。専任のカウンセラーが常駐するほか、スクールカウンセラーが定期的に来校。また、都内の3つの大学から大学院生が日替わりでメンタルフレンドシップアドバイザーとして来校し、さまざまな相談に応じてくれる。年齢も近くて話しやすいため生徒たちには好評だ。 ■楽しい「楽校」 桐ヶ丘高校の特徴としてもう一つ挙げるとすれば、楽しい「楽校」を目指している点だろう。キャンプや自然体験教室など、学校行事も充実している。 桐ヶ丘高等学校のホームページ (取材・構成:学びの場.com) |
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