2017.08.09
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スクールリーダー調査リポート(第2回) 【本調査報告】校長先生の仕事にはどんなものがあるか~校長調査の基本集計・因子分析~

スクールリーダー調査リポート(第2回)

社会の状況が大きく変化する中で、教育活動も変革が求められています。また、教師の年齢構成の変化など、学校組織も転換期を迎えています。学校が組織として対応することが求められ、管理職やミドルリーダーの重要性が高まり、その育成が注目されています。

本連載では、筆者が取り組んでいる内田洋行×横浜国立大学共同研究「アクティブ・ラーニング推進時代に対応したミドルリーダー・管理職に関する調査とサーベイフィードバックによる研修の開発」を基に、この問題について迫ります。第2回では、学校のリーダーである校長先生の仕事についてご紹介いたします。

校長先生って、どんな仕事をしているの?

校長先生がどのような仕事をしているかご存じでしょうか。小学校、中学校、高校と各学校に校長先生はいますので、身近な存在かと思いきや、子どもの時代の校長先生との思い出は? と聞かれると、答えるのに困るかもしれません。ちなみに、筆者の場合は、小学校時代の宿泊教室で、校長先生とおしゃべりしながら夜間ハイキングをしたことが一番の思い出です。子どもの視点でいうと、校長先生の仕事は、校門での朝のあいさつ、全校朝礼などでの講話、宿泊行事での引率などが挙げられるのかもしれません。

校長先生の役割の重要性は年々高まっています。1998年の中教審答申「今後の地方行政の在り方について」によって、学校の裁量権の拡大、学校の自主性・自律性の必要性が明記され、校長先生の役割が拡大しています。これまで、校長先生の仕事は、学校の管理に関するものが中心だったのに対し、現代では、学校の経営者、経営力を持った教育専門家として、カリキュラムを含めた学校の活動をマネジメントし、学校づくりのビジョンや戦略を明確にし、目標と経営計画を作成し、それを実施・運営することが求められています(小島 2010)。つまり、校長先生は、学校のリーダーとして、学校をどのようにつくっていくのか、目標を立て、その道筋を計画し、実際に実行していく存在なのです。その中には、これまでの管理に関する仕事も含まれますし、教職員の人材育成も含まれます。校長先生の役割は広くなっています。

本研究では、現在の校長先生がどのような仕事をしているのか、調査を行いました。その結果をご紹介いたします。調査では、質問紙調査という形で、校長先生に仕事の実施度や、効力感(どのくらいその仕事をできると思っているのか)について、それぞれ質問を行いました。項目は、校長の専門職基準(日本教育経営学会実践推進委員会 2015)や横浜市教育委員会による「『教員のキャリアステージ』における人材育成指標」(2015)、東京都教育委員会(2013)による「学校管理職育成指針」など、各自治体の指針等や、校長の実務書などを参考に、現職の校長先生や教員委員会と相談しながら作成いたしました。その結果、大きく「ビジョンの構築・達成」、「カリキュラム・マネジメント」、「指導・助言」、「人材育成」、「組織マネジメント」、「外部との関わり」、「危機管理」、「学校事務管理」、「副校長・主幹教諭との連携」に分かれることが明らかになりました。以下がその結果になります。

よくやっているのは「他の教職員との連携」「危機管理」

どの項目についても,『かなり力を入れて』、もしくは『力を入れて』取り組んでいることがわかります。特に、「副校長・主幹教諭との連携」については値が高く、副校長先生、主幹教諭と協力して仕事に取り組んでいることが伺えます。他にも、多くの校長先生(全体の3分の1以上)が『かなり力を入れて』いる項目として、「教職員の資質・能力や実態の把握」、「豊かなコミュニケーションを行えるような組織づくり」など、教職員との協働を大切にしていることがわかります。また、「カウンセラーなどの他の専門職との連携」や「いじめへの対応」、「チーム学校」、「学校の危機対応」など、学校が求められるような項目に関しては多くの校長先生が力を入れていることもわかります。

課題があるのは「カリキュラム・マネジメント」

一方で、他と比較して値が低いのが、「カリキュラム・マネジメント」です。次期学習指導要領においても、それぞれの学校が状況に応じてカリキュラムを展開していくことの重要性が指摘されていますが、現状においては、他の仕事と比較すると低い状況にあると言えます。また、細かく見ていくと、カリキュラム・マネジメントに関連して、「外部との関わり」の中の「地域・企業、NPO等の外部の協力を得ながら教育活動を行う」という値も、他と比較すると低い状況にあります。これは、効力感についても同じことが言えます。以下は効力感の結果になります。

このように、効力感についても、「カリキュラム・マネジメント」、外部の協力に関する項目が他と比較して低い状態にあります。これからに備え、校長先生に対するカリキュラム・マネジメントに対する研修や支援などが求められていると言えます。

出典

執筆者:脇本 健弘(横浜国立大学 教育学研究科高度教職実践専攻 准教授)

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