2022.10.24
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新刊『算数文章題が解けない子どもたち―ことば・思考の力と学力不振』

つまずきの原因を「読解力が足りない」で済ませては支援につながらない。そこで、著者らは学習の認知メカニズムにもとづいて、学力の基盤となることばの知識、数・形の概念理解、推論能力を測るテストを開発。その理念と内容、実施結果を紹介し、それで測る力が算数・国語の学力とどのような関係にあるのかを質的・量的に検討した本です。

今井先生より

著者らと広島県教育委員会が共同開発した「たつじんテスト」は認知科学に基づき、小学生のことばの理解、推論・思考力、数・形の理解を測ることで学習の「つまづき」の原因を明らかにします。

この本では、「たつじんテスト」開発の理念と広島県での調査結果によって得られた成果を紹介し、認知科学の観点からみた学習の支援に必要な「目のつけどころ」について考え、「学力」とは何かを改めて問い直します。

目次

はじめに

第1章 「ことばのたつじん」「かんがえるたつじん」の基本理念――学びの前提を測るテスト
 1-1 開発の意図と目的
 1-2 学力とは何か
 1-3 「生きた知識」とは何か
 1-4 「生きた知識」を使うために必要な認知能力
 1-5 テストデザインの基本理念
 1-6 テストの使い方

第2章 誤答から見える算数学力
 2-1 算数文章題テスト
 2-2 3, 4 年生用問題の誤答タイプ
 2-3 5 年生用問題の誤答タイプ
 2-4 誤答分析のまとめ
 2-5 個人差
 2-6 階層ごとの誤答タイプの分布

第3章 「 ことばのたつじん」による言語力のアセスメント
 3-1 テストの概要
 3-2 「ことばのたつじん①」――語彙の深さと広さ
 3-3 「ことばのたつじん②」――空間・時間のことば
 3-4 「ことばのたつじん③」――動作のことば
 3-5 言語力の個人差
 3-6 「ことばのたつじん」と学力の関係

第4章 「 かんがえるたつじん」による思考力のアセスメント
 4-1 テストの概要
 4-2 「かんがえるたつじん①」――整数・分数・小数の概念
 4-3 「かんがえるたつじん②」――図形イメージの心的操作
 4-4 「かんがえるたつじん③」――推論の力
 4-5 「かんがえるたつじん」と学力の関係

第5章 「 ことばのたつじん」「かんがえるたつじん」と学力の関係――統計分析
 5-1 算数文章題テストを学力の指標とした重回帰分析
 5-2 標準学力テストを学力の指標とした重回帰分析
 5-3 重回帰分析からの考察

第6章 学習のつまずきの原因
 6-1 知識の問題
 6-2 推論と認知処理能力の問題
 6-3 相対的視点と認知的柔軟性の問題
 6-4 読解力と推論力の問題
 6-5 複数要素の統合への手立てが重要

付録1 ほんものの学力を育む家庭環境――保護者アンケート調査から
 A-1 保護者アンケート調査
 A-2 家庭環境が学力に及ぼす影響
 A-3 ほんものの学力を生む家庭環境
付録2 「ことばのたつじん」「かんがえるたつじん」の開発の過程
付録3 「ことばのたつじん」「かんがえるたつじん」の頒布の対象と入手方法

 終わりのことば
 注

新刊『算数文章題が解けない子どもたち―ことば・思考の力と学力不振』

著 :今井 むつみ、 楠見 孝、杉村 伸一郎、中石 ゆうこ、永田 良太、西川 一二、渡部 倫子
発行:岩波書店
定価:2,420円(税込)
仕様:A5判 224頁

文・画像提供:岩波書店

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