2020.01.10
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ワークショップのススメ

ワークショップといえば、一方通行の受動的な講義とは異なり、参加者も能動的に何か体験したり話し合ったりするものです。そうしたプロセスを経て、知識やスキルを高めたり、自身の考えを深めたりすることができます。

前 山形県立米沢工業高等学校 定時制教諭  山形県立米沢東高等学校 教諭 高橋 英路

校内でワークショップを

前回の記事『「へんな人」のススメ」で、「イベントでつくる地域社会」というテーマで活動している生徒たちが、地域について考える場(イベント)をつくりたい!と考えているという内容を紹介しました。詳細は前回の記事をお読みください。

このイベントというのが、「地域について考えるワークショップでして、生徒たちが実際に校内で企画・実施しました。どんなイベントが良いのか、異なるタイプのものを試してみて、参加者の集まり具合や満足度などを振り返りながら、あれこれ考えています。そんな様子を担当者として見ていて、ワークショップのタイプによって参加者層や盛り上がり、効果などに違いがあることにあらためて気づかされました。自分でも有志の教員を中心に勉強会を企画しているので、その参考にもなるな~と感じたところです。そのあたりを、実際に生徒たちが企画したワークショップの類型ごとに紹介してみたいと思います。

なお、あくまで生徒が企画し校内で実施したワークショップですので、そうした例としてお読みください。

ゲストを呼んでのワークショップ

外部から特別ゲストや講師を招いてのワークショップになります。ゲストの方が主導してワークをしたり、参加者のワークに対し講評したり、様々な形が考えられるかと思います。勤務校で実施したものは、授業で講話していただいた講師の方を後日もう一度お呼びして、今度はワークショップの最後の講評をお願いしたものです。ちなみに、ワークショップの内容としては、地域の良いところをグループごとに出し合い、その中から1つのキーワードを選びます。選んだキーワード〇〇とケーキを組み合わせ「〇〇×ケーキ」のアイディアとキャッチコピーを考えるという斬新なものでした(生徒発案です)。

(メリット)

  • 普段会えないような方が来るというワクワク感や、ゲストのネームバリューにより、参加者が集まりやすい。
  • とりあえずゲストに興味があるという人も参加してくれるので、そこでワークショップの主目的にも興味を示してくれれば、次回以降、仲間が増えることに繋がる。
  • 同じことを伝えるにしても、身近な人(先生や校内の友達など)が言うより、外部の方が言った方が特別感を演出でき、印象に残りやすい。
  • 生徒だけで進行に不安があってもゲストが助けてくれる(教員が過度に助けてしまっては誰が主催なのか分からなくなるので…)。

(デメリット)

  • ゲストを呼ぶ費用、手続きといったコストがかかる。(そのコストを考えると、ある程度の参加者を集める必要がある)
  • ゲストが話す内容などは任せざるを得ないので、ゲストと主催者との間で目的の共有が不十分だと、効果が上がりにくい。
  • ゲストに興味があるだけで参加している人もいるので、主目的が忘れ去られる危険もある(ゲストの話は聞くけど、自分たち同士の話は深まらないなど)。

自分たちだけで対話するワークショップ

参加者だけであるテーマについて話し合うワークショップです。話し合いの手法として、ディベートするとか、自由討論にするとか、これまた様々な形が考えられると思います。勤務校で実施したのは過去に記事を書いた「p4c」という手法で、参加者全員が車座になりコミュニティボールを回しながら正解のない問いについて対話するというものです。授業でやってみたのを踏まえて、自分たちだけで放課後にやってみたい!ということで、チラシも作って実施していました。「p4c」については以前の記事「授業に対話(p4c)を取り入れる」をお読みください。

(メリット)

  • コストがほぼ0でできる(頻繁にできるし、昼休みや放課後などにサクッとできる)。
  • どんなに少人数でも実施可能で、主催者+その友達しか来なくても実施できる。
  • 大した準備も不要なので、当日ギリギリになって校内を回って呼び込みすることもできる。

(デメリット)

  • 校内で初対面同士もおり、学年の違う生徒もいる中、うまくファシリテートするのにけっこうな技量が必要になる。(教員でも難しい……)
  • 話をするといっても、主催者の友達が大部分を占めると、友達同士の会話になってしまい、その他の参加者の満足度が下がってしまう。
  • 「〇〇について話をしよう!」というだけのイベントだと参加のハードルはけっこう高い(話を聞くだけなら……とか、何かもらえる(得られる)なら……という人の方が圧倒的に多い)。

何かを作るワークショップ

モノや料理など、何かを実際に制作するワークショップです。これも、材料だけ準備してグループごとに自由に考えて料理しよう!とか、子どものオモチャをつくってみよう!とか、様々なパターンがあると思います。勤務校で実施したのは、竹の筒にドリルで穴をあけて模様を作り、できた筒に灯りを入れて祭りに飾る「竹あかり」というものです。生徒が地域のお祭りの企画会議に参加し、自分の学校でも作ってみたい!と要望して実現しました。

(メリット)

  • ワークショップの目的は別として、制作物に興味のある人が参加してくれるので、参加者が集まりやすい(〇〇を作るよ~!と声がけもしやすい)。
  • 知らない人同士が集まっても、共同作業が必要だと自然と会話が弾む(単に、〇〇について対話しよう!というより、作業しながらだとずっと話しやすい)。

(デメリット)

  • 材料費や道具、会場など、コスト・手間がかかる(参加人数は結構正確に把握しておく必要がある)。
  • 制作物をつくり、その後にさらに何か話し合いまでするのは難しいので、ねらい(地域について考えるきっかけとする)が達成できたかどうかが分かりにくい。

繰り返していけば……

ということで、それぞれのタイプにそれぞれのメリット・デメリットがあるわけですが、こうしたワークショップを繰り返していくうちに大きな成果が出てきました。企画している生徒たちは、初めてやったときは、先輩の参加者などを目の前にしてすごく緊張していたのですが、回を重ねるごとにだいぶ慣れてきました。また、司会や開会・閉会、ワーク担当、チラシ作り、参加者募集などを自分たちで分担し、それぞれの役割も特に私の指導などなくとも、自分たちでできるようになってきました。校外の人も呼びたい!校外でもやりたい!という声は頼もしい限りです。

さらに、参加者やワークショップのチラシを見た他の生徒たちにも影響があったと思います。校内で面白そうなことやってる!とか、自分たちだけでもやれるんだ!とか、だったら私もやってみても良いのかな?とか、プラスの意味で刺激を受けてくれた生徒も多いようでした。

もちろん、企画も参加も強制ではないですし、楽しんでやっているのが一番だと感じています。皆さんの学校では本当の意味で生徒発案のイベントはありますか?ぜひ、教えてください!最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

高橋 英路(たかはし ひでみち)

前 山形県立米沢工業高等学校 定時制教諭
山形県立米沢東高等学校 教諭


クラス担任と、地歴科で専門の地理を中心に授業を担当。生徒達の「主体的・対話的で深い学び」が実現できるよう、p4c(philosophy for children)やKP(紙芝居プレゼンテーション)法などの手法も取り入れながら日々の授業に取り組んでいます。

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