教育の情報化を推進! インタラクティブ・ユニット eB-P+e-黒板アシスタント
内田洋行の電子情報ボード「インタラクティブ・ユニット eB-P」は、黒板やホワイトボードの端にマグネットで取り付けるだけで、黒板をe-黒板として使える画期的なツールです。 さらに「e-黒板アシスタント」をセットで活用することにより、操作パネルシートと専用のペン(プロジェクションペン)で色変更や、書き込みの消去、一部拡大、画面撮影ができるなどの機能追加がプラス。
今回は、その機能について墨田区立鐘淵中学の活用事例とあわせて紹介します。
◆商品名
・インタラクティブ・ユニット eB-P +
e-黒板アシスタント セット
※e-黒板アシスタントはPC操作用のソフトもセットに含まれます。
セット価格 ¥134,800
株式会社内田洋行
普通教室の黒板を電子情報ボードとして活用する
パソコンやプロジェクターが教育現場に導入されたことで、新しい形の授業が生まれてきている。情報教育を手助けしてくれるツールとして、以前、教材大研究で電子情報ボード(e-黒板)を特集した。内田洋行の製品として「インタラクティブユニット eB-3」を取り上げたが、今回紹介する「インタラクティブ・ユニット eB-P」はそのさらに進化したものだ。
黒板やホワイトボードに取り付けるだけで、設置型の電子情報ボード同様にパソコンの画面を提示して操作できるというのが大きな特長だが、新たに発売された「e-黒板アシスタント」とあわせて使うことで、授業での使いやすさをより高めることができる。
コンピュータ教室や普通教室にプロジェクターが導入されるに伴って、ようやくe-黒板を授業で使う機会が増えてきたが、全部の教室を補えるほどの数を導入したというケースは、あまり聞かれない。どうにか各学年に1台の割合ぐらいで導入して使いまわしているというのが現状だが、授業でe-黒板を使おうと思ったときに、大きなe-黒板を移動させて使っていたのでは、それだけで時間が取られてしまう。
その点「インタラクティブ・ユニット eB-P」は、黒板やホワイトボードの端っこにマグネットで取り付けるだけで、普通の黒板をe-黒板として使えるのが大きな魅力。プロジェクターを使ってパソコンの画面を黒板に映し出し、そのまま投影した画面上から操作できるということは、パソコンの画面を見ずに生徒と向かい合った授業ができるので、集中力を途切れさせることがない。準備も、USBケーブルで「インタラクティブ・ユニット eB-P」とパソコンをつなぐだけで、電源ケーブルもいらないので、すぐにセットして授業を始めることができるのが利点。
その活用法としてはパソコンの中の教材をプロジェクターで拡大して投影し、それに専用のマーカーで要点を書き込みながら説明をするといった使い方が考えられる。例えばモンシロチョウの画像を投影して、そこに触角の位置を書き込んであげれば、多くの生徒に一度で理解させることができる。その他にも複合機と組み合わせて使えば、資料に描かれている図形や、生徒がノートに書いた文章なども瞬時に取り込んで、提示することができるので、生徒全員に見せたいと思った時に回覧させる手間が省ける。さらには、黒板に映し出していることからマーカーだけでなく、普通の授業のようにチョークで書き込むといったことも可能だ。
e-黒板アシスタント
そんな「インタラクティブ・ユニット eB-P」を、さらに授業で使いやすくするため、セットで使うように提案されているのが「e-黒板アシスタント」。ソフトウェアをインストールすれば、操作パネル(ホイールツールバー)を画面に表示させなくても、黒板に貼り付けた操作パネルシートをペンで押していくだけで色の変更や、書き込みの消去が行えるというもので、授業の流れが、よりスムーズなものとなる。
この「e-黒板アシスタント」の中でも、活用性が高いと思われるのが、指定した範囲を拡大させる機能。「拡大」のボタンを押してからマウスペンで投影している画像の範囲を指定すると、画面上の四角い点線で囲まれた部分が拡大して表示される。授業を進めながら、この部分を拡大して見せたいと思った時に、それが瞬時に行えるというのが、うれしいところである。
さらに、操作シートの「ホワイトボード」のボタンを押せば、スクリーン全体がホワイトボードの状態になって自由に書き込みができるようになる。このホワイトボードのツールバーから「素材を開く」をクリックし、表示されたウィンドウから「e-黒板アシスタント」フォルダをクリックすると、付属のスタンプ集が表示される。このスタンプは約100種類が収録されていて、その内容は時計の文字盤や地図記号、天気記号、動物や植物のイラストなど種類も豊富。例えば、小学校の低学年の授業において、時計の文字盤を表示させて、そこにマーカーで長針や短針を書き込んでいくなど、様々な場面での活用が考えられる。
その他の操作シートの使い方としては、「カメラ」のボタンを押して、黒板に映し出している画面を、そのまま画像として保存することや、「ムービー」のボタンを押して、画面に書き込んでいった流れを動画として残しておくこともできる。こうして記録された静止画や動画は、「スライド」のボタンを押すことで、いつでも閲覧できるので、学習の振り返りを行うのに最適な機能と言える。
「e-黒板」を授業に活躍して
「すぐに資料や教材を拡大して生徒全員に見せることができるようになったことで、授業のテンポが良くなりました」
と語るのは、3年生の数学を教える市倉茂雄先生。資料中の図形や数式の部分を拡大して見せることで、伝えたいことを生徒がすぐに理解してくれるようになったが、この拡大して投影できる機能こそが、市倉先生にとってはe-黒板を授業で使う最大のメリットになったという。
授業では拡大して映し出した図形にコンパスや定規を使って線を引いて説明していく市倉先生だが、必要に応じてマーカーからチョークに持ち替えて要点を書き込んでいく。このマーカーとチョークの使い分けは、特に意識しているわけではなく、授業の流れで自然に使いこなしているという。
市倉先生の場合、e-黒板での授業での使用は、すでに毎時間に及ぶが、その使い方としては、黒板の左半分を普通に板書ができるようにしておいて、黒板の右半分に「インタラクティブ・ユニットeB-P」を取り付けることで、e-黒板として使える状態となる。こうして黒板の右側に教材を提示して説明を進めながら、必要に応じて左側に図形を書くなどして生徒達の理解を求めていく。
(写真左:インタラクティブ・ユニット eB-Pとe-黒板アシスタントを毎時間利用しているという市倉先生)
「インタラクティブ・ユニット eB-P」とあわせて、e-黒板アシスタントも活用しているということで、その感想を聞いてみたが、これまで作業のたびにツールバーを表示させなければいけないことに手間を感じていたが、操作シートにより、その手間が無くなったので随分と便利になったということであった。
「授業開始時にe-黒板やプロジェクターを取り付けて調整している間は、短い時間でも無駄にしないために生徒達には小テストに取り組んでもらっています」
と語る市倉先生。こうしたちょっとした工夫が、授業の効率を上げることになる。
最新のデジタル機器を使っているからといって、決して凝った授業にする必要はなく、できるだけ普段の授業に近いものにというのが市倉先生の考え。必要の無いところで、無理にe-黒板を使ったところで意味が無く、背伸びをしないことが結果として授業での活用に結びついている。
「授業の中で子どもが興味をひくような、ハッとさせる場面を作ってもらいたい」
というのが渡部校長の考え。学力低下が叫ばれているが、それは子どもの学習意欲の低下に起因しているのではないかということで、生徒が楽しいと思えるような授業を作っていくためにも、e-黒板は有効なツールになるのではと語る。
鐘淵中学では、全ての教科の授業において、情報機器が活用されるように研修を行ってきたが、今後はe-黒板やプロジェクターといった情報機器を、どの単元で使っていけば、より教育的な効果が得られるかを探っていきたいとのこと。
「e-黒板を活用することで、教科を越えた先生同士の情報交換が生まれていますが、まだ使い始めたばかりなので、さらに中身を充実させていくのが、これからの課題です」
と語る渡部校長。それに加えて墨田区の中学校全体で連携を取って、電子情報ボードを授業に導入していきたいと考えている。
まだ、パソコンやe-黒板を授業で活用している学校は少なく、これからというところがほとんどだと思います。鐘淵中学の市倉先生が語るように、最新の機器だからといって特別な授業にする必要はありません。絶対に使わなければいけないものではなく、使えば便利なものとして活用するのが、授業に活かすコツではないでしょうか。(2006年3月9日取材/取材・文:田中雄一郎)
※渡部昭校長は2006年4月異動され文花中学校校長に就任されました