2006.02.21
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教材提示装置特集

かつて生徒に教材を見せる際には、主にOHPが用いられていましたが、パソコンの普及に伴い、今ではプロジェクターが主流となっています。しかし、プロジェクターで投影が可能なのは、パソコンで作成した教材など二次元的なものに限られ、生徒が図工で作成したものなど、立体的なものを映し出すには、書画カメラとも呼ばれる教材提示装置の出番となります。その教材提示装置にも、様々な機種がありますが、その中から今回は教育現場で使いやすい持ち運びが簡単なモバイルタイプのものを紹介します。

  • マルチプロジェクション カメラYC-400

  • 簡易資料提示装置 VP-AF(専用ケース付)

  • モバイルプレゼンター AV-300

ズレ補正など充実したデジタル機能 マルチプロジェクションカメラ YC-400

カシオ計算機株式会社

様々な機能を持つYC-400

パソコンがインターネットに接続され、プロジェクターが各教室に1台ずつ導入されるなど、教室のIT環境が進化している中、教材提示装置にも大きな変化が訪れている。かなり前から教育現場への導入は進んでいた教材提示装置だが、決して授業で頻繁に使われるようなものではなく、ITに詳しい先生が、たまに使う程度というのが現状だった。それが、パソコンに繋げてプロジェクターで投影できる「YC-400」のようなデジタル機能が充実した機種が登場してきたことで、その可能性が大きく広がりつつある。
パソコンの画面のようなものなら、すぐにプロジェクターで投影することが可能だが、子どもがノートに書いた文字を投影する際に、いちいちスキャナで読み取っていたのでは、あまりにも時間がかかりすぎる。それが「YC-400」ならば、書画台にノートを置くだけで、瞬時に投影して生徒全員に拡大した画像を見せることができる。言葉で説明しただけでは伝わりにくいことも、実物を投影することで、生徒の理解も高められる。

コンパクトに折りたためて 持ち運びも簡単

このように書類だけでなく立体物を自由に投影できるのが「YC-400」の強みとなるが、外で採取してきた植物などを映し出した際には、400万画素の高解像度であることから、おしべやめしべなどの細かい部分まで、はっきりと見ることができる。
また、学校で使う機器として重要な要素となるのが、教室間の持ち運びが可能であること。「YC-400」ならば1.6kgの軽量である上、厚さ43mmの大きさにコンパクトに折りたたんで持ち運べる。また、カメラ部は簡単に取り外せて、そのまま400万画素のデジカメとしても使えるので、屋外で草花や昆虫を撮影してきてから、再び取り付けて教室で投影するといった使い方も考えられる。

斜めに置いてもズレを自動補正

新聞を映すときは色を補正して 読みやすくできる
そして、「YC-400」が従来の書画カメラと異なる点といえば、書画台に置いた教科書やノートが斜めに傾いていても、自動的に補正して傾きを修正してくれるところ。これまで、傾きを修正するために生じた無駄な時間を取られずにすむ。こうしたデジタルな部分において進化した機能はほかにもあり、例えば書画台に教科書などを置いた際に生じる周りの台座など無駄な部分は、切り出されて教科書の重要な部分のみが自動的にクローズアップされて投影される。このように細かい作業に追われずにすむのは、先生が効率良く授業を進める上で重要なポイントになる。調べ学習などで、新聞記事を映すような場合にも、見せたい部分を拡大するだけでなく、新聞の地色が白色に自動補正されるので、細かい文字まで、はっきりと読み取ることが可能となった。

カメラ部は取り外せて デジカメとして使える

また、パソコンとつながっていることから「YC-400」は、画像の保存に強い力を発揮する。例えば、生徒が調べ学習の成果を発表しながら、投影されている映像の上から書き込んだものも、瞬時に撮影してパソコン内に保存しておけるので、いつでも好きな時に再生して画面を呼び出せる。さらには、スキャナの機能も有しているので、書画台に置いたものを高速でパソコンに次々と取り込んで保存していく。この場合、クレヨンで描かれた絵なども、上からカメラで取り込むので、機械が汚れる心配が無いというのも、従来のスキャナと異なる点となっている。

マルチプロジェクションカメラ YC-400

撮像素子 1/2.5型正方画素原色CCD(総画素数:423万画素、有効画素数:400万画素)
表示解像度 静止表示:XGA(1,024×768)、SVGA(800×600)
スルー表示:QVGA(320×240)
撮影レンズ f=5.8~17.4mm(35mm換算:35.0~105.0mm)、F2.6~ddffff4.8
ズーム(光学) 1.8倍電動ズーム(書画カメラ機能・スキャナ機能)
3倍電動ズーム(プロジェクションエリア撮影機能/ボードエリア撮影機能・ビジネスショット機能)
ズーム(デジタル) 7.5倍、スクロール可能
焦点調節 コントラスト方式オートフォーカス
撮影距離

33cm(書画カメラ機能・スキャナ機能)
40cm~∞(プロジェクションエリア撮影機能/ボードエリア撮影機能・ビジネスショット機能)

撮像範囲 最大:A4サイズ(210mm×297mm)相当
シャッタースピード 自動
絞り 自動
ホワイトバランス 自動
画像回転 可能(90°/180°/270°)
接続端子 PCへの出力:USB(1.1)×1
対応OS/推奨PC環境 WindowsXP/2000 Professional/Me/PentiumⅢ 800MHz以上 ※同梱のCD-ROMよりPCソフトウェアのインストールを行うためのCD-ROMドライブが必要
消費電力 5.2W
電源 AC100~240V、50/60MHz
外形寸法(幅×高さ×奥行)※突起部除く 約168(327)×約43(391)×約285(264)mm ( )内は使用時
質量 約1.6kg
機能その他 PC・カメラ映像切替、撮像PC保存(スキャナ機能)、カメラ部着脱(ビジネスショット機能)、ホワイトボード投影画面/表記撮影・PC保存/再生(プロジェクションエリア撮影機能/ボードエリア撮影機能)、書画撮像補正(輪郭抽出/切り出し/輝度ムラ補正/色補正/輝度補正)
主な付属品 リチウムイオン充電池(NP-20)/USBクレードル/カメラアタッチメント/専用ACアダプター(AD-A50150S)/ACコード/USBケーブル/ストラップ/キャリングバッグ/CD-ROM(2枚)/取扱説明書/保証書
価格 258,000円(税込 270,900円)

簡単な接続でテレビに映像を映し出す 簡易資料提示装置 VP-AF(専用ケース付)

株式会社内田洋行

卓上スタンド方式の「VP-AF」

http://school.uchida.co.jp/
今はほとんどの学校に、パソコンやプロジェクターが整備されたものの、設置台数をはじめとして、学校によってIT環境はまちまち。さらには、先生のスキルによっても、その活用状況は大きく異なってくる。そんな状況では、普通教室で行われる授業で、教材提示装置を使おうと思っても、プロジェクターが用意できずに、あきらめるといったケースも少なくない。

実験のようすをクラス全員が同時に見せたいときに便利!

そのため、ビデオ出力となる「VP-AF」は、どこの教室にも必ず1台は置かれているテレビに影像を映し出し、簡単に使えるということから、教育現場に数多く導入された機種となっている。教材提示装置というと、この機種を思い浮かべる先生も多いのではないだろうか。

お習字の「はね」や「とめ」の部分もわかりやすく解説

また、テレビだけでなく、ビデオ入力のあるデータプロジェクターならば、スクリーンに投影することも可能。ピントの調節もオートフォーカスなので、映したいものにカメラを向ける以外の手間はかからないのがうれしいところ。ヘッド部、アーム関節、台座部が動くので、カメラアングルが自由に調節できるほか、カメラが付いているヘッド部は取り外しが可能で、被写体に近づけて様々な角度から映し出すことができる。

ヘッド部、アーム関節、 台座部が動く

数ある教材提示装置の中でも、卓上スタンド方式の「VP-AF」は、簡単な接続で、すぐに映像を映し出せるというシンプルな作りが特徴。教室から理科室に持ち運んでから、理科室に置いてあるテレビに先生の手元を映し出し、実験の手順を見せていくといった使い方も考えられる。コンピュータの扱いが苦手で、限られた授業時間の中で、準備に時間が取られることを嫌う先生にとって、「VP-AF」のようなシンプルなものは使いやすい機種と言えるだろう。

簡易資料提示装置 VP-AF(専用ケース付)

画素数 41万画素
フォーカス ワンタッチオートフォーカス(電動)
原稿サイズ 15×20mm~240×330mm
出力端子 コンポーネントビデオ×2、音声(モノラル)×1
入力端子 マイク×1
電源 AC100V 50/60Hz
本体質量 約2.1kg
本体サイズ A4撮影時:W160×D343×H446mm
収納時:w160×D262×H291mm
付属品 ビデオケーブル、ダストカバー
価格 107,800円

カメラの画像とパソコンの画像を切り替えながら使用 モバイルプレゼンター AV-300

株式会社内田洋行

パソコンの画像出力と同じ RGB出力の「AV-300」

http://school.uchida.co.jp/
「VP-AF」と似たようなモバイルタイプの教材提示装置で、同じように持ち運びが簡単なものでも、「AV-300」はパソコンの画像出力と同じRGB出力であることから、プロジェクターを使って投影することが容易となっている。ビデオ出力の教材提示装置の場合は、解像度が低いことから、文字などが読み取りにくいといった問題点があったが、RGB出力ならば、プリントに書かれている文章や、生徒がノートに書いたような文字も、きれいに読み取とることができる。
「AV-300」では、カメラに映したいものを、どこに置いたら良いか検討をつけるため、ヘッド部から赤いレーザーポインターが4ヶ所に照射される。この4点をカメラに収められる範囲とあたりを付けて、映したい教材を置いていけば良い。こうしてカメラで映し出したものは8倍までデジタルズームで拡大させることができ、その操作は、リモコンにより離れた場所からも行える。

ヘッド部から赤いレーザー ポインターが4ヶ所に照射される

また、映し出したいものが文字中心のものか、あるいは写真や絵が入ったものを映すかによって、ディテール調整で切り替えを行うことができる。テキスト中心の場合は黒のコントラストが上がるので、より文字が読みやすくなるというわけである。また、ネガ・ポジを反転させる機能により、スライドのようなネガフィルムも、画面に映し出すことができるようになっている。
パソコンを使った授業で「AV-300」を活用する場合には、プロジェクターにパソコンと「AV-300」を同時につなげて、パソコンの画像と「AV-300」のカメラに映した画像を切り替えながら見せることができるが、これは「AV-300」がVGA入力であるからこそ可能となった点である。

モバイルプレゼンター AV-300

画素数 85万画素
補助照明 ヘッド部内蔵LED照明
ズーム 8倍デジタルズーム
フォーカス マニュアル
原稿サイズ 6×8mm~235×315mm
出力端子 VGA×1、DVⅠ×1
入力端子 VGA×1
電源 AC100V 50/60Hz
本体質量 約1.5kg
本体サイズ A4撮影時:W175×D400×H460mm
収納時:W175×D360×H100mm
その他の機能 ネガ・ポジ反転、1画面メモリー、ディテール調整、カラー/白黒切替
付属品 VGAケーブル、電源ケーブル、リモコン
価格 168,000円
教材提示装置は算数や理科の授業に限らず、習字の時間に見本を投影したり、音楽で音符を映して見せたりするなど、先生の工夫次第で、様々な場面での活用が考えられます。これまで教材提示装置を使った授業なんて自分には関係ないと思っていた先生も、一度チャレンジしてみてください。きっと、これまでと違った授業の進め方が見つけられるはずです。
※当記事の情報は、公開当時のものです。
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