リモコンを使って児童・生徒の解答を即座に集計

パソコンやプロジェクタが教室に導入されたことで、これまでと違った新しい形の授業が生み出されつつあります。まだ試行錯誤の段階で、コンピュータを使った授業に戸惑う先生も少なくないですが、ICTを活用することで、生徒の興味を引き付ける授業に成功したなどの例も多く聞かれます。そこで今回は、パソコンやプロジェクタと連動して使う機器として新たに登場した、リモコンで児童・生徒が授業に参加できる授業支援システム「EduClick」を紹介します。
EduClick

「それでは、この中から正解だと思う番号を押してください」。プロジェクタで提示されている問題を指し示しながら先生が呼びかけると、子どもたちは持っているリモコンを一斉に押し始める。内田洋行のクラスルーム参加型授業支援ツール「EduClick」(エデュクリック)は、先生が出した問題に対して、子どもたちが一人一人に渡された生徒用リモコンを押して回答していくというもの。生徒用リモコンから送られた回答は、教室前方に取り付けられた赤外線レシーバで受信され、回答の分布や正答率などが即座に表示される。

エデュクリックの初期画面
これにより生徒がどれだけ授業を理解しているかが分かるのと同時に、自分も授業に参加しているという自覚を生徒に持たせることにもつなげられる。
生徒が使用するものがリモコンだけということもあり、配線の手間やコストがかからないというのがEduClickの特徴。実際に導入する場合は、まずは赤外線レシーバをパソコンに接続し、リモコンからの赤外線を受信しやすい位置に設置する。そして、CD-ROMからEduClickをインストールして、年度、学年、クラス、生徒数を入力。そして、それぞれのクラスの生徒の名前を入力することで、リモコンから送られた回答が反映されるようになる。
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生徒用リモコン
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生徒用リモコン
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赤外線レシーバ

質問設定
そして、授業中に問題を提示したり、次の問題への切り替えなど、画面の操作は、常に先生用リモコンを使って進められるが、このアイコンがプリントされた15個のボタンからなる先生用リモコンは、パソコンのキーボードのテンキーを操作する感覚に近いものがある。この先生用リモコンでEduClickの画面だけでなく、PowerPointなど別のアプリケーションを操作することもでき、アプリケーションが起動した後は、リモコンを使ってEduClickとアプリケーションを切り替えられる。
画面に問題と選択肢が提示されたら、生徒は画面の右側に表示されているカウントタイマーの制限時間内に、生徒用リモコンの番号を押して回答する。

また、このような生徒全員の回答を制限時間内に回収する「テストタイム」の他にも、最も早く回答したものが表示される「即答タイム」や、回答権の獲得を競う「ワン―バイ―ワンタイム」、EduClickで作成した問題でなく、先生が口頭で出した問題などを回答させる「即問即答タイム」、先生に質問したい生徒にボタンを押させる「質問タイム」などがあり、用途に応じて使い分けられる。
こうして授業で使った集計結果は、データベースとして残しておけるのに加え、CSVに出力することも可能。この結果はクラス別や個人別、あるいは問題別に分析することができるので、正解率が低い問題を復習するなど今後の授業に役立てたり、成績を判定する際の参考にもなる。また、小テストといった形で授業で使うだけでなく、クイズやアンケートなど、様々な場面での使い道が考えられるものとなっている。
「EduClick」を国語の授業で活用
東京都八王子市立散田小学校


木下一朗先生
実際にEduClickを使うのは、主に国語や算数の授業。子どもたちに対して、最初の授業の時に使い方を説明したが、リモコンのスイッチを押すだけということもあって、使い方が分からず混乱するようなことは無かったという。「むしろ、子どもたちの方が、使いこなしているぐらいで、こうしたこともできるよと、こちらが気付かなかった使い方を教えてくれるほどです」。
今回の取材の時に、EduClickを使ったのも、国語の「サンゴの海の生きものたち」について教えている中でのことだった。まずは通常の国語の授業と同様に、教科書を子どもたちに音読させて、クマノミとイソギンチャクの関係など、ポイントとなる部分を配布したワークシートに書き込ませていく。この時に書き込んだ内容を、どれだけ覚えているかを確認するところで、いよいよEduClickの出番となる。
授業も終盤に差し掛かったところで、木下先生から「それでは、今日の授業でやったところを覚えているかEduClickで確認します」との声がかかると、それを子どもたちも待ち望んでいたようで「やったー」と歓声があがる。そこで、正解を見てしまわないように、ワークシートを回収してから、生徒用リモコンが子どもたちに配られ始める。最初からリモコンを渡しておかないのは、子どもの興味が授業中にリモコンに向いてしまわないようにするのと、なくしたり壊したりすることを防止するためだそうだ。低学年の児童が機器を使う場合は、こうした配慮も必要となってくる。


授業が終わってから、子どもたちにEduClickを使った感想を聞いてみたところ、「ボタンを押すのが楽しい」「正解者が100%とか、すぐに出てくるのが面白い」といった答えが返ってきた。リモコンを使うのが楽しいあまりに、最初はふざけてわざと間違えた答えを押すような子どももいたそうだが、ふざけて押したら1回休みなどのルールを決めるなどして、そうしたことを無くしていったそうだ。また、ある子どもは「先生の年を当てたり、お弁当のおかずを当てたりしたのが楽しかった」と、授業以外で使ったことも教えてくれた。これもEduClick興味を持ってもらい、リモコンの操作になれてもらうために木下先生が考えてのことだった。
こうした国語の授業の他にも、算数では九九を間違えずに覚えているか確かめるために、EduClickを授業に取り入れた。基本的には普通に授業を進めてから、まとめの小テストとして使うことが多く、「授業も後半になってくると、子どもも飽きてくるので、そこでEduClickを使うと一気に盛りあがり、再び集中力も高まります」と、木下先生は活用のポイントを語ってくれた。
EduClick仕様 | |
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製品名 | EduClick(エデュクリック) |
価格 | 25台用(先生1、生徒25)→298,000円 50台用(先生1、生徒50)→398,000円 生徒追加リモコンセット(5台)→50,000円 |
販売元 | 内田洋行 |
システム構成 | EduClick2.0 システムソフトウェアCD、先生用リモコン、生徒用リモコン、赤外線レシーバ |
OS | Microsoft Windows 98 SE、Windows Me、Windows XP |
CPU | PentiumⅢ以上 |
メモリ | 空きメモリ32MB以上 |
ハードディスク容量 | 100MB以上の空き容量 |
赤外線の受信距離 | 10m |
リモコンのサイズ | 幅4.5cm×長さ8.5cm |
リモコン電源 | 3Vリチウムバッテリー CR2032 |
その他 | シリアルポート(USB変換でも可能) |
連絡先 | 03-5634-6237 |
今回、EduClickが使われたのは、小学校低学年の国語の授業でしたが、さらに上の学年や、中学、高校でも、生徒の理解度を確認したり、授業の冒頭でツカミにしたり、授業の途中で生徒の反応を探るなど、先生のアイデア次第で、いくらでもおもしろい使い方が出来るのではないでしょうか。
※当記事の情報は公開当時のものです。
参考資料
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