一台でホワイトボードとスクリーンの機能が!
内田洋行の「インタラクティブボード」を実際に学校現場で使っていただきその感想をお聞きした。「インタラクティブボード」は、一台でホワイトボードとスクリーンの機能を併せもつすぐれものだというのだが...
このインタラクティブボードを横浜国立大学教育学部人間学科附属鎌倉小学校の4年3組のN先生と児童たちに、実際に使っていただきその感想をお聞きした。
4年3組では、世界で最も過酷なヨットレース「アラウンド・アローン」に参戦中の白石康次郎氏を、さまざまな形で応援している。インターネットで毎日公開される、白石氏の航海日誌を読み進めながら、緯度、経度、気象や海洋の生物などについて学習することもその一つ。
N先生は、大きなとりのこ用紙を黒板に貼り、その日学習する内容を書き込んでいく。
「こうして紙に書いて残しておくと、後で前回の復習をするときに便利。黒板だと後に残らないですからね」とN先生。
白石氏がレース中に撮影しインターネットで公開している写真や、航海日誌、地図などは大型プリンタで出力し、ダンボール紙に貼って教室の至るところに展示している。これらの情報が、すべてパソコンに保存され、大型のスクリーンに投影できればもっと便利なはず。N先生の授業に「インタラクティブボード」は最適かも! 開発にあたったキャビン工業の星野氏、内田洋行の池口氏とともに、11月8日、「インタラクティブボード」を抱えて、鎌倉小へ向かった。
インタラクティブボードでできること


実際の授業を見学して
授業の導入にはいつものように、黒板に学習内容が書き込まれ、さあいよいよ「インタラクティブボード」が登場!
「さあ、みんな2mくらい下がって~」
「後ろの人、見えるかな~?」
「下のほうが見えなーい」
「さあ、昨日までの白石さんの日誌を読んでみよう。この日もいろいろな事件があったようだよ」
みんなで投影された日誌を読みながら、白石氏の航路を地図上でたどり、風の力や気象のことなどを学んでいく。
おなじみの黒板、とりのこ用紙、ダンボールに貼った大型の地図も使いながら、要所要所でうまくインタラクティブボードを利用して2時間の授業が終了。
授業終了後、子ども達に感想を聞いてみた。
「またインタラクティブボードを使って欲しい!」
「絶対こっちの方が面白い!」
「今までだとプリントをもらって一人一人で読むだけだったけど、これだとみんなでいっしょに見られるからいい」など、大好評の様子。
子ども達の注目を集めるには有効
N先生にも感想をうかがった。
「インタラクティブボードを使用することにより、子ども達の視線が集まり、集中が生まれるという点ではとても効果のあるツールだと思います。特に、インターネットの画面を見せながら授業をしたいときにはとてもいいですね」
――インタラクティブボードで手書文字や絵も保存できますが、黒板やとりのこ用紙は今後どうなると思いますか?
「デジタルですべて置き換われるとしても、黒板やとりのこ用紙はこれからも使うでしょうね。実物が持つインパクトというのは、何物にも変えられないと思うからです。とりのこ用紙のがさがさした感じ、大きさ、においといったものが、学んだことといっしょに記憶として残るのではないかという気がするのです。写真や地図も、画面で見せるより、大きな紙にプリントして見せるとやっぱり子どもたちの食いつきが違います。」
――設置に時間がかかることについては?
「インタラクティブボードに限らず視聴覚機器を使う場合には設置に時間がかかるものなので、そう気になりませんでした。教師は結構慣れているかもしれません。それよりも、学校は壁一面が窓になっていることが多いので、どうしても光が反射して見にくい。いちいち暗幕をするのも大変なので、これはなんとかならないかと思います。」
これは、インタラクティブボードというよりも、プロジェクタの問題で、レンズの明るいプロジェクタを利用することである程度改善される。
プロジェクタの問題といえば、投影のために、児童達が机を後ろに移動するという場面があった。この問題も、短い距離でもピントが合う、短焦点レンズを使ったプロジェクタなら解決する問題だ。
インタラクティブボードは、パソコン、プロジェクターと3点が揃って初めて効果的に使えるツール。その効果がプロジェクタの性能に大きく左右されるのはいたしかたないのかも知れない。
今回の授業では利用されなかったが、もう一つインタラクティブボードの特筆すべき点は、付属ソフトのミーティング機能を使って遠隔地の児童とグループ作業ができることである。たとえば、今回の授業で使った地図や写真をパソコンに取り込んでインタラクティブボードに投影すれば、他の学校のインタラクティブボードに同じものを投影することができる。その写真や地図の上に、それぞれの学校の子ども達が同時に書き込みをすることもできるのだ。
実物を見るということは大切だが、その実物を見ることのできない遠隔地の人に、より実物に近いインパクトを与えることができるのが、インタラクティブボードの利点なのである。
また、今回は利用されなかった、ホワイトボードモードだが、これはキーボード入力が困難な低学年の子どもたちの手書入力のツールとしても利用できるのではないだろうか。遠隔地の子どもたちと、巨大な寄せ書きをするのも楽しいかもしれない。
黒板やとりのこ用紙には、ノスタルジックでなんとも言えない魅力があるが、何度も再生、加工ができるデジタルの利点は捨てがたい。内田洋行の池口氏によると、より使いやすくするために、操作や設置の手間をもっと簡便にするべく研究中とのころと。更に願わくば、従来の授業とうまく融合できる形での利用方法をもっと提案していただければ、この「インタラクティブボード」、なかなか使えるツールとなるかも知れない。
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