2020.02.05
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意外と知らない"小学校プログラミング教育"(第1回) プログラミング教育ってどんなもの?

2020年度からいよいよ全ての小学校でプログラミング教育が実施となります。外国語(英語)教育と違って独立した教科になる訳ではありませんが、各教科等の中でプログラミング教育を行う必要があります。では、プログラミング教育とは、どのようなものなのでしょうか。またどのように進めれば良いのでしょうか。

プログラミング教育とは:今、そしてこれからの社会の基盤を知ること

我々の身の回りには、コンピュータが内蔵されたものがたくさんあります。現代社会では、コンピュータがなければ生活ができないと言っても過言ではないでしょう。テレビや電子レンジなどの家電はもちろん、車や時計、自動販売機などにもコンピュータが内蔵されています。しかし、コンピュータがどうやって動いているかご存知でしょうか。当たり前ですが、コンピュータは勝手に動いている訳ではありません。人が「プログラム」というコンピュータが理解できる言葉で、コンピュータに命令を与えることで動作します。そして、この命令を与えることを「プログラミング」と言います。

コンピュータの存在が当たり前の時代であるからこそ、「プログラミング」を体験して、コンピュータのことを知ったり、論理的な考え方を学んだりして、これからの社会でコンピュータ等の情報機器やサービスを適切に活用していくことが期待されます。

小学校プログラミング教育とは:プログラミング科ができる訳ではない

こういった背景の中、小学校でもプログラミング教育が必修となりました。しかし、プログラミング科ができる訳ではありません。プログラミング教育は、各教科等の中で行う必要があります。具体的にどの教科で何時間実施する、と指定されている訳ではなく、小学校卒業段階までに、プログラミング教育を通して育むべき資質・能力が示されており、その育成プロセスは学校現場で検討する必要があります。

小学校学習指導要領の記載

情報活用能力の育成を図るため…(略)…各教科等の特質に応じて,次の学習活動を計画的に実施すること。
イ 児童がプログラミングを体験しながら,コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動

第1章 総則 第3 教育課程の実施と学習評価 1 主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善(3)より

小学校プログラミング教育のねらい:「楽しい」が前提。でもそれだけではダメ。

小学校段階では、プログラミングは「楽しい」「面白い」と感じることが大前提として必要です。試行錯誤しながら自分がプログラミングしたものが、自分の意図通りに動いた、つまり「成し遂げた」という達成感を味わうことが重要なのです。しかし、これはプログラミング教育を実現するための前提であって、ねらいそのものではありません。
では、小学校におけるプログラミング教育のねらいは何なのでしょう。端的にまとめると、次のようになります。

【小学校プログラミング教育のねらい】

子供たちに、コンピュータに意図した処理を行うよう指示することができるということを各教科等で体験させながら、
①:プログラミング的思考(※詳細は第3回で紹介します)を育むこと
②-1:プログラムの働きやよさに気付くこと
②-2:情報社会がコンピュータ等の情報技術によって支えられていることに気付くこと
②-3:コンピュータ等を上手に活用して、身近な問題を解決しようとする態度を育むこと
②-4:コンピュータ等を上手に活用して、よりよい社会を築こうとする態度を育むこと
③:各教科等での学びをより確実なものとすること  など
小学校プログラミング教育の手引(第二版)第2章(1)プログラミング教育のねらい (p.11)を参考に作成
このとき、子供たちがプログラミングの体験を通じて、プログラミング言語(コンピュータに命令するときの言葉。命令ブロックや英文など、活用する教材によって異なる)を覚えて使えるようになる可能性はありますが、それ自体は小学校プログラミング教育のねらいではありません。プログラミングに詳しい方は、C言語やC#、Java、Python等のどの言語を教えるのか、という疑問をお持ちになるかもしれませんが、プログラマーやシステムエンジニアを養成することを目的にはしていませんので、小学校段階では特定のプログラミング言語を学習する訳ではありません。
小学校段階では、コンピュータや情報技術のことを知り、プログラミングの考え方やコンピュータを活用する態度などを育むことが重要なのです。

これらのねらいを達成するために、楽しみながらプログラミングを体験することで、もっとプログラミングしたい、もっと上手にコンピュータを活用したい、という意欲を高めることが期待されています。

何から始めるか?:教師自身が体験することと環境の整備

では、プログラミング教育をいざ始めるとして、具体的に何から始めると良いのでしょうか。
先述のプログラミング教育のねらいに基づいて、自校でどのような教育を行っていくか、学年ごとに先生方が集まって検討している学校もあるのではないでしょうか。「コンピュータは苦手・・・」、「まだイメージがわかないし難しそう」、「どんなことができるのかよくわからない」などなど、二の足を踏んでしまう先生もいらっしゃるかもしれません。
そんなときには、まずご自身でプログラミングを体験してみましょう。イメージができないまま、プログラミング教育を進めるのは難しいことです。パソコンさえあれば無料で始められるものもありますし、プログラミング教材を体験できるイベントなどもたくさんあります。
それでも難しいという場合には、外部組織に相談してみるのも1つの手段です。昨今、教育現場では幅広い教育内容が求められているため、どうしても校内の人的・物的資源だけでは教育目標を達成することが難しい場合もあります。近隣の大学や企業などの外部組織と連携して、教育目標の達成を試みることも大切です。
一方で、環境整備は欠かせません。環境が整備されていないからプログラミング教育ができない、ということでは、子供たちに学ぶ機会の提供ができないことになります。
GIGAスクール構想でも謳われていますが、プログラミング教材の検討とともに、児童生徒のコンピュータや高速なネットワーク環境についても検討を進める必要があります。そして可能であれば、学校へICT支援員を配置することで、スムーズに取組を始めることができるでしょうし、先生方の心理的負担も軽減されるでしょう。

授業づくりはどう考える?:教科のねらいを達成するための学習活動

まずは各学校で、プログラミング教育で身に付けたい資質・能力を明らかにしたうえで、どの教科のどの単元でプログラミング教育を実施すべきかを考えることが重要です。
例えば、文部科学省で2018年度に調査研究された「IE-School(イースクール)事業」の成果報告書において、推進校の1つである福岡教育大学附属久留米小学校の取組事例として以下のような考え方が掲載されています。

P.89「3.4 IE-Schoolの実践に見るカリキュラム・マネジメント」より転載

この学校では、各教科等の特質を踏まえたうえで、他教科等との関連性を検討して年間指導計画にプログラミング教育の授業を配列しています。そして、各教科のねらいを達成するために、プログラミングの学習活動を行うという考え方で授業づくりをしています。
この考え方がつまり、先述のプログラミング教育のねらいの③(各教科等での学びをより確実なものとすること)を意識していることになっています。

第2回では、プログラミング体験をする前に“コンピュータ”について子供たちが知っておくべきことを紹介します。

構成・文・イラスト:内田洋行教育総合研究所 研究員 眞鍋悠介

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