これを読まれる先生方は、定期考査直前の授業やロングホームルームを、どのように使っておられるでしょうか?
直前の授業は自習にしている先生や、ロングホームルームであれば自習をさせながら個人面談をしたりすることもあるのではないでしょうか。
個人的には自習にするのは嫌なので、指定した問題を演習させてその解説で定着を図ることもよくあります。また二者面談もその時期であった方が良いテーマがあれば別ですが、考査前にやることではない気もします。
先日、ご縁があって山口県の野田学園中学高等学校の高田先生とお会いする機会があり、その際に授業で「参考書作り」をさせているというお話を聞きました。
そのことを参考に、翌週の月曜日から学年末考査が行われる前の金曜日のロングホームルームにおいて、「学年末考査予想問題作成」を行いました。
前日の木曜日に朝のホームルームで、予想問題を作成することを伝え、科目別の人数がある程度同じになる様にチーム分けをすることを指示しました。クラスの学習委員と各教科科目の係が中心になり、木曜日の帰りのホームルームの時にはチーム分けが完了していました。チーム分けが済んだことの報告を受けたので、翌日のロングホームルームまでに各自が考査に向けた学習も兼ねて、「こんな問題が考査に出題される!」という予想を立ててくるように宿題を出しました。
そのうえで、ロングホームルームの時間、まずB4サイズの白紙を配布し、タイトルとして「学年末考査予想問題」と科目名を書くことと、表面が問題で裏面にその解答解説を記入させました。
約30分の間、生徒達は黙々と記入していました。
それが終了したら、同じ科目を担当しているチームごとに教室内の机と椅子を動かしながら終業し、お互いの予想問題を発表し「それ絶対出される!」とか「それは〇○だから、出題されないだろう。」とか活発に意見を共有し交換していました。残り時間でそれを1~3枚にまとめて完成し提出させてロングホームルームは終了しました。
それを清掃時間の間にまとめて一気に印刷して帰りのホームルームで配布しました。
嬉しかったことは、数学の予想問題を作成したチームが、表面の端の方に、以下の様なことを書いていたことです。
○ 接線の傾きは微分した式で表される。
○ 不定積分の時には、「Cを積分定数とする。」を書き忘れないようにしよう!
○ みんながんばろうね!
最初のふたつの様な教科的な注意事項はもちろん、激励コメントを書くことなど、全く指示していません。実際には手書きなので、とてもとても温かみのある文章で、その存在に放課後になって気が付きました。
数学の教科担当が日頃からそういう指導をしているのか、担任の指導が良いのか、と言いたいところですが、たぶん違います。なぜなら担任が数学の担当ですから(笑)
生徒達が「クラスはひとつのチーム」という共通認識のもと、「自分達のことはできる限り自分たちでやる」という発想で動いてくれているからです。
生徒達に何かを教える教員の方が、生徒達から教えられることも多くあるものです。
考査期間中、ほとんどの生徒がそのプリントの束を直前に確認しているのを見て、さらに嬉しくなりました。
学年末考査は無事に終了し、間もなく答案の返却も完了するはずです。
それらの後には、今回作成した予想問題が的中したのか、作成の過程でどの様な思考をしたのか、これまでの考査に向けた学習と比較して何か変化があったのか、等々をふりかえりたいと思います。
石丸 貴史(いしまる たかふみ)
福岡工業大学附属城東高等学校 教務主任
高校での新学習指導要領導入を控えて、「カリキュラムマネジメント」・「I C T活用」を中心に、日々の授業改善に取り組んでいます。大学を卒業後すぐに会社員として塾・予備校業界で勤務をした経験も活かしながら、社会で活躍できる生徒を育てるべくどのような資質・能力を育成すれば良いかを試行錯誤しています。
同じテーマの執筆者
ご意見・ご要望、お待ちしています!
この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)