2016.05.11
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KP法を取り入れて

福岡工業大学附属城東高等学校 教務主任 石丸 貴史

 「KP法」をご存知ですか?
KP法とは紙芝居プレゼンテーション法の略で、日本環境教育フォーラム理事長をされている川嶋直先生が提唱されているプレゼンテーション手法です。A4用紙にマジックで伝えたい内容をコンパクトに記入して、黒板にマグネットで貼り付けていきます。この手法では、前のスライドを残したままプレゼンを続ける事ができるなど、プレゼンテーションソフトを用いる場合とは違うメリットが様々あります。
「KP法」で検索していただけると川嶋先生が執筆されている書籍やYoutubeでの動画解説を見ることができます。
 
 1月に福岡で行われた講座を受講しましたが、いまひとつ自分の数学の授業の中でどの様に取り入れていくのか決断ができず、思案中でした。
しかし、新年度になってまずは定義や定理などを書いたものを貼る事からスタートさせてみようと考えて実践し始めました。それをふまえて、最近の授業スタイルについて話します。
 
 原則は、チャイムが鳴る前に教室に入りプリントの配布、iPadとモニターのセッティングを生徒に手伝わせながら行い、黒板の左上の端に日付と科目名等を書きます。その後、チャイムが鳴ると同時に配布プリントのひとつである、確認テストを始めます。
確認テストは前回の授業内容のチェックを行う事が目的です。次回の最初に確認テストがあるとわかっていることから、演習の緊張感が出ます。反面、その授業の達成感を得るための効果が薄くなるのですが、3年生の担当であることも考慮して緊張感の方を優先しています。
最初に確認テストを実施するので、授業の開始時では生徒はスクール形式(従来通りの古典的な個別に全員前を向いた状態の座席配置)です。
 
 確認テストは「メニュー」と呼ばれる部分の裏面です。「メニュー」には、「授業内容」、「演習」すべき問題のページや番号、「次回までの予習内容」、「授業のリフレクション」としてふりかえりを行う項目を書いています。
 
確認テストのチェックが終わったら授業内容に入るのですが、まずは授業内容の確認です。ここでの授業内容は「教科書の何ページをやる。」とか「○○の単元を行う。」といった内容ではなく、「導関数の定義を再確認し、定義を用いて導関数を求めることができる。」といったできるだけ具体的な内容です。
 
 この確認の後、講義に入ります。ここでは板書を最小限にすべくKP法とiPadのデジタル教科書を活用します。繰り返し示す必要がある定義や定理、キーワードをあらかじめ記入しておく事でそれを貼ればかなりの時間短縮につながります。KP法はすごい時間短縮手法ですし、授業後にKPシートをもう一度見せて欲しいと言われることもあります。
またデジタル教科書で教科書に書いてある事を追いかけながら講義をすると前を見て聴くことに集中させる事ができます。生徒がどうしてもメモしたいことは直接教科書にメモしているようです。
 
 講義が終わると演習に入りますが、この段階ではじめて座席が動きます。それまで個別状態で行っていますが、「ペアにしなさい。」の一言のもと隣近所で2名または3名のペアになり、必要に応じてディスカッションをしながら演習を進めていきます。場合によっては、4名から6名のグループになることもあります。
 その様子を見ながら、補足的に講義を追加する事もありますが、演習に入ってしまうと生徒達は各自個人で考えることと相談することをバランスよくやっています。ペアで解決しなければ、前後のクラスメイトにも相談するし、少しはなれた席の友人に質問しに行くこともあります。
 
 これまで私のアクティブラーニング型授業の試行錯誤に付き合ってくれた我がクラスの生徒たちなのでできる部分もあるかもしれませんし、3年生としての緊張感があるからできる部分もあるかもしれません。
 今後、教科書が終了し総合演習に入りますが、そのときにどの様な授業スタイルで行うのか、デジタル教科書の活躍する場面が減ってしまうので、KP法を中心にしつつ試行錯誤は続きます。

※冒頭の写真:先日授業で演習に入った直後の様子を後から撮影しましたので、その様子をご紹介します。 

石丸 貴史(いしまる たかふみ)

福岡工業大学附属城東高等学校 教務主任
高校での新学習指導要領導入を控えて、「カリキュラムマネジメント」・「I C T活用」を中心に、日々の授業改善に取り組んでいます。大学を卒業後すぐに会社員として塾・予備校業界で勤務をした経験も活かしながら、社会で活躍できる生徒を育てるべくどのような資質・能力を育成すれば良いかを試行錯誤しています。

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