初めてのプログラミング教育~とりあえず「巨人の肩に立て」~
なにかと話題のプログラミング教育。
「始めないといけないけど、なんだかよくわからない」
「プログラミングなんてやったことない...」
私もそうです。
あなたが全部できる必要はありません。わからなければ、とりあえず「巨人の肩の上に立って」景色だけ見せてもらいましょう。
大阪市立放出小学校 教諭 大吉 慎太郎
まずは「巨人の肩に立て」
ニュートンの手紙として有名な言葉ですが、現代風に言えば「先人の積み重ねた発見に基づいて何かを発見すること」といった意味になるでしょう。この言葉は、学校教育の現場でもわれわれに大きな示唆をあたえてくれます。
来年度から、小学校でプログラミング教育が必修となります。導入を見越して少しずつ取り組んでいる学校や自治体も多いことでしょう。私も一昨年、昨年とプログラミング授業を行いました。しかし、私は自身でプログラミングをした経験もありません。そんな私でもプログラミング授業を実施できたのは「巨人の肩の上に立った」からだといえるでしょう。
プログラミング授業に取り組もうと思っても、今からプログラミングをイチから覚えたり、覚えたとしてそれを作ったりしていてはキリがありません。小学校で行われるプログラミング教育は、プログラマーを育成するものではないように、教師にプログラマーになれというものでもないからです。あくまでも教科の理解をすすめるためのツールとしてプログラミングの手法やそれ自体を利用しようというものなので硬くなる必要はないです。
ネットの世界には、すでにプログラミング教育の「巨人」がいます。その巨人をうまく利用しながら進めていくと良いでしょう。私は「NHK for school」の『Why⁉プログラミング』から始めました。動画はもちろん、ビジュアル型プログラミング言語「Scratch」のファイルもダウンロードできて取り組みやすいです。
これであってる?禁止。「脱正解主義」
確かに、プログラミング教育の目的としては「教科の目標を達成するため」「コンピュータ機器を用いて体験させる」「コンピュータやプログラミングの概念にもとづいた問題解決型の思考を育成する」などあります。しかし、いきなり全てを満たした授業を行おうと思ってしまうと、取り組めなくなってしまいます。プログラミング教育の理念を理解することは大切ですが、それ以外を認めないでは一歩を踏み出すことはできません。まずは、
「教科の目標とは関係ないけど、プログラミング自体を経験してみよう」
「既存のプログラミングファイルを使って数値を変更するだけでも算数の時間に実施してみよう」
でも良いのでやってみることが大事です。
さて次回は、実際に私が行ったプログラミング授業について解説しようと思います。この「学びの場.com」にも指導案を投稿しているので、先にご覧になってもらっておいてもかまいません。(正多角形のひみつを見つけて『Scratch』で確かめよう)
「巨人」とまではいいませんが、私の肩の上に立ってプログラミング教育を実施してみてください。同時に、私にも皆さんの肩の上に立たせてくださいね。

大吉 慎太郎 (おおよし しんたろう)
大阪市立放出小学校 教諭
教務主任として「学校の業務の改善」と「行事の精選」を行なっています。また、「プログラミング教育」や「ICTの推進」にも取り組んできました。授業におけるICT活用についての実践を多くの先生と共有しあっていきたいと考えています。
同じテーマの執筆者
-
京都教育大学付属桃山小学校
-
福岡工業大学附属城東高等学校 教務主任
-
北海道札幌養護学校 教諭
-
元徳島県立新野高等学校 教諭
-
栃木県河内郡上三川町立明治小学校 教諭
-
京都教育大学附属特別支援学校 特別支援教育士・臨床発達心理士・特別支援ICT研究会
-
大阪市立堀江小学校 主幹教諭
(大阪教育大学大学院 教育学研究科 保健体育 修士課程 2年) -
長野県公立小学校非常勤講師
-
浦安市立美浜北小学校 教諭
-
東京都東大和市立第八小学校
-
北海道旭川市立新富小学校 教諭
-
尼崎市立小園小学校 教諭
ご意見・ご要望、お待ちしています!
この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)
この記事に関連するおススメ記事

「教育エッセイ」の最新記事
