2019.06.28
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暑い時期だからこそ「子どもの何気ない一言」へ

うだるような暑さが続いています。子どもたちの意欲もちょっぴり落ちてきている時期かもしれません。そんな時だからこそ子どもたちの何気ない一言に注目し、価値づけ全体へと広げていきたい、私はそのように考えています。ある年の学級だよりに取り上げた子どもの一言をいくつか選び、紹介いたします。

佛教大学大学院博士後期課程1年 篠田 裕文

〇月〇日 子どもの言葉から

私のノートどう?

今日のAさんの言葉。社会科が終わってすぐでした。この「どう?」の意味は
・OK?それともNG?
・どこをどう変えればもっとよくなる?
の2つがあると思います。「よく書けているよ。悪い癖がでたね。『どうして経済力があったのか?』の予想だから、最後は『~だから経済力が高まった。』とかけるといいね。」と話すと、すぐに自分のノートに朱を入れます。この即効性。ピカイチです。

配っていいですか?

朝から身体が溶けてしまうかのような蒸し暑さ。身も心もだれてきます。そのような中、朝早くきたBさんが教卓に並べられていた作文を見て言った言葉。暑くても、不快指数が高くても見る目は高く保ったまま。それを見たCさんも一緒に配っています。これもまた見る目が高く保たれている証拠。

私たちがやります。

とある活動がこの日は行われていませんでした。

「どこの班?」

と聞くと、

「先週終わったし」

「やったよねえ」

の言葉。そのような中、Dさん、Eさんの班が

「私たちがやります」

と。それほど目立つ活動ではありません。周りから「すごいね!」と言ってもらえるような活動ではありません。地道な目立たない作業。それを「やります」といえる。この一言がでるか出ないか、大きいと私は思っています。

給食中もこんなことがありました。返却された食器にご飯粒がひっついています。

「これまで返した人、違いますか?」

と声をかけますが

「違う」

の呟きが聞こえてきます。そのような中、Fさんがさっと食器に手をのばし、流し台へと向かいました。水をつけてのけやすくするのです。この子の食器ではないはず。それを自分の食器のように片付けることができる。美しい姿でした。

ここにはっていいですか?

ある係の子の言葉です。拡大コピーした自分たちの新聞の掲示 場所に悩んでいました。「みんなに知らせるためにどうすればよいか」を考える。GさんとHさんの動きをとてもうれしく思いました。

先生、さようなら!!

何気ない一言。しかし印象に残ります。帰りの挨拶を全員でした後、一人一人が思い思いに教室をあとにします。その教室を出る瞬間にIさんが私の方を振り返り発した挨拶。全員で挨拶をしたのだから言わなくても、という考えもあるでしょう。しかしながら帰り際に、教室を出る瞬間に私に向けられた「さようなら!」の言葉。この何気ない一言になんともいえない幸せな気持ちが呼び起こされます。

先生 もう1回!!!

水泳練習での言葉。私が担当するのは12.5mクリアを目標とするグループ。何度も泳ぎ疲れているのに

「先生、もう1回」

「手を持って」

「やる!!」

と言葉を発する子どもたち。その気持ち、のびる記録、美しくなるフォーム。感動します。

おわりに

どれも何気ない一言、いま振り返ってみてもそう思います。その何気ない一言の裏にある子どもの心のありようや行動を想像し、文章という見える形にしています。湿度が高く気温も高い、そのような環境では子どもたちの意欲も減退しがちです。しかしその中であっても、子どもたちの何気ない一言に子どもたちの意欲や前向きな気持ちを感じ取ることができます。そういった何気ない一言に注目できる目をこの時期、(もちろんいつもですが)持ち続けたいものです。

 最後までお読みいただきありがとうございました。

篠田 裕文(しのだ ひろふみ)

佛教大学大学院博士後期課程1年
修士課程を修了し博士課程に進学しました。修士時代に学んだこと、学校現場で実践したことを書き綴りたいと思います。

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