2023.02.13
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新刊『こんな理由があったんだ!気になる子の理解から始める発達臨床サポートブック』

木村順先生(作業療法士)推薦!

保育所・幼稚園・小学校等の教育・保育現場や子育てで実践的に活用できるように、つまずきの理解と支援方法が満載。発達障害のある子の子育てをテーマにした、イトウハジメ氏の読み切り漫画も必見!

著者:綿引先生より

筆者が発達臨床の現場に関わらせていただくようになり、約20年が経ちました。当時の養護学校(現在の特別支援学校)の教員時代に始まり、最近では乳幼児から成人の方まで、本当にたくさんの出会いがあります。この間、一人の実践家として「子どもにとっての最善はなにか?」という心構えと自己への問いかけをずっと大切にしてきましたが、それは綺麗事ばかりではなく、振り返れば数え切れない失敗を繰り返してきました。「もっと知識があれば」、「高い専門性があれば」と過去の自分の実践を悔いることは、山ほどあります。また、進級や進学などで実践の失敗を取り返すことができない厳しさや難しさも痛いほど経験してきました。そこで学んだことは、後悔や悔しさだけでは、子どもは伸ばせないし、様子を見るだけでは成長を期待することは難しいという現実でした。本当に必要なのは、程のいい言葉や言い訳ではなく、その子に合った支援や働きかけです。

しかしながら、私の実践は、まだまだ誰かに胸を張って語れるようなレベルではありません。それでも拙いなりに試行錯誤してきた経験は、もしかしたら同じように日々の発達臨床の中でもがき、苦しんでいる保護者や現場の先生方の一助になるかもしれません。そこで、私自身が実践の中で子どもたちから学んできた一つ一つの事象を振り返り、言葉を選びながら丁寧に紡ぐ作業から本書の執筆が始まりました。

本書は、教育・保育や子育てなど、様々な発達臨床に携わる方々を対象として、幼児期と学齢期の発達課題をそれぞれ8つの気になる子のエピソードに落とし込むことで、発達の理解と支援について解説することを試みました。また、教育・保育場面における気になる子に対する具体的なイメージやその困難さ、幼児期から学齢期の発達のつながりを読者と共有するためのアプローチとして、気になる子の子育てに関する当事者インタビューを行い、その内容を読み切り漫画に取り入れました。

各エピソードでは、あくまでも表出している子どもの気になる姿の要因や背景にフォーカスすることで、◯◯障害という言葉や用語を極力使わないようにしています。理由は、◯◯障害と子どもにラベリング(先入観から人格や環境などを決めつけてしまうこと)やカテゴライズ(似たような問題を同一化してしまい、個別性に注意がむかなくなってしまうこと)をしてしまうことで、その障害に対する画一的な見方や捉え方を防ぎたいと考えたからです。その点で本書は、特定の障害に対するHow to ではなく、様々なつまずきの要因が一人一人異なることを前提としたケース・スタディ方式を採用しているため、単一の答えを期待する読者には物足りないかもしれません。しかしながら、子どもは一人一人違ったかけがえのない唯一無二の存在です。『目の前にいるその子を伸ばしたい』、『この子が楽しそうに活動している姿や笑顔が見たい』といった思いは、発達臨床や子育ての中で、誰もが抱くことでしょう。それを16のエピソードで語るには限界もありますが、教育・保育現場の多様な教育的ニーズに対して、眼前の子どもの発達と向き合い、子ども自身から学ぶことを通して、実践のヒントがお伝えできれば幸いです。

目次

PartⅠ  幼児期の気になる子どもたち
エピソード1  一人遊びが多い子
エピソード2  触られることを嫌がる子
エピソード3  力加減が難しい子
エピソード4  じっとしているのが難しい子
エピソード5  偏食が強い子
エピソード6  注目することが苦手な子
エピソード7  耳塞ぎが多い子
エピソード8  模倣が苦手な子

特別読み切り・ぼくのすきなもの

PartⅡ  学齢期の気になる子どもたち
エピソード9  聞くことが苦手な子
エピソード10  話すことが苦手な子
エピソード11  読むことが苦手な子
エピソード12  書くことが苦手な子
エピソード13  期限や約束が守れない子
エピソード14  友達とのトラブルが多い子
エピソード15  学習に意欲がもてない子
エピソード16  信頼関係が崩れてしまった子

新刊『こんな理由があったんだ!気になる子の理解から始める発達臨床サポートブック』

著:綿引 清勝  絵:イトウ ハジメ
定価:1,870円(税込)
発行:学苑社
仕様:A5・134ページ

文・画像提供:学苑社

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