2022.08.19
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生活科は全ての教科に繋がる!?

こんにちは、五條晶です。
今年初めて2年生という低学年の担任となり、発見がたくさんあります。
その中の1つが生活科です。今まで中学年や高学年しか担任してなかった僕は国語が教科の根幹だと思っていました。
しかし、生活科をしていると生活科こそ全ての教科の根幹になりうる教科だと感じます。今回はそんな生活科を活かした他教科の実践内容について書いていきたいと思います。

沖縄県宮古島市立東小学校 教諭 五條 晶

生活×算数

みなさんは生活科と言われたらどんなイメージを思い浮かべますか?
ぼくは、今まで中学年や高学年しか経験していませんでしたので楽しい体験活動をして終わり。といったイメージでした。

しかし、この体験活動には他教科にむすびつくものがた~くさん含まれていました!
言わば、生活科は学びの宝庫です。

例えば生活科で、2年生は野菜を育てる学習があります。今回はこの野菜を育てる学習で繋げられる事例を書いていきたいと思います。

まずは「生活×算数」です。
野菜を育てていく中で、人によって成長スピードが違います。そこで子どもの気になるのは茎の大きさです。
今まで育てていた自分の茎や葉はどのくらい成長しているのか多くの子が比べたがります。しかし、まだ算数でcmなど物の長さの単位を習っていません。

そこで「どうやってくらべようか?」と聞くと…
「手の大きさ何個分かで調べる!」
「野菜の横に立って、足のどのくらいまでのびているかで調べる!」
など、子どもによって違います。

そこで、「比べ方を一緒にして、みんなのものを比べてみよう」と言うと、どんなことが起こるか想像できますか。
例えば地面からの足のどのくらいまで伸びているかで比べていったとします。するとこんなことが起きます。
「A君の茎はぼくの足のひざまでくらいの大きさだ」
「A君の茎は私のすねの真ん中くらいの大きさだ」
同じはかり方をしているのに、身長が違うので比べる野菜の大きさが変わります。

それでは、どうすればみんなが同じ大きさとして比べることができるのかな?というテーマが生まれます。
ここから、算数の長さの学習に入ると自然な学習となります。

生活×国語

次は「生活×国語」です。
これは一番つなげやすいです。そもそも、国語の教科書に「かんさつをしよう」という単元がある教科書会社もあります。
ここでは、観察の表現方法を養い、書く力を伸ばしていきます。

よく観察カードを書くときに、「先生なんて書けばいいですか?」という子はいませんか?
そんな時には、主に5つのポイントで書くと書きやすいです。ポイントは以下の通りです。

1大きさ 2形 3色 4手触り 5匂い

最初は5つポイントを教えますが、書けることから書いてみようと声をかけます。
そこで1つ1つのポイントに着目してみんなの表現方法を比較していきます。

の「大きさ」だけでも先ほど「生活×算数」で書いたように、子どもながらの表現が違います。

の「形」は葉の形などに着目させます。葉の形で面白いのはオクラです。
実はオクラは栄養状態で葉の形が変わってくるそうです。日々の観察で同じオクラなのに葉の形が違うと言い出した子から僕自身も気づきました。そして、栄養状態のことは子どもが自分で調べて僕に教えてくれました。

の「色」も面白いです。
よく子どもに太陽の色を塗ってと言うと、赤や黄色と塗りますが実際に太陽を見ると赤でも黄色でもありませんよね? これと同じで野菜の葉の色を塗らせると、大体が緑で塗って終わります。しかし、これも比較することによって、葉でも、よくよく見ると濃い緑のとこと薄い緑の所があると気づきます。

の「手触り」では、葉っぱに毛が生えていることにみんな驚きます。また、茎がトゲトゲしているものもあります。何のためだろうと疑問をもって図鑑で調べる子もいます。

の「匂い」では、茎や葉の匂いをかぎます。トマトなどは葉や茎でも十分トマトの香りがします。こうして嗅覚でも観察していくことによって、書くことも増えていきます。

こうして、まわりの子と比較しながら観察ポイントを明確にして、観察の視野を広げ、語彙力を増やしていくとで、書く力が伸びていきます。

生活科の可能性 「生活×英語」や「生活×道徳」にも、、、

先ほど「生活×国語」で書いたポイントは英語でも使えます。

例えば3年生の「Let’s try!1」では「I like blue すきなものを伝えよう」の学習があります。
ここでは、色を英語で言ったりして英語に慣れ親しんでいきますが、ここで育ててきた野菜の写真などを登場させると、自分たちが育ててきた野菜なので学びの繋がりが生まれます。
また、育てたものという記憶の結びつきが初めての英語という壁を乗り越える手助けになります。

色のほかにも、「形」「匂い」「手触り」「大きさ」など他学年の英語で使えるところが満載です。
また、2年生の生活科に校区探検がありますが、5年生の英語での道案内にも繋げることができます。

そして、生活科で野菜を育てるときに大事にしたいのは心の育成です。これは道徳にも繋がります。
例えば、朝早く来て、野菜に「暑いけどがんばれ~!」と声をかけながら水をあげる子もいます。
そんな子をクラスで紹介すると、「じゃあぼくは何をしてあげようかな?」と考え出す子もいます。
こうした道徳的実践意欲を自然と高めることもできます。

また、野菜を種から育てるため、間引きの段階も来ます。クラスでは小さなカップに3粒の種をまき、よりよく育っているものを少し大きい自分の鉢に植え替えました。
そんな時、ある子が「3人は家族だから、離したくない」と言いました。
とても心の優しい子だと思います。
そこで、学校にある鉢をさがしてきて、3つとも大きなものに植え替えました。
何のために間引きをするか説明はしていたのですが、やはりこうした気持ちの子はいるもので、すべてが同じじゃなくてもいいのかと考える機会に僕自身恵まれました。

このように、野菜を育てることにもストーリーがあり、子どもの野菜に対する接し方を道徳の授業に結び付けることもできると可能性を感じました。

生活科は3年生になると理科や社会、総合と名前を変えていきますが、それだけではなく、国語や算数を支える力にもなり得ると思います。そして、課題発見をしたり表現方法をじっくり考えられる生活科での学び方は体育や図工にも繋がります。
つまり、全ての教科へ自然と繋げられる宝庫だなあと感じます。
これからも、子どもが「なんでだろう?」と思う自然な芽を摘み取らないように頑張っていきたいです。

五條 晶(ごじょう あきら)

沖縄県宮古島市立東小学校 教諭


授業を通した「みんなで分かる!」「みんなが楽しい!」集団づくりを目指し、試行錯誤しています。

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